第39話 神子は戦争前にエイルからレクチャーを受ける
楽しんでもらえれば嬉しいです。
この物語はフィクションです。
登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。
「アマタ、魔導具を貸してやる。パワードスーツと言ってスイッチ1つで簡単に装着可能、全ての攻撃から身を守ってくれる最強アイテムだ。」
これは知ってる。SF漫画とか、デスゲームものでよくあるピッタリめのボディスーツだろう?
「自前のがある気にするな。」
いや、正確にはないのだが、今回は真気収束、後、チユの魔法も頼ろうと思っている。これを魔道具と見立てて試合をするのだ!!
(頑張ります!!)
(存分に暴れちゃってくれ。)
「馬鹿お前・・・どこにあるって?見栄張ってないでパワードスーツぐらい着とけ。防弾チョッキどころの防御力じゃねぇからよ。」
そう言ってエイルは魔道具を使用した。黒を基調とした特殊繊維の服がエイルの身体をコーティングする。
見た目的にどこかで見た事あるぞ。海に潜る奴・・・えっとダイビングスクールの生徒みたいだな。水中メガネをかけたら完璧じゃないか。
<エイルのステータスがオール100上がりました。>
「え!?簡単便利で攻防に優れてる!!」
馬鹿にしてすまん。そんなに上がるとは思わなかった。
見た目はあれだが性能は真気収束以上だな、おい。
「お前、その発言、戦闘力測定器でも身に付けてるのかよ。何適当な事言ってんだよ。着ないと分からないだろ?」
まぁ、本来ならエイルの言う通りだよ。
「だから大丈夫だって。俺にはこれがある。」
(チユ、ブレッサーを頼む!!)
(了解です!!)
チユのバフに加えて真気収束をする。これでステータス的にもほぼ互角になっただろう。
「おいおい、なんで突風が吹き荒れるんだよ。どんな魔導具だよ。」
と笑いながらエイルは自前の大きな槍を持つ。あれはミスリル製か?おいおい。武器も容赦ねぇな。
対する俺は竹刀に真気収束を纏っただけの代物。
<マスター、悪い事は言いません。混沌ノ剣を召喚しましょう。>
なんでその武器が出てくるの?。俺のアバターの愛用武器じゃないか。なんであるの?崩剣ディアブロスじゃないの!?
疑問に思った瞬間にエイルの10連突きが炸裂した!!俺は弾く!!やはり段違いでエイルの技は強い。
余計な事に意識を裂いている場合じゃない。
(アマタさん助けます!!気配遮断!!)
チユの魔法が入った。
「んな馬鹿な!?」
エイルが一瞬俺を見失った。その隙に俺はエイルの背後に強力な斬撃を!!
エイルは槍の柄で俺の斬撃を受け止めた。
「ミーヤの真似か?気配消したら急所か背面・・・常識だろ?」
「そこまで読むか!?」
(アマタさん!!マジッククイーバー行きます!!)
俺の背中に10本の矢が召喚された。風魔法で宙に浮き、ドリルのように回転する。
えっ!?それはやりすぎじゃないか!?
そんな疑問が浮上するが。
「おいおい、殺意高いな。どんな魔道具だよ!!」
エイルは笑っていた。これ、防がれる奴か?
10本の矢がエイルを襲う。
エイルは槍を高速でぶん回す!!全ての矢を叩き落としてしまった!!
まさに武術の達人だ。やばい。鳥肌が立った!!エイル、どんだけ強いんだよ!!
<チユ様、棒立ち状態の時に魔法を撃っても見切られちゃいますね。ディレイ魔法、覚えましょうか?>
(ディレイ魔法?)
チユとアマタイルの会話中、俺とエイルは休みなく剣技を見せ合っている。先程とは別次元の速さで攻守が入れ替わり続ける。
<はい。魔法を発動するタイミングを遅らせる魔法です。>
(ほぇ〜。)
なるほど。タイミングさえ遅らせられれば、絶対に避けられないタイミングで魔法を放つ事が出来る。
なんて納得すると、エイルの斬撃を直撃しそうになる。危なっ!!
<とは言ってもただ遅らせるだけではチユ様の両手が塞っちゃいます。なので私、アマタイルに丸投げして下さい。>
(丸投げ?)
<魔法を唱えたら、発射をイメージするのではなく、放置する。それだけでオッケーです>
(そんな事したら魔法が失敗してしまいます!!暴発とかして危ないんですからね!!)
<それは私が管理する人がいないから暴発します。私が管理、保存しますので安心して放置して下さい!!なので、チユ様には大量生産をお願いしたいのです。>
(へぇ。じゃあ、マジッククイーバー!!)
<はい、受け取りました。マスター、任意のタイミングで放ちますよ。>
俺の視界にはマジッククイーバー×1という文字が宙に浮かぶ。冷静に・・・まだ発動せずにとっておく。俺は防御を続けた。
「また防御に徹するんだな。攻撃は最大の防御だぞ。」
エイルの攻撃は重い。正面から受けるとのけぞってしまう。
しまった・・・。俺は咄嗟に丹田を込めた。真気収束の魔力の膜でエイルの槍を受け止めるイメージで魔力を練った。
俺の腹に叩きつけられた槍。金属に撃ち込んだような重い音。違和感でしかなかった。
「ちょっとは痛がれよ。腹に鉄板でも仕込んでるのか?」
真気収束は防御にも使えるのか。これも発見だ。
そしてエイルの槍を俺は掴んでいる。これはチャンス!!
<マジッククイーバー、消費します!!>
「おいおい。嘘だろ!?」
俺の背後に発生する10本の矢にエイルの顔は青ざめる。至近距離からの一斉掃射。回避不能だ。
直撃は避けてやろうと思った時だった。エイルが一瞬、蜃気楼のように揺れた。
リフレクターと呼ばれるエネルギーシールドだ。それがエイルを守る。
普段はアバターに常備されている装備である。現実で見た事はまだない。エネルギーシールドに阻まれた風の矢は霧散して消える。
「俺の切り札がどんどん消費していく。勘弁してくれ。」
と嘆きながら、エイルの槍の先端が大きく光るのを感じた。武器スキルに似た何を察する。
このまま抱き抱えてたらダメだ!!
咄嗟に離して後ろに飛んだ。
俺の視界には結界術、イグニッションの待機画面。
迷わず意識する。結果術発動と・・・
<発動しました。>
俺の目の前に透明なブロック片が瞬時に積み上がる。瞬間、エイルの槍は火を吹いた!!槍の先端が飛んできたのだ!!
それは結界にぶつかり大爆発を起こす。ブロック片にヒビがはいる。
「おいおい。殺す気か!?」
「アマタ、やっぱり防ぐか!!面白くなって来た!!」
ディレイ魔法を習得してなかったら今頃どうなってたか・・・それを考えると身震いを覚えた。
俺は咄嗟に後ろに下がると、前のめりに追撃してくるエイル。エイルの斬撃に結界は簡単に砕け散った。
俺は下がりながらイグニッションを発動!!それは小規模爆発。敵を吹き飛ばすというよりは、自分の足や手にその爆発の勢いをつける。
後ろに飛んで下がっていた俺はその爆発を足に受け、まるで壁を蹴ったように前に跳躍する。
空中ダッシュだ。
身動き出来ないはずの空中でのまさかのアクションにエイルは目を大きく見開く。
「は!?」
全力のオーラで包んだその剣でエイルの斬撃にタイミングを合わせる。勢いでは俺の方が上。押し勝てる!!そう思った時だった。
ついに俺の竹刀が真っ二つに砕けた!!やはりこの竹刀じゃ耐久性が無さすぎる。
エイルはニヤリと笑う。絶対勝利を確信した顔だ。
(アマタイル!!混沌の剣を出してくれ!!)
<待ってました!!>
エイルの攻撃が俺に迫る。寸止めする気は無いようだ。峰打ちで吹っ飛ばしてやろういう魂胆が目に見えて分かる。
混沌の剣に手を添え、抜刀した!!
エイルの槍を捉え、エイルの身体ごと数メートル吹き飛ばす。
「痛ってぇ!!なんだ今の衝撃は!!」
やっぱり手に馴染む!!この丁度良い長さ!太さ、このフォルムの黄金比。やっぱり愛用の剣は違う!!
テマルの剣、崩剣ディアブロスは細身で長い分、ちょっと俺には軽くて扱い辛かったんだ。振りやすい!!
さっきの攻撃、オーラで剣を保護する必要がない分、思いっきり鋭く重い衝撃波を抜刀と同時に放って見たのだが・・・真気収束って、もしかして剣の攻撃力に比例でもするのだろうか?竹刀での攻撃では全力のオーラをぶつけてものけぞらなかったエイルが、今のけぞっている。隙を見せつけているぞ。
今、多分追撃してはいけない。こののけぞっている時間もカウンターを狙い、誘っているのだ。
「剣を抜いたか!!やっと本気になったか?」
二、三歩後ろに歩いてエイルは槍を低く構える。やはりな。
「いや、今まで俺、本気でやってたぞ。」
技の読み合いでもパワーでも俺はエイルに僅差で負けていた。それが今、対等になったという事か?
<スレイブニル待機中です。いつでも行けます。>
(アマタイル、これはな、あくまで模擬戦だ。スキルに頼って倒すもんじゃない。)
スレイブニルとは、この剣のスキルの事である。
場合によってはAランクモンスターを葬り去る事が出来る威力を誇った技であり、模擬戦で使うにはあまりにも反則臭い要素が多いのだ。
それより、この武器と真気収束のオーラの相性を検証したい。
何発かエイルと剣を合わせるが、俺が力負けするような機会が無くなっている。不思議だ。
「その剣・・・どっかで見た事あったな。どこだっけ?」
エイルが眉をひそめる。
この終わりの見えない攻防戦がいつまでも続けば良いと思い始めて来た頃・・・
「アマタ!!エイル君、試合中断!!警察来たよ!!」
という話で引き分けという形で幕を下ろす事になる。
「レイア姉、今いいところなんだ!!」
「それなら警察にお世話になる事ね。」
チラッとエイルを見たら、パワードスーツを解除し、私服になっている。
身体以上あった槍はどこ行った?何故か、釣り用リュックを背負っている。
「わかったよ!!」
不完全燃焼だがレイア姉の指示に従った。
俺たちの退散は早かった。
警察の車が入って来れないように住宅地の細い通路を選んで走る。白バイクはそんな入り組んだ細い路地にも入り込む。だから誰かの家跡地の雑木林に入り込み身を潜める。
これ、完全に不法侵入だよ。
<ソナーを発動します。警察は去りました。>
そのアマタイルのアナウンスを確認して発言する。
「レイア姉、巻いたっぽいな。」
「私先生なのよ。なんでこんな事しなければならないのよ。公道で魔導具の使用は禁止されてます。」
「レイア姉が誘ったんだろ?」
「そうだけど。」
俺とレイア姉が言い争ってると。
「まぁ、何事も無かったんだから良かったじゃねぇの?」
とエイルが締めくくる。そりゃそうだ。
ひと段落着くと、
「エイル君。今日ウチでご飯食べていきなさいよ。」
「え?本当ですか?ご馳走になります。」
と言って俺たちは家に向かって歩き出す。
「後アマタ・・・その剣、会社から持って来ちゃったんだ。明日、テンプラーに返しに行きなさいよ。アマタの所有物じゃないでしょう?」
「え?レイア姉、この武器が何か知ってるの?というかなんで知ってるの?」
「ウロボロスだっけ?7年間アマタと一緒にテレビに映り続けた剣でしょう?それは私じゃなくても知ってるでしょう。」
そこまでレイア姉が言って、ハッと思い出すエイル。
「どこかで見たと思ったらウロボロスか。<アバター>が扱って初めて真価が発揮されるんだぞ。生身の人間が持ってても宝の持ち腐れだ。」
「エイルまで・・・。スキル名叫べば誰でも使用出来るんじゃないのか?」
「馬鹿いえ。スキルにはロックが掛かってる。<アバター>内のサポートAIがスキルを管理してるだろ?知らないのか?もし、叫べば誰でも使用出来るなら寝言で『スレイブニル!!』とか言ってみろ。街が壊滅だからな。」
馬鹿にしたように言うエイルに少しだけ腹が立った。今ここで、言ってやろうか?スキル名言うだけだよな。普通は発動しないんだよな。
<全力でサポートします!!>
(そうだな。期待している。)
冗談はさておき、エルフの村にて筋肉ダルマが崩剣ディアブロスを奪った時があった。あの時、アイツがスキルを発動出来なかったのは単純にロックのおかげか。
なるほど。あの時、勘違いで選ばれ者の剣と言われていたが、あの表現はあながち間違いではなかったみたいだ。
お読み頂きありがとうございます。
これからも本作品をよろしくお願いします。
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ローファンタジーで、主に九州が舞台となっております。




