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第53話

楽しんでもらえれば嬉しいです。


 この物語はフィクションです。

 登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。

「ちょっと、アマタにエイル!?約束の時間にいないと思ったらこんな所で何してるの?」


 アカネが登場した。紅い長い髪を後ろで束ねて今日も凛とした姿がカッコいい。セーターと黒のボトムス。


(えっ!?これがアカネさんですか!?なんか大人・・・美人さんです!!)


 チユが驚いてる。夢であったことあるんじゃなかったのか?


 とはいえまだ写真撮影の長蛇の列が待っている。


「何なに!?まさかアカネ様!?マジで今日ラッキーじゃない!?」

「激レアな3人が揃うなんて!!」


 と女子中高生達が騒いでいる。アカネはキィっと睨むように視線を送り注意した。


「ちょっと!!私達芸能人じゃないのよ!!それにこんなに長蛇の列作って!!ちょっとは周りの迷惑とかアマタの迷惑とか考えなさいよ!!」


 声を張り上げると先程まで騒いでいた女子中高生達が蜘蛛の巣を散らすように去っていく・・・


 でも遠巻きに俺たちを見ながら写真をパシャリ。


「アカネ。助かった。」


 とエイルはいうと。


「エイルもアマタも優しいからね。でもなんでも流されたらダメよ。言う時はハッキリ断らなきゃ。」


 と、怒りながらアカネはスマホを取り出す。


「そうだな。」

「待って。そのまま。記念に一枚。」


 と言ってアカネと自撮り風に一枚パシャリ。

 結局撮るんかいっ!!って思ったら納得いかない様子・・・


「もっと寄ってよ。映らないし。」


 と文句を言いながら俺たちを密着させる。俺もドキッとするが、エイルもアカネのどこ触っていいか分からない様子で「肩に手を置く」で落ち着く。


 「ピコン」と撮影音のもと、満足そうに微笑むアカネ。テンプラーではほとんど休みなくダンジョン潜る事になるので体調とか心配だったのだが、この様子なら心配無用だろう。


「後で動画、LINEで送るね。」


 動画かよ!!

 チユはアカネと初対面だというのに全く動じる事は無かった。


「ありがとう。」


 とちゃんと礼をいう。


「サンキューアカネ、立ち話もなんだし中入ろうぜ。」


 エイルの主導のもと、連れて行かれるのはイタリアンのお店。

 そこで新たに生まれる不安・・・


 チユってフォークの使えたっけ?

 そんな事を思ってももう遅い。パスタはダメでもピザもあるし・・・大丈夫か。


<マスター、そんなに心配しなくても、チユ様ならすぐに習得しちゃいますよ!!私もいますので安心して下さい!!>


 余計に心配になるんだけど。

 そんな事気にしてたら、アカネは俺をやたらに観察する。


 あれ・・・。やはり挙動とか発言とか少々おかしな点があるよな。絶対怪しまれてるよな・・・。俺はアカネの挙動を観察する。

 すると、ジト目でエイルを見て言った。


「エイル、アマタが女装にハマったって聞いたから心配だったのよ。どう見ても普通じゃない。」


「あのな。今朝まで女装だったんだ。元の服装に戻した俺の頑張りを認めてくれ。」


 いや、その頑張りはエイルじゃない。俺だから・・・


「もう・・・そんな事言ってドッキリさせないでよ。」


 エイルとアカネのやり取りを聞きながら席に着く。

 一件落着かと思いきや、俺はメニューを見て驚愕。


 ぱ、パスタだけで1300円?

 パスタの標準価格って普通、500円・・・高くて900円じゃないのかよ!!


<私の検索結果では・・・その価格はファミレスです!!この地区でのパスタ平均価格はこのぐらいで正常です。>


 な・・・なんて事だ!!こんなに値段が高いとは思わなかった!!

 いかん。予防線を張らなくては!!借金返済の為、生活費を死守しなくては、アルバイト掛け持ち生活になってしまう!!

 でもチユにアルバイトなんて心配でさせられないし。ならば節約以外に選択肢はない!!


(チユ、予算は1500円までだからな。)


 途端にチユの手が固まった。


<マスター、今日ぐらい少し高くてもいいのではないでしょうか?>


(アマタイル、そう言って服代に3万円使ったんだからな。今日はもう節約だ。)


 チユはあるページで止まっている。

 本日のスペシャルドルチェ ティラミスとマロンジェラートのパフェ。

 値段はなんと2300円だ。さてはこれが食べたかったに違いない。よりによって一番値段が高い奴を行くとは・・・。声を掛けるの間に合って良かった!!


(チユ、ピザにしよう。マルゲリータなんて1100円だぞ)


<マスター、誘導するなんて卑怯ですよ!!チユ様の食べたい物を食べて貰ったらいいじゃないですか!!>


(チユ、パスタなんてまだ食べた事無かったよな。美味しいぞ。)

(アマタさん。甘いのが良いです。ぱ、パフェを・・・)

(普通にティラミスとかじゃダメか?スモリラテッラとか300円だぞ。)

(アマタさんのバカ。)


 ぐすん・・・。


<あーあ。マスターがチユ様泣かせた。あまりお金にガメツイと女の子から嫌われますよ。>


 いやでも生活が・・・


<神子の霊薬も誰のおかげで生産出来てるのですか・・・。材料費はタダなんだし大量に取れるんだし一杯作って一杯売れば良いではないですか。>


 それを言われると・・・辛い。


(アマタさんなんて知りません!!)

(チユ・・・おーいチユ。)

(ご飯も要りません!!)


 な・・・。みんなでいるのに1人だけ水を飲んでるとか、そんな空気の読めない事させるわけには行かない。

 でも身体のコントロールはチユが握ってるので俺が何言ってもチユ次第・・・。これは一種のデモである。


「アマタどうした!?」


 なにやら不機嫌な様子の俺たちにエイルが反応した。するとチユは半泣き状態で・・・


「今日、服に奮発したから予算が足りなくて・・・パフェが食べれない。」


 と、涙目でエイルに訴えた。エイルは安心したように・・・


「なんだよ。それなら初めから予算キツイって言えよ。奢るからなんでも好きなもの食え。」


 なんとも太っ腹な兄貴である。

 そんな事になるとは思っていなかったのか途端に満面の笑みになるチユ。そこに遠慮は一切なく。


「本当!?じゃあティラミスマロンパフェ!!絶対これ!!」


 店内で1番高いのを頼むのであった。


「おいおい。いきなりメインすっ飛ばしていきなりスペシャルデザートかよ。ああ、了解だ。ドリンクはいらないのか?」

「いる!!」


 いや、エイル、太っ腹すぎる。というか1番高いのを遠慮なく頼んだ事に突っ込むのではなく、そっちを突っ込んだか・・・。ああ、神だ。エルフの村に来た際には神子様の座はエイルに譲ろう・・・


 このやり取り見てアカネが笑ってる。


「なんか2人って兄弟みたいね。こんな甘えたアマタの姿、初めて見るからおかしくって。」

「ああ、アカネはアマタがダンジョン攻略してる時の姿しか見てないもんな。動画で見る限りではアマタ余裕なくってキリキリしてたけどな。最近こんな感じだぞ。」

「なんか安心した。アマタってダンジョンオタクっていうか。一直線でしょう?だからアバターロスでおかしくなってないか心配だったのよね。エイルまで虚言吐くし。」

「一応嘘じゃないぞ。キャラがころころ変わる所とかおかしいけどな。」

「そうなの?エイルも中学の時そういう時期あったじゃないの。厨二病気的な奴。」


 まぁ、確かにあったな・・・痛いキャラ演じてた時が。待て、それと同類っていろいろやばいぞ!!!


「おい、辞めろって!!恥ずかしい。」

「それも含めて今のアマタでしょう。」

「・・・まぁな。」


 と言ってエイルが店員さんをすっと手を上げて呼んだ。

 エイルはモンゴレビアンコというアサリのパスタ。アカネはナポリタンを頼む。その中で俺だけティラミスマロンパフェ・・・。ホットココアのオマケ付きだ。


(チユ・・・甘いのに甘い飲み物は・・・)

(アマタさんなんて知りません!!)


 ダメだ。これは相当怒っている。何言っても聞いちゃくれないな。


「えっと・・・アカネにこれ・・・。」

「アマタ、何?」


 そう言って取り出した物は、本日のエイルに納品する筈だった神子の霊薬だった。


(ちょっとストップ!!それ納品する奴。1本足りなくなる・・・)


「渡しておく。」


 わかった。俺が悪かった。いや、アカネ相手だからダメとは言わないけどさ。俺の計画時短納品が・・・学校始まるまでに神子の霊薬納品し終わる計画が・・・


 俺の苦悩も知らずチユは神子の霊薬をアカネに渡す。


「何これ?回復薬?」

「そう。やばい時に使って。」


 アカネは不思議そうに見てる。


「回復薬にしては緑が光ってるし・・・色濃くない?」

「おいおいアマタ。本当に安定供給だよな。本当どこで入手したんだよ一体。」

「エイル知ってるの?」

「ああ。回復力は既製品の4500倍の効果だからな。品質は俺が保証する。」

「は?なにそれ。4500倍?」

「末期癌が一瞬で完治。俺の親父の頭の再生。偉業はまだまだ続くぞ。本当に自宅にダンジョンでも出来たのかって聞きたくなる入手スピードだよな。」


 自宅にダンジョン?そんなもん出来たら一大事件だろう。本当エイルは面白い事言う。


「無いよ。ダンジョン。」

「知ってるよ。でもその回復薬の秘密を教えて欲しい・・・。」

「これは・・・。」


(チユ、ストップ!!どう説明する気なんだ?)

(むむむぅ。)


「これは?」


 チユは困ってしまった。


「はいはいエイル。アマタが困ってるでしょう?アマタ、ありがとう。大切に使うわ。」

「どういたしまして。アカネは今何してるの?」


 チユは何気なく聞いたその言葉に戸惑う。


「あ、ダンジョンのボス倒して少し休暇が取れたの。」


 そういえばテンプラーって、ボス戦後は少し纏まった休暇をくれるんだったっけ。

 ダンジョンアタックってそれほど毎日毎日休みなくぶっ続けで続くからな。場合には学校も休むし。


 エイルが横から口を挟む。


「ネットで騒がれてるだろ?経費がかさみ過ぎて大変なんだろ?」

「エイル、しっ!!言っちゃダメ。心配かけないように言わないつまりだったのに・・・」


 いや、聞いてしまった。チユは俺の心配を代弁して


「大変なの?」


 と尋ねてくれた。


「そうなの。ちょっと今大変かな。ダンジョンですぐ意味不明な罠でピンチに陥って、めんどくさがり屋のレイモンドがアーティファクトぶっ放すってパターンが続いたからちょっと予算オーバー。ミーヤも斥候として上手く立ち回ってるんだけどね。」


 その辺はレイモンドとぶつからないとダメだ。よほどやばい罠はミーヤがまず発見して解除処理してしまうし。その他2軍のサポートメンバーだってそれは出来る。レイモンドの無駄遣いは前から俺も口を酸っぱくして言っていた。


 ダンジョンの罠というより、モンスターのスキルキャンセルをしくじったか?もしくは隠し部屋とか?

 どちらにしろ、アカネやレイモンドのステータスなら冷静に指示を飛ばして対処すればアーティファクト無しでも十分対応は可能なはずだが。


「そうなのか。俺はそこまでは知らなかったな。」


 とエイルは神妙な面持ちになる。


「言ってなかったしね。対して強いダンジョンとか出ないし、ダンジョン攻略は2軍の担当になるかもって言われてる。」

「おいおい。実力的には天と地程離れてるだろ?」

「アバターの質がそもそも違うからもし修理するってなった時の修理費が2軍の10倍かかるのよ、私達って。後輩を育てる意味合いも含めて2軍をメインにって。」

「結局経費かよ。」

「視聴率も、なんの危なげなくボス戦を勝利する私達よりハラハラさせる後輩たちの方が見応えあるみたい。」

「そもそも、視聴率目的で新ダンジョンのアタックしてるわけじゃないだろ?有用な資源調査だろ?」

「そう。本当はメディアはオマケなんだけどね。会社の方向性も儲かる事に今意識が行ってるのかも。なんかやだなぁ。」

「本当それな。俺の親父が儲け重視でやり始めたら俺は殴る。もう一度ハゲにしてやる。」

「エイル、それは辞めなさいよ。あーあ。エイルもアマタもせめてマネージャーとして戻って来ないかな。」


 そうアカネは呟いて、口を慌てて塞ぐ。

 チユはその表情の変化を感じとった?


「アカネ?」

「あ、えっと今の無し。ダメだからね。特にアマタはアバター障害なんでしょ?無理して戻って来たらダメよ本当に。エイルも・・・レイモンドと喧嘩するでしょう?だからダメ。」


 アカネの本心は俺に戻って来て欲しいのだろう。でも、俺の気持ちを気配って、発言を無かった事にしようとする。


(アマタさんの友達って複雑なの?)

(昔は仲良かったんだけど色々こじれちゃってな。でも仲悪いのはレイモンドとエイルだけだぞ。)

(そう・・・)


「アカネ、考えてもいいかな?」

「だから、今の聞かなかった事にして!!お願い!!」

「わかった。」


 俺のモヤモヤをチユは感じ取っている。居てもたっても居られない様子で座っていると・・・


 そこに料理が届いた。アサリ、薄切りのパプリカ、水菜の乗ったオイルソースのパスタ。


 ナポリタンはスパイシーなソーセージ、ピーマン、玉ねぎ、上に温玉。


 俺の所には高さ80センチのパフェがドン!!

 下の層から。ナッツの濃厚なジェラート、その上にティラミスで、上のトッピングにマロン味の泡、モンブラン風に盛られたマロンクリーム、大粒の栗、そして飾りのマロンクッキー。ティラミス風ブラウニー


 一口食べてチユは固まった・・・。左手で頬を抑えている。


 ・・・・・・ああ・・・絶品・・・・・・


「アマタ、大丈夫か?フリーズしてるぞ。」

「アマタ、反応がとても乙女よ。」


「肌っぺが落ちそう・・・最高!!」


 この反応にアカネが突っ込んだ。


「アマタってこんなに甘党だったっけ?」

「最近目覚めたようだ。」


 チユは食べるのに夢中なのでエイルが代わりに代弁してくれた。


「そう。糖尿病にならないでね。」


 アカネ、それには深く同意する・・・。

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