部活どうする?
ゴーン ゴーン…
午前の授業を終える合図の鐘がなる。
「あー疲れたぁ! おいゼロにハンゾー、飯行こうぜ!!」
「いくで御座るよー!」
入学二日目と言うことで今日の授業は午前で終了、この先は部活的な奴の紹介とかそういうのがメインになるらしい。
午前だけでこんなに疲れてて、コイツラこの先大丈夫か…?
食堂は混雑しており、座る席を探すのも一苦労だった。
ついでに言うと食事は結構うまいが、貴族や王族などのお偉い方々は目の前で特別席に座りながらもっといい物を食べているのでちょっとだけ腹が立つ。
「…………」
ちなみに俺をじっと見つめてるのはシエル様。多分今日の授業半分くらい寝て過ごしたのを起こってんだろうなー。
「ところでお前ら午後はどうすんの?」
食事を終えて駄弁ってるところ、不意に話題が飛んできた。
「確か、今日の午後は部活紹介やってて好きな所見て回れるんだったな」
「「部活?」」
やべ、素が出た。
「俺は音楽活動してるチームを覗いてみようかなって思ってるぜ!」
「拙者は小説を考察する会に興味があるで御座る」
なるほど、軽音部に漫画研究部か。
「俺はどうすっかなぁ、強制参加ってことだしなんか楽な所が良いんだけどなぁ」
「不真面目な奴で御座るな」
「それでしたら、午後は私と一緒にどうですか?」
不意に女性の声が聞こえてくる。
俺の首筋に冷や汗が伝う。
「見て、生徒会長よ…」
「こんなところにいらっしゃるなんて珍しいわ…」
「声を掛けられてるあの男子は何者?」
「ほら、昨日シオン様に稽古を付けられてた…」
「…今朝ぶりですね、エーデル・フラム殿。」
どうやら俺に逃げる道はなさそうだなぁ。
「で、わざわざ平民で一般人な俺に何か御用ですかね?」
エーデル・フラム氏の活動は騎士団の一員としての見回り。なので俺たちは二人で繁華街を歩いていた。
「今朝と、後ついでに昨夜について話がしたかったのでね」
「はいはい、仕方がないので何でも話しますよ」
「あら?昨夜については否定しないんですね?」
「今朝あんなことをしたうえでここまで連れ出してきてるんだからもう確信犯でしょ」
「まだギリギリ確信までは行ってなかったんですがね…」
まぁ察してはいたが、連れ出された理由は昨夜の事がメインみたいだな。
「長くなりそうなんでその辺の喫茶店にでも入りません?」
「一応職務中なんですけど?」
渋る先輩を押し切り俺は店内に突入しくつろぎ始める。
「コーラ、はないんだった… 水ください…」
早く資金を調達してコーラを製造、普及させなくては…
「私は紅茶を」
ちなみに俺はコーヒーや紅茶は苦手だ。この世界だと紅茶を飲めないのは大分致命的だ。
「で、どこから話しましょうか」
「そうですね、まずは昨夜何をしていたのかから聞いてもいいですか?」
「多分聞いてると思うんですけど不審な格好をして人助けをしてましたね」
「何故不審な格好を?」
「…………かっこいいから…」
俺は必死に答えを絞り出した。
そう、これが俺の精一杯だ。助けてグラス!!
「…そうですか」
ああっ!先輩の見る目が冷たい!!
「コホン、では次はあの魔術について教えてもらっていいですか?」
雰囲気が一気に変わった。
「血の魔術ですね。禁忌であることは認識しているので学園では属性発現なし、で通してます」
「そこはこちらで確認している通りですね。学園内で見せびらかす気がないのは安心しました」
改めて認識させられるが、禁忌ってやっぱり忌み嫌われるものなんだよな。
「私は実力あるものを尊敬しています。それが禁忌であろうと、ええ…」
まるで自分に言い聞かせてるみたいだ。
「で、話は以上ですか?」
「あ、あぁすいません。少し取り乱してました」
やはり取り乱していたか。
「改めて、貴方と話したかったのは是非騎士団に招待したいと思ったからです」
「ごめんなさい」
俺は爆速でお断りした。
「…一応この国では名誉なことだと思うですけどね?」
「騎士団に入っていては見れない景色もある、ってことですよ」
多分内部で汚職が蔓延ってるであろう騎士団だ、わざわざ入って堕ちる必要もない。
「まぁ卒業まで時間があるので今すぐ答えを出す必要はありません。私が言いたかったのは授業後の研鑽の時間、私の元で騎士団見習いの様に活動してみませんか?という話です」
「それって用は時間かけて懐柔しようとしてるだけですよね?」
「と言うか俺、研鑽の時間は写真部とかその辺の幽霊部員になって外で色々としようと思ってたんですけど」
「一応生徒会長である私の前で堂々と言うのはどうなんですか?」
「…分かりました。では形式だけ騎士団見習いとして私の下に付き、基本は幽霊部員として活動する、と言うのはどうですか?」
「生徒会長が幽霊部員を黙認するのはどうなんですかね?」
「これも優秀な人材を抱えるためです。その代わり、重大な事件が出来た場合は力を貸してもらいますが、それでいいですか?」
「……ちょっと持ち帰って考えていいですかね」




