入学に向けて
「そういう訳なので、俺も学園に入れてください!!」
あの話を受けてから俺は説得の準備を整え、両親の部屋に突っ込んで説得を始め…
「うむ、お前の熱意は伝わった。しかしダメだ。」
「貴方には私たちの後を継いでもらわないと困ります。」
普通に説得に失敗していた。
「そこを何とか!!」
「ならん!!」
やめて!グラスの視線がジワジワと効いてくる!!
「コホン、私からもよろしいでしょうか?」
「ウム、グラシリアからもこの頑固息子に申してやりなさい。」
グラスは親の言葉を無視して羊皮紙の束を差し出した。
「こちらが、ゼロ様が入学なさった際に起こる我が家の利点をまとめたもので御座います。」
かなり分厚いが、そこまで俺のことを思って…
(ありがとうグラス!)
小声で感謝を告げるが…
(何言ってるの、半分以上でっちあげよ?)
爆速で裏切られた。
暫しの静粛の後、両親が口を開いた。
「どうやら利点は多いが、逆に欠点はどうなんだね?」
「私たちとしては変な失敗をするよりも現状維持を選びたいのだけれども」
「ご安心ください、私も彼と一緒に入学しサポート致します。家名を陥れるようなことはさせません!」
「ウゥム、確かにグラシリア程の従者が付いていれば大丈夫であるか… しかし試験には受かるのか?」
「はい、その点につきましては私を拾っていただいた際から日々ずっと勉強をしておりましたので大丈夫かと思います。」
「流石グラシリア、こういう未来も予測していたのね」
(おい大丈夫かグラス!?勉強と言いつつ筋トレと魔力の鍛錬しかしてないぞ俺たち!)
(静かに、勉強はこれから教えてあげるから貴方は頷いてるだけでいいの!)
「良し分かった、グラシリアが付いて行くなら安心だしこれも一つの体験だ。行ってきなさい!」
何とか入学許可は下りた。
「という訳でここからは勉強を教えていくわよ。」
簡易的に作られた教室には俺とグラス以外にも夏の大三角の三人もいた。
「よろしくおねがいします!グラシリア様!!」
「よろしくお願いします。」
「ちっ、なんでコイツなんかと一緒に…」
「勉強なんて十年ぶりかもなぁ!」
まぁこっちの世界特有の魔術学とかそういう奴はチョイチョイ勉強してたんだが。
「まずは算術から始めるわ」
「響きからして嫌だ!」
やめるんだ!俺はあくまで一般的な高校生、特別勉強が出来るわけでもないのに数学なんてやりたくない!!
「まずは足し算からするわよ」
「あっこれちょれーわ!!」
思わず叫んだ。
考えてみればそうだが、この世界は魔力に頼って発展してきたため他の分野は発達していない。
それだけでなく、そもそも義務教育がないから学校で勉強する割合が低いんだ。
そう考えると学習レベルが低いのも納得… と言うか現代日本が高すぎるだけなんだ。
「ゼロさんすごいっすね!」
「天才…」
「くそっ、負けてられるか!」
それぞれにいい刺激になったようだが、一番驚いていたのはグラスだった。
「ごめんなさい、私貴方の事少し… いえ、かなり侮っていたわ!」
「見直してくれるのは嬉しいけど正直もう少し別のところで見直して欲しかったかな?」




