第54話 振り返ればSDGsだった件
楽しんでもらえれば嬉しいです。
この物語はフィクションです。
登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。
チユの不機嫌はまさか24時間続くとは思ってもみなかった。神子の霊薬作りも、最後、チユの魔力を込めてもらわないと最高品質にならない。とんでもないデモである。
最終的には俺が折れて謝罪。食べる物に関しては一切口を出さない契約を結んだ。
(あんなに美味しいものが溢れた世界で食事制限とか本当に酷いです!!信じられないです!!)
美味しいものを食べる事。チユの中で最高の楽しみだったという事は俺はこの時初めて知ったのだった。
そんな中で1週間はあっという間に過ぎて行った。
エルフの村の進展状況については農業が再開。農作物は順調に農作物を生産し、狩りをしなくてもなんとか食いつないでいけるぐらいの生産力になった。
植物魔法グロウのおかげである。まだ、人力に頼らないとダメな所は改善が必要である。
目指せ、オール機械化生産。
あと、エルフの皆の魔力が上昇した事により皆の戦力が総じて上昇。並のモンスターなら負けない程強くなる。
中でもチャップルを招いた事でエルフの戦士達の剣術が上昇した。陽気なキャラクターで来る日も来る日も模擬戦を楽しんでいる。
そのおかげか知らないがエルフの戦士達の狩りが絶好調である。
俺は虫とマムシ以外なら食べる。
残りは子ども達の教育環境を整えたらひとまずエルフの村の最低限の生活を維持出来る。1段階クリアだ。
誰かが言ってたな。こういう活動の事をSDGsって言うんだっけ?
俺の仕事は調合にある。
文官達や、弓兵達に協力してもらい、村の周りに生えてる薬草を摘んで来たりして貰う。
その材料で村長の家で朝から晩まで神子の霊薬作りを頑張っていた。
レシピに乗っ取って眠り薬、痺れ薬、などを作ってみたりした。
やはり、ボックス内調合に比べるとクオリティが格段に違う。
錬金釜は本当に凄い。
「チユ、何やってるの?」
と、お姉さまにも錬金術を教えてやってみて貰ったのだが神子の霊薬にはならなかった。
何故だろう。チユが魔力を込める事に意味があるのかな?
でも神子の霊薬は20個作るとチユの魔力が尽きてしまう為、朝に20個、夕方に20個が限度である。
なんとしてでもこの1週間で作り上げて見せる。
チユの記憶が戻ったとか、そんな進展もなく。平和な毎日が過ぎて行く。
最近お兄様が絡んで来なくなったと思ったらなにやらチャッピルとお兄様は毎日模擬戦をしているらしい。
ユメちゃんは相変わらず音信不通だ。
この平和がずっと続けばいいのに。
特に変化した事といえばないのだが、お母様からブレスについて、根本から間違えてると言われてしまった。
ブレスとは精霊の祝福。精霊にお願いして身体能力を上げて貰うのだ。チユは精霊がやる事を、自分で強引にやっている為、手が掛かるのだ。
エルフは精霊にブレスをかけて貰うけど、チユはテマルンドにブレスを維持して貰う。
まだ練習が必要だけど頑張っている。
理想はブレスとシルフィードを維持したまま、マジッククイーバーだ。
<チユ様の魔法の強さをランクで分けてみました。>
Bランク ディザスター
Cランク シルフィード ストーンヘッジ
Dランク スコール マジッククイーバー 結界術 気配遮断 ソナー ライトヒーリング ブレッサー
Eランク 火魔法イグニッション 植物魔法グロウ
Fランク 生活魔法 全般
正直な話、Eランク以下は戦闘に使うには威力不足という所ではある。アイディア次第ではとんでもなく嫌がらせにはなる。
もしオルドがまた攻めて来た時の為にアーティファクト無しで倒さなければならない。
きっとアーティファクト対策はしてくるだろうし、そもそも俺にアーティファクト買うだけの余裕ない。
なのでBランク魔法をもっと多く持っておきたい所ではある。もしくは、武器、アイテム、防具の製作か。
もっとも、チユの興味は、武器作りでも防具作りでもアイテム作りでもない。
明日から行く学校について興味深々だったのだ。
なので正直、神子の霊薬作りの進み具合は悪い。というか、村長の家の調合室に何日もこもって調合してる為、チユがかなり飽きてる。
無駄話ばっかりしているのも事実だ。
(アマタさん、明日行く学校ってどんな所ですか?魔法の勉強とか出来るのですか?)
(チユ、魔法は無いよ。どちらかといえば一般常識を学ぶ所かな。)
(一般常識ですか。)
(でも、魔導兵器とか理論的なものを学べるかも。)
(エイルやアカネも一緒?)
(エイルは同じ学校だけど学年が違うよ。アカネはそもそも住んでるとこ違うし。)
(そうなんだ。)
(アカネのいる学校はアバターで収入を得る為に必要な事を教えてくれる学校。つまり異世界に特化した学校だよ。俺たちが行く学校は、アバターで使う兵器とかの開発したり、遺跡って呼ばれる<廃ダンジョン>の調査、生身の身体でダンジョンに迷い込んだ時どうすれば良いかのサバイバル的な事を教えてくれる学校かな。)
本来なら俺もアカネ達と一緒の学校に通うはずだった。アバター所持が必須・・・ほとんどの授業もアバターで行うような学校だった為、俺は入学出来なくなってしまったのだ。
エイルがいるからという理由で滑り止めに受けたこの学校に通う事になるなんて人生本当にどうなるか分からない。
俺、この学校で魔道具の扱い方を学べば、現実でもダンジョンに潜れる術を手に入れられるという。
この日本帝国にはほとんどダンジョンが無くなってしまったけど、北極、南極には手付かずのダンジョンが山のように存在するという。
チユと一緒なら将来冒険家になって南極のダンジョンにアタックしたも面白そうだなって思ったりもする。
(<廃ダンジョン>?面白そう!私もアマタさんが一緒なら怖いもの無しです!!)
チユは<廃ダンジョン>に反応するか。変わってるな。でも「一緒なら怖いもの無し」って言われると同じ気持ちなんだなって思って正直嬉しい。
(ありがとう。嬉しいよ。でも残念な事に遺跡にはモンスターは出ないしアイテムも出ない。単なる過去の遺産だよ。)
(アイテムが出なくても楽しそうです!!)
ダンジョンからアイテムが出ないのに潜る理由って無いんだけどな。
そう思いながら、本日10個目の神子の霊薬を生産する。
と・・・
「神子様神子様。そろそろ私達にも調合室を使わせて頂けないでしょうか?」
村長から声がかかる。
そういえばここ1週間錬金部屋使いっぱなしだったもんな。
<マスター。調合室です。決して錬金術ではありません。>
そうだっけ?だけど、村長の迷惑も考えて今日はここまでにしようか。
「ごめんなさい。今開けます。」
と部屋を出ると・・・
何この文官達の数・・・
お母様の姿までいるし。
文官達の手に持っているのは何かの植物の繊維と蜘蛛の糸だろうか。また大量に集めたな。染色剤もある。
何を調合するのだろうか。
「すみません、来月の精霊の儀の準備をせねばなりません。また日を改めていらしてください。」
「精霊の儀?」
「10歳になったエルフ達は精霊と契約を結ぶのです。ガイルもその対象に含まれてるんですぞ。」
「へぇ。精霊と契約か。凄そうですね。」
またお兄様が強くなってしまうと思った瞬間・・・
(アマタさん。もしかしたらお兄様はこの儀に参加しないかも知れません。)
とチユは口を開く。
(どうして!?強くなるいい機会じゃないか。)
(精霊と契約するという事は、このエルフの村のしきたりに従うという事。エルフの村の中央に大樹があるのを分かりますか?)
(ああ。めちゃくちゃ大きいよな。)
(精霊により大樹を守る使命を与えられます。逆に違反した場合・・・大樹を失ったら命を失う事にも繋がります。お父様やお母様、プロシュートさんも受けてはいません。何故なら村からそんな遠くまで行けなくなるからです。祠があったじゃないですか。あの距離ですらダメなのです。なのでもしかしてと思ったのです。)
村に縛られる。大樹が守れなかったら自分も死ぬ。けど強力な加護を得る。待てよ・・・ブレッサーって精霊の加護って言ったな。
お母様は何故ブレッサーを使える?プロシュートだって土の精霊呼び出して巨大化してたよな。
(それは異国の地で知り合った精霊と契約を交わしたらしいのです。)
(その方がリスクは無さそうだな。)
(3日3晩、寝ずに闘い倒したそうです。本当に死ぬかと思ったらしいです。)
なるほど。異国の地の精霊は強さを示すがあるのか。負けたら死・・・。どちらにしろリスクだな。弱い人なら前者。腕に覚えがあるなら後者。なるほど。お兄様は間違いなく後者だな。
そんな話をしていると・・・村長達は布切れを大量に生産しているでは無いか。
(儀式の時の正装を作ってるみたいです。)
(楽しみだな)
(そう・・・ですね。)
俺はこの時何故チユが浮かない反応をしたのか知るよしもなかった。単に毎年やってる儀式が退屈で・・・そんな事を思っていた。
俺たちは早めの就寝をした。
ついに学校入学の日を迎えるのである。
2章の前半はアマタの世界でSDGsします。
精霊の儀はまた後半に。




