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第66話 魔の課外授業始動

 ついにやってきた課外授業の時間。

 チユが頑張った結果、誘えたのは三科さん1人だけだった。

 スクールバスに揺られながら、インスタントダンジョンのある郊外へと向かう。


<洞窟タイプのダンジョンと聞いてます。中は、鍾乳洞のような作りで、鉱石が青白く光っている為に中は明るい。出てくるモンスターはスライム、ゴブリン、スケルトン、ウルフです。頑張りましょう!!>


 何故か張り切っているアマタイル。


 まずE級モンスターばかりだし負ける要素はゼロ。

 本当に初めてモンスターと戦う人のチュートリアルダンジョンだ。


 1人でも余裕そうに思えるダンジョンを、学校側は安全策を取って6人編成で行く。なんて用心深いんだろうか。


 6人編成という事で、俺と三科さん以外に加わった4人はなんと、入学式の時にレイア姉とぶつかったあの新井さん。それと、その取り巻き3人。


 同じ班という事で、座る位置は隣同士。だけど、関係は険悪だ。新井さんが三科さんにマウントを取ってくる。


「まぁ、戦闘力最高の私達と、戦闘力最低の貴方達、レベル的に均等にする為にってことはわかるけど。貴方達とは別行動を取らせて貰うわ。」


 新井さんの提案だが、なんのための班編成なのだろうか。先生の意図が全く反映されてないぞ。

 こちらとしては気まずいし、願ったり叶ったりだが。


「どうぞご勝手に。」


 と応えているだけ、対抗心剥き出しの三科さんである。


「何その言い方は。少しは感謝しなさいよ。何もしなくても私と同じ班ってだけで単位取得出来るんだからね。本当いいご身分だわ。」


「それなら私も戦うわ。」


「役立たずは下がってなさいよ。私の邪魔するだけでしょう?」


「邪魔しないわよ。」


「戦闘最弱の癖に何ができるのよ。あーあ。素材も班ごとの成果じゃなければ良いのに。」


 残念ながら戦闘力最弱というのはパワードスーツを着る前のステータスである。

 エイルのパワードスーツを着込んだらこの2人はいい勝負が出来るんじゃないか?


 新井さんのマウント取りが終わったと思ったら取り巻きが3人、三科さんを睨みつける。


「そんな事言っていいのかしら?モンスターに襲われて死に掛けても助けてあげないんだからね。」

「そうそう。新井さんは特Aクラスに入る逸材よ。底辺がなんて口聞いてるのよ。」

「アンタみたいな貧乏人は黙って頷いてたらいいのよ。」


 凄い感じ悪い。チユが堪らず・・・


「闇魔法・・・スリープ。」


 これは、眠れない日に自分に掛ける魔法。人に向けて使ったのは初めてじゃないか?

 4人を同時に眠らせた。急にガクンと落ちるもんだから三科さんがビックリしている。


「えっ?雨宮君が助けてくれたの?」


「なんか五月蠅かった。」


「そうね・・・。でも突然気を失ったら周りのクラスメイトも不審に思うんじゃないの?」


「そうだね。」


 話をしていると前に座っていたレイア姉・・・いや、雨宮レイア先生が不審に思う。


「新井さん!どうしたの!?」


 6席ぐらい前から良く異変に気がついたなと思うのだが、あれだけ騒いでたのが静かになったのだ。さすがに誰でも気がつく。


 そこで三科さんが代わりに声を上げる。


「先生!突然新井さん達が気を失ってしまったみたいです。」


 それを聞くや、心配になってこちらの座席に近寄って来る。


「あら。たまにいるのよねこう言う生徒。モンスターと闘うのが怖くて緊張し過ぎちゃう生徒。優等生だと思ったらナイーブな所もあるのね・・・」


 とレイア姉は呟くと、生徒から馬鹿にしたような笑いが起こる。その中で、新井さんの体調をチェック。


「何?この状況で爆睡してる!!?ナイーブかと思ったらとんでもない肝っ玉ね。みんな、心配無用よ。」

 

 そうレイア姉は声を張り上げる。バス内は平穏な空気に包まれらのであった。




 とある山の麓にバスを停めて一年生は歩いてインスタントダンジョンへ向かう。


「このダンジョンは昔、自然の鍾乳洞でした。ダンジョン発生と共に100年前にダンジョン化し、資源は全て取り尽くされました。今では観光名所として再利用され、人工的に作られたダンジョン、インスタントダンジョンとして名残を残してます。」


 と説明しながら歩く先生。

 

 鍾乳洞と言いながら入り口は5つある。それぞれの入り口の前に台座があり、そこに魔石を設置する事でダンジョンを人工的に発生させる。


 魔石は異世界産のモンスターの魔石である。


 5つ入り口があると言ったが中では繋がっていない。これが何を意味するかと言えば、1度に同時に5つのプライベートダンジョンを作成する事が出来る。

 つまり商業化するのに最適なダンジョンだったという事。


 俺たち1年は山頂部のダンジョンに行く事になった。

 軽く登山になる為、1時間当たりの貸し切り料金も安く済むと聞く。


 どこのダンジョンも台座に設置する魔石次第なので難易度は変わらない。

 一応、毎年のデータが出ている。出てくるモンスターはEランク。

 そのダンジョンも3階層までしかなく、浅瀬の上層がC組のエリア、中層がB組、ウルフとか出て一番難しい下層がAクラスの持ち場になる。


 説明は以上かな?


「質問のある人いますか?」


 誰も挙手しないので、俺たちはこれよりダンジョンの中に侵入した。

 洞窟の入り口にて、他クラスの生徒も待ちくたびれた様子でレイア姉・・・レイア先生を待っていた。


 それぞれの担任の先生もレイア先生を睨む。


「遅いですよ雨宮先生。私達Aクラスは最深部まで行かないといけないのです。普通、魔石を持つ雨宮先生のクラスが一番先に到着すべきではないのですか?」


 と、ベテランの冒険者にも見えるAクラスの担任がレイア姉を叱る。


「すみません!!お待たせしました!!」


 大理石の台座に、魔石を設置すると赤黒く稲妻が走りただの鍾乳洞の柱だった空間に、人工的な扉が出来る。


「ではお先に失礼します。」


 と言ってAクラスから先に進んで行く。


 次にBクラス。そして、俺たちの番が来た。

 扉を開けると、中は高さ何メートルもある広い空間が広がっていた。鍾乳洞が何故か青白い光を放って幻想的な演出を醸し出す。


「ゴブリンが1ポイント、スケルトンが2ポイント、ウルフが3ポイントです。沢山のモンスターを倒して4時間後、ここに戻って来てください。武器の使用方法は前に学校でレクチャーしましたね。では、始め!!」


 先生が見ている範囲でいきなり別行動はしない。新井さん達はそこら辺上手くやるようで、しばらく同じ班を装い行動する。


「アンタ達、さっきは私に睡眠薬でも盛ったのかしら?」


 爆睡優等生はそう言って睨んでくる。

 さっきのバス内での出来事を根に持っているみたいだ。


「知らない。勝手に爆睡したのは新井さんだよ。」


 とチユは答える。すると


<敵意を感知しました。戦闘モードに移行して下さい>


 とアナウンスを聞く。でも相手はクラスメイトと知っている為油断していた。まだ入れ替わりはない。


「アンタ達の睡眠薬のせいで、『実はビビり』とか『緊張感ゼロ』とかいろんなあだ名を付けられたのよ!!どうしてくれようかしら。」


 と新井さんは切れる。ああ。知ったこっちゃない。そう知らんぷりしてたら。


「ちょっと離して!!」


 取り巻き3人に三科さんは捕まった。


「あなた、風紀委員に入ったんだって?それでパワードスーツを着込んでパワーアップしてるとか言う噂聞くんだけど本当!?」

「なら、落下だけでは死なないわよね。」

「リアルバンジージャンプって知ってる?命綱付けないバンジーの話。」


 怖い話をしている。俺は危険を感知した。


「なんの話?」


「悪い子にはこうするって事。」


 洞窟の中には自然な空洞ってものがあり、それが落とし穴のように広く下まで通じている穴ってものがある。まさか・・・


「きゃっ!!」


 三科さんは突き落とされた!!待てよ!!まだ三科さんはパワードスーツ着こんでねぇんだぞ!!

 しかも空中でパワードスーツ着用するなんて芸当、エイルでもない限り出来るとは思えないし。

 咄嗟に俺も穴へ飛び込む!!


 俺はしばらく自由落下を楽しむと・・・


(アマタイル!!あれを頼む!!)


<了解です。崩剣ディアブロス、召喚!!>


「重力操!!」


 俺と三科さんの重力を操り、まるでパラシュートを開いたようなスローペースで落下していく。

 あれ?このダンジョンって3階層までだよね。一体俺たち何メートル落ちたの?


「うわ。私達ジブリってる。」


「そうだね。ジブリだね。」


 地面に着地すると、そこは真っ暗で気が付かなかったのだが水が溜まっていた。

 膝まで浸かり、それも結構冷たくてビックリする。


「大丈夫か?」


「うん。全く怪我はない。」


「歩けるな。」


「ええ。大丈夫よ。」


「随分と深い階層まで来たらしい。入り口を目指そう。」


 コクリと頷き後ろを着いてくる三科さん。


<モンスターの気配を二十匹感知。どれもDランク判定>


 頼りになるこのアマタイルの感知能力。Dランクなら三科さんには辛い相手かも。


<光魔法ライトを発動>


 シャボン玉を10個、発生させた。それは程よい光を放ち洞窟一面を明るく照らす。


(チユ、攻撃用の結界術、沢山ストックを頼む。)


(分かりました!!)


「なんだろう。『何があっても雨宮君なら何とかしてくれるんじゃないかな』って思えてしまって緊張感が無いんだけど。私感覚がおかしくなってる。」


「三科さん、今俺たちDランクモンスターに囲まれてる。リフレクターは装備してる?」


「ええ。」


「なら一撃は耐えられるな。パワードスーツを早く着てほしい。」


「ちょっと、水に濡れた状態じゃ無理」


「なら早くここを抜けよう。」


 と、思ったが、やはりモンスターは見逃してくれない。

 巨大な蜘蛛、タランチュという名のモンスターが。空間の至る所で俺たちの様子を伺っている。

 奴らは強力な粘りのある糸を撒き散らし、動けなくして食べる習性がある。口には麻痺毒が仕込まれている。


「きゃっ!!気持ち悪っ!!」


 三科さんも気が付いたのか声が出た。その声に驚いたのか、一斉に襲いかかってくるタランチュ。


<結界術発動しました!!>


 空間の至る所で3つの結界術で出来た風船が膨らむ。


 それがタランチュ達を壁に押し付け押し潰す。動きを封じたが、致命傷には至らない。


「あれ?動かなくなった!?」


「まだ生きてるから三科さん、鞭で叩き殺してくれ。」


「あ、うん。わかった。」


 1体につき、3発でHPがゼロになる。

 三科さんの植物魔法もなかなかにエルフ達と良い勝負の威力を持っている。

 殺したついでに鞭に魔石をくっつけて回収する器用さを発揮するのだった。


「動かないから楽勝ね。」


「もう少し弱い敵が現れたらな、良い練習になるのに。」


「いや、いいって。」


 歩きながらそんな冗談を交えつつ進む。タランチュ二十匹全滅させた頃、ようやく陸地にたどり着く。

三科さんは寒さで震えていた。


「生活魔法ドライ!!ヒート!!クリーン!!」


 乾燥、体温調整、汚れた服と身体の清掃の3連コンボ。


「うわっ。魔法って便利ね。」


「パワードスーツを着てほしい。」


「わ、わかったわ。ボディラインが出て恥ずかしいのよね。」


 と言いながらパワードスーツを着用する三科さん。


(アマタさん、私からお願いがあります。)


(チユ、お願いって?)


(装備は多い方が良いです。これを着用して欲しいのです。アマタイルさんお願いします。)


 とチユが言うと。


<崩剣ディアブロスと一緒にテマルンドから受け取っております。マスター着て下さい。もちろん三科様にも着せてあげて下さいませ。>


 一体何の話だろう・・・そう思うと目の前に2枚の布が召喚された。これは、エルフの村で、儀式用にとチユのお母様が仕立ててくれたゴスロリドレスだ。

 チユ用とユメちゃん用の2着だ。


(これを?)


<何があるか分かりませんゆえ、装備は万全の方が良いでしょう。>


 三科さんようにと・・・俺用?


 魔法のストックには、


 ドレスアップ×2

 メイクアップ×2


 とあり、これを着ないと次の魔法を唱えてくれないご様子。

 これは諦めるしか無いのかも。男なら覚悟を決めろ!!


「三科、後、とっておきの装備があるんだが・・・」


 と、話を持ち出した・・・

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