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第48話 赤鬼の処分を考えよう。

「あれ?これどういう状況かしら?」


 と聞きなれた声・・・。

 お母様の声だ。


「ああ、チユ、こんなに酔い潰れちゃって。リカバー!!」


 頭が突然クリアになった。これはお姉様の声?

 はっ!!地面近っ!!

 顔を上げると困ったように


「お酒も作るの大変なのよ。誰が作ってると思ってるのかしらね。あの戦士達は。」


 と愚痴をこぼすお母様の姿があった。


「えっと・・・。」


 状況を整理しよう。あの赤鬼を倒す為にユメちゃんが戦っている。今、二十五杯に突入したようだ。


「お前すげぇな。俺、こんなに酔ったの久しぶりだぞ!!」

「うっ。私は酔ってないわ。酔ってないけど胃袋がぎゅうぎゅうね。」


 審判が2人のジョッキにお酒を注ごうとした時お母様がその酒樽を取り押さえた。


「貴方達!!お酒禁止!!その酒樽、儀式用じゃない!!何勝手に開けてるの!?」


 文官達は目を見合わせて


「だってお婆婆様が・・・。」


 と言い訳を述べる。


「だっても何もないわよ!!中止!!中止!!近い内に精霊の儀があるんだから、もう飲んじゃだめよ!!もしそれで儀式が行えなかったら、文官達が即倒するわ。お父様、ガイル、止めるの手伝って!!」


 お母様の呼びかけのもとお父様が動く・・・赤鬼を取り押さえた。

 一方でお兄様はユメちゃんを取り押さえ介抱する。


「お前、あんな腹が焼ける奴、よく二十五杯も飲んだな。」

「あら、まだまだいけるわよ。」

「中毒で死ぬから辞めておけ。」


 お兄様に抱き抱えられ私の前に帰ってくるユメちゃん。


「ユメちゃんおかえり。凄かったよ。」

「引き分けだったわ。残念。」


 凄い、口臭がアルコール臭かった。お姉様が心配してユメちゃんの前に来る。


「姫さま、一応、リカバー掛けますね。」

「本当で酔ってないから大丈夫よ。」

「えっ・・・?」


 本当に平然としていたのだ。

 ふと前を見ると、平気なのは赤鬼も同じ。お父様を睨みつけながら


「この勝負、何で決着を付けるんだ!?」


 と騒いでる。

 そういえば、赤鬼の生死が決まる闘いでもあったんだっけ?俺的にはもうどうでもいい・・・と言ったら語弊があるが、赤鬼を殺す事に執着はしていない。

 チユの心も無駄な殺生は好まない。俺も穏便に済ましてなんとか生かして逃さないかと考えてるぐらいだ。


「その勝負、アームレスリングで決着をつけさせて貰おう!!」


 突然、広場に乱入してくる筋肉ダルマ。確かにそれなら平和的に解決できる。

 アームレスリングと聞いて、一瞬背筋がゾッとなる。

 そういえば俺、筋肉ダルマとアームレスリング大会に誘われてかけてるんだった。誘われても乗る義理はないのだけど・・・いや、祠の件があったからな。変に誘われたら困る。断るけど。


「あらあら、原始的ね。」


 とディスるユメちゃん。だけど、その表情は楽しそうだった。


「前回大会一位、このプロシュートが相手になる!!」


 そのプロシュートに対してお父様が食い下がる。


「おい、何言ってやがる。本調子なら俺が勝っていた!!」

「それは勝ってから言え。」

「クソ!!」


 審査員である文官達は俊敏だった。肉体強化魔法でも掛けているのだろうか、酒のジョッキをすぐに退かし、テーブルにクロスをかける。その手際の良さは洗練された兵士ならぬ洗練された家政婦さんだった。


 そこに、プロシュートと赤鬼が手を握り合う。


「おい、お前、うちの戦士達を40人殺したようだな。」

「それは戦争で敵軍だったからだ。仕方ねぇだろ。」

「それは敵陣のど真ん中で言うもんじゃないよな。」

「まぁな。で、何を賭ける?俺が勝ったら自由にしてくれねぇかな。」


 話合ってる内容は穏やかでは無い。

 これは・・・止めた方が良いのかな?


「は?どの口が言ってる?お前は宴会が終わったらそのまま檻の中ぶち込まれて死刑だろ。拷問受けてな!!受ける訳ねぇだろ。」


 えっ!!そんな事なってるんだ!!

 俺はプロシュートの服を引っ張った。


「ちょっと、筋肉ダルマ。そんな話は聞いてないけど。」

「神子様!!えっと・・・」


 多分プロシュートは負ける。魔力量の違いから赤鬼に軍杯が上がる。だからむしろ・・・


「受けてあげなさいよ。負けるの怖いの?」


 俺はプロシュートをけしかけた。負けず嫌いのプロシュートは案の定誘いに乗る。


「俺は負けない。」

「ならいいじゃない。」

「おい、赤鬼。お前負けたら知ってる情報全て話せ。いいな。」


 プロシュートと赤鬼が向き合い、手組む。


「レディーファイト!!」


 筋肉と筋肉が膨張しあう。グラグラと震えながら、お互い一歩も譲らぬ戦いをしている。


「やるなオメェ。豪気収束!!」

「てめぇ、卑怯な・・・!!土の精霊よ!!」


 一歩、赤鬼が有利になりかけ、体勢を整える筋肉ダルマ。


 しかし、筋肉ダルマのに疲労が見えた。

 そう、奴の豪気は体力も気力も魔力も奪う。敵は潤い筋肉ダルマはへばる。


「頑張って!!」


 俺は声援を送る!!


「お、俺は負けねぇ!!」


 グイッと筋肉ダルマは勝負をかけた!!全力を尽くすが・・・。ガタン!!と机に叩きつけられたのは筋肉ダルマの手の甲だった。


「くっ、負けた!!」

「ハッハッハ、俺は自由だ!!」


 自由にさせたのは俺の計らいなのだが。

 そう思って安堵した時、波乱はプロシュートによって呼び起こされた。


「神子様!!あなたの出番です!!俺よりも強い神子様ならきっと!!」


 聞き間違いだと思った。

 えっ!?俺?こんなか細い腕のチユだぞ!?

 なんで俺が筋肉ダルマより強い事なってるの!?

 なんて思っても赤鬼は俺を見て笑っている。あの顔は・・・あれだ。やる気満々だ。

 俺はプロシュートに向き合った。


「待って、わ、私!?なんの冗談!?」

「貴方の兄に勝ったので、アームレスリング大会のお誘い、受けてくれると思ってるのですが!!」

「えっ?それ一緒に見ようって話じゃなかったの!?」

「いえ、違います。選手としてお誘いさせていただきます。どうか、勝ってください!!」


 なんでやねん!!

 えっ!ええ?なんでこうなった?俺そんなフラグ立ててないよね。いつから俺、筋肉ダルマの中で筋肉キャラが根付いたんだ?何故?勝てって言われてもこの筋肉量見てよ!!


 鳥の手羽先と丸太の違いだぞ!!


「チユちゃん頑張れ。」


 ああ、ユメちゃんまで・・・

 なんかステージに登らされてた。もうやるしかないか・・・


「チユ、お前、プロシュートさんに恥かかせるなよ!!」


 お兄様まで!!これは・・・もう知るか!!当たって砕けろ!!


「あ、あの。ふつつか者ですがよろしくお願いします。」

「お前、酒の時は息巻いてたくせに筋肉勝負だと謙虚なのな!!」


 はい酔っ払いが失礼しました。お姉様のリカバーで酔いが覚めましたんで今は気は大きくありませんので。


「あの。貴方の自由は確定したので、お手柔らかにお願いします。」

「で、何賭ける?」

「賭けません。」

「賭けないとつまらねぇだろ!?俺が負けたらお前の言う事なんでも聞いてやる。お前が負けたら毎日晩酌に付き合え。酒強くしてやるよ。」


・・・はい?


「それ、私のデメリット無くない?」


 毎日酒飲めるのはいいけどその提案はお母様が許さない。


「チユ、あのお酒は神聖なもの。毎日飲むもんじゃありませんよ。」


 そら見ろ・・・

 心の声を見透かすかのようにお母様が釘を刺す。それに拍車をかけるようにお兄様とお姉様まで便乗した。


「チユ!!お前負けたら毎日虫料理な。」

「そうよね。チユの食わず嫌いを治してもらわないと。」


(えっと・・・私は虫料理大丈夫なんだけど・・・アマタさんが無理なんです。)


 いやチユ、俺に弁明しても意味ないからな。

 というか不味い。本当に不味い事になった!!毎日虫料理なんて絶対に嫌だ。変な食中毒とか寄生虫に侵されて死にましたって洒落にならないからな!!

 虫料理って何?マムシでも無理なのにそれ以上に無理。


「私は負けない。」

「なんか突然良い顔になったな。まぁ良いぜ。やろう!!」


 俺は赤鬼と手を合わせる。そのまんま・・・大人と子供の手の差がある。


 俺は真気収束を纏う。豪気に奪われない用に円を・・・いや、球形をイメージして気を練る。

 あれ?黄金にならないぞ。ステータス上昇率も80のまんま。


<あの時はマスターだけの想いだけでなく、村全体の願い、想いを背負っての真気収束でしたので。力の規模が違います。>


 そうか・・・。?ってどういう事?そこんとこ詳しく・・・聞いてる時間はない!

 もう勝負が始まる!!どうしよう。勝てるかな?


(アマタさん!!応援してます!!ブレス!!)


<筋力上昇のみのステータス上昇。100上昇>


「なんだ?急に手が太くなったみたいだ。豪気収束!!」


 審判がコールする。


「レディファイト!!」


 やばい、一瞬で持っていかれそうなんだが・・・。


「真気とは相性が悪い。残念だったな!!」


 負けたら虫料理。負けたら虫料理。イジメだ。酷いよ!!


「絶対に負ける訳にはいかない!!」


「そんな事言って、終わるぞ。終わっちゃうぞ。」


 やばい、赤鬼のペースじゃないか。俺の力に合わせて加減してやがる。


 周りの戦士達の反応も「やはりこの筋肉量の差じゃ無理だ。」とか「プロシュートさんに勝った強者相手にそれは可哀想」だの好き放題言っている。


 もう怒った。正攻法じゃないが、痛い目見せてやる。卑怯と言われようが、虫を食わされるよりマシだ!!


「馬鹿いえ!!神子様は俺以上に強いんだ!!絶対に隠し玉がある。絶対に負けねぇ!!」


 皆が裏切る中、筋肉ダルマだけは俺の味方だった。嬉しかった。

 隠し玉ってあれか?反則技を使えって事か?

 俺は赤鬼の指の甲に指を食い込ませる。特殊なツボがあるのだ。力の入らなくなるツボが・・・真気収束のオーラをそのツボに一点集中させた。


「オロ?」


 バレないように一瞬で!!

 手首を返し、関節技を決めながら瞬時に叩きおとした!!


 インパクトは強烈だった!!勢いよく机に叩きつけ、机をぶち破る!!


「えっ!?」

「マジで!?」

「さすが神子様。本当にやりおった!!」


 された赤鬼もビックリした様子で俺を見た。


「おい。急に俺力が入らなくなったぞ。」


 やはり反則を指摘されるか?


「勝ちは勝ちだからな。」


 としらを切る。だが赤鬼はキラキラした目で俺を見た。


「お前すげぇな!!今の技なんだ?豪気でもこんな技見た事ないぞ!!」


 あれ、バレてない・・・それどころか・・・審判は俺の手を高らかに掲げて


「勝者!!神子様!!」


 「うおおおお!!」と大歓声が上がった。俺は勝った。勝ったから虫料理地獄は回避された!!俺の平和は守られた!!よっしゃ!!


「神子様!!やはり俺以上の剛腕の持ち主!!俺の見立てに狂いはなかった!!」


 そんな筋肉ダルマの嬉しがる姿を見て・・・


「勝てた!!勝てたよ!!一時はどうなるかと思ったけど勝てた!!応援、ありがとう!!」


 嬉しくなって抱きついた。頬にキスをする。


「なっ!!」


 ビックリする筋肉ダルマを他所に。エルフの皆は騒然とした。


「えっ?」

「おや?」


 俺はそれがエルフにとってどういう意味かちゃんと理解していなかった。

お読みいただきありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。



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