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第38話 戦争準備なのに・・・神子は姫の護衛のやる気の無さにキレる。

楽しんでもらえれば嬉しいです。


 この物語はフィクションです。

 登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。

 プロシュート(筋肉ダルマさん)対お兄様の対決が始まった。

 体格差的に圧倒的にプロシュートが有利なはずなのだが、お兄様は力を付けた。真気解放状態のお兄様はプロシュートに対して全く遅れを取っていない立ち回りをしていた。


「あのガイル少年の真気収束は素晴らしいものがありますな。僅か10歳にしてそれを出来る実力があるとか、将来有望な人材ですな。」


 戦いを見ながらセバスは呟く。


「そうなのです。私に真気収束を教えてくれた師匠なんです。」

「へぇ神子様の。ですが、せっかく能力が大幅に向上されてるのであればあの剣は少しリーチが短い気がしますな。」

「なるほど。成長にあった武器を渡してあげないとダメって事ですね。」

「この老いぼれは、久しぶりに楽しくなっておりますな。」

「それほどお兄様は筋が良いって事ですか?」

「左様。」

「妹として誇りに思います。」

「そういうお主が、あやつに剣を教えたのではないのですか?」

「何を言いますか。お兄様と私では剣技の系統がまるで違います。お互いに模擬戦で高め合っているだけです。」

「今度、神子様とは剣を交えてみたいものですな。」

「セバスさん。そんな謙遜を・・・。貴方の実力なら私などウォーミングアップにもならないでしょう。」

「ハッハッハ。謙遜は貴方の方では?神子様の方こそ剣技の底が見えませぬ。」


 そんなやり取りをセバスさんとやっていると。ユメちゃんが怒る。


「セバス、そのやり取りうるさい。」


 セバスさんは悲しそうに押し黙ってしまった。


 私と出会う事でお兄様は強くなった。その成長に剣の方が置いてきぼりを食らってしまったという事だ。

 今度、お兄様に崩剣ディアブロスのような魔宝剣シリーズ作ってあげよう。なんて密かにプレゼントの計画を立ててみる。


「チユ様のお兄様は剣技の読みはなかなか上手ですな。剣線も鋭く、日々鍛錬をしているのが分かる。」

「ええ。自慢の兄です。」

「もっと魔力が高ければ鬼人族の親衛隊にも匹敵する実力者になりましょう。付け加えるとすればエンチャントをもう少し覚えましょう。それと真気収束の幅が狭いようです。身体能力の強化だけではなく思考回路が早くなったり、細胞が進化したりするもんです。」

「セバスさんは真気収束を知ってるのですか?」

「豪気収束と似た性質を持つスキルですので、豪気収束を極めれば自ずと真気収束の真価が分かるものなのです。」

「へぇ。」


 セバスのウンチクを真剣に聞いていると、ユメちゃんに再び怒られる。


「セバスうるさい。試合に集中出来ないし、チユちゃんが困ってる。」

「私はつい、指南癖が・・・。」


 お兄様と筋肉ダルマの実力は拮抗していた。3メートルある筋肉ダルマの攻撃をお兄様は耐える。

 あるとしたら精神力と経験の差か?筋肉ダルマが優位に見えるが。俺は応援する。


「お兄様!!頑張れ!!」


 と。じゃないと俺が筋肉ダルマと一緒にアームレスリング大会に見に行かないといけなくなってしまう。

 しかし、応援は虚しく決着は一瞬だった。巨大化した筋肉ダルマの一撃!!お兄様の剣が手から離れて宙を舞う。


「ユメちゃん、走るよ!!ここは危険だ!!」

「えっえ!?」

「あの筋肉ダルマさん、苦手なんだ。告白とか、デート誘われるとか真っ平ごめんだし。行こう。」

「筋肉ダルマさんって誰!?ああ・・・なるほど。そう言う事ね。行こう!!」


 俺たちは走り出す。丁度プロシュートがこっちを振り返った時だった。


「神子様!?お待ちを!!是非とも私と一緒に、アームレスリング大会の選手として出場を!!お願いします!!!」


 なんで選手やねん!!!!

 このあり得ない話の展開にエセ関西弁が心の中で響くのであった。




 本気で走ったのでかなり息が切れている。

 エルフの戦士達は振り切った。


「チユちゃん面白いね。告白待たずに逃げるんだ。私も今度やろう。楽しい!!」

「い、いやユメちゃん。私は必死だからね。」

「でも、告白されたら嬉しいものよ。それすらも嫌なの?」

「だって何考えてるか分からないじゃない。8歳とおじさんの組み合わせって犯罪だと思う。」

「犯罪!?なにそれ。面白い価値観だわ。ウチのとこでは政略結婚とかざらよ。6歳からでも利用価値あれば60歳の爺さんとこに送りこまれる。」

「それってどうなの?私なら逃げ出すね。やっぱり好きな人と結婚したい。」


 俺の意見だ。そう言い放った手前・・・チユの確認を取ってない事に気がついた。


(チユもそう思ってるよな。)

(私は・・・運命の相手なら政略結婚でも受け入れます。)

(マジで?本気で?)

(家族が幸せになるなら。エルフの皆、運命の相手は神や精霊によって選ばれると思ってます。政略結婚でも、最終的に結婚に行き着くなら精霊のご意志と思って受け入れるのです。)

(なんていう文化なんだろうか・・・。俺はモヤモヤするな。)


 チユとの会話を早々に切り上げ、ユメちゃんを見た。ユメちゃんは面食らっている。


「嘘?本当に!?エルフの発言とは思えないわ。貴方とは気が合いそうね。」

「まぁね。」


 中身は普通の人間なんだしな。

 そう思ったらセバスが咳払いをする。なんか雲行きが怪しいぞ。


「えー、ユメ様は王族の身でありながら、そんな考えをお持ちだったのですね。」

「何よセバス。私だって結婚相手ぐらい選びたいわよ。」

「結婚って、何をしたら結婚になるか、ご存知ですよね。」


 セバス、一体何の話をしてるんだ?ユメはチユの一個上、まだ9歳だろ?まさか濃い大人の話をするんじゃないか?

 そんな冗談に染みた予感は予想に反して的中する。


「ええ。鬼人族の村では男と女の関係を結んだら・・・だったわよね。」


 ユメさん!?それはセック○という事で間違い無いよね。

 セック○が結婚と同義?

 出来ちゃった婚じゃないだろうしどういう事?

 というか9歳のユメがなんで知ってるの?ませてるの?


「はい。だから貞操を護る事を徹底的に教育してるのですが、ユメ様は、まるで遊女のように知らない男に尻を振りまくるのですか?」

「振らないわよ。手順は踏むわよ。式を挙げてそれから・・・・・・。」


 俺はたまらず声を上げた。


「待って!!ちょっと分からない。どうして男と女の行為が結婚に繋がるの?」


 セバスは不思議そうに俺を見た。


「チユ様にはまだ早いと思ってましたが、神子様は魂が別でしたね。分からないものだと思って普通にユメ様と会話してました。失礼しました。」

「へ?魂の話したっけ?」

「魂が見えるのはジョアンヌさんだけじゃないのですよ。それで、鬼人族の文化の話をしましょう。鬼人族はご先祖さまを大切にし、死者の魂を重んじる文化があります。シャーマンと言った、霊と通じる者がいるぐらい先祖を大切にするのです。先祖達は常に私達と共に生活していると考える種族なのです。」

「初めて知りました。」

「エルフと鬼人族、それだけ交流がなかったという事です。それで、目に見える結婚式というのは神聖な幕屋で行うものですが、目に見えない結婚式というのが、行為そのものなのです。遊びだろうと正式なものだろうと行為を持って血が混じり合う。その血の混じり合いの初めての行為こそ、ご先祖様同士が同じ身内となり初めてご挨拶する瞬間。」


 背後のご先祖さまの事なんて考えた事ないぞ。


「目には見えない結婚式ですか。」

「そうです。だから沢山関係を結んだ鬼人族の子は大変なのです。」

「沢山の人と結婚した事になるから?」

「はい。背後の先祖が増えればそれだけ運勢が変化する。大体運勢がいい人は良い先祖の徳により生きている。先祖の中には良い先祖もいれば悪い先祖もいる。人生で罪を侵さない人などいない。鬼人族はむしろ悪い先祖の方が多いのです。つまり、関係を結べば結ぶ程運勢は悪く、泥沼なのです。」


 運勢は最悪になるし、誰の子か分からない子どもばかり出来てシングルマザーになる・・・と。


(もう、一体何の話をしてるのですかぁ!!!結婚?行為ってキスですか!?)


 やべっ。チユに聞かせていい話じゃなかった。


「チユ、凄い顔が真っ赤よ。エルフの村ではそんな情教育って無さそうだもんね。それで、プロシュートさんとお付き合いするの?お兄様が良いの?それとも違う人?」


(でも!!いろんな人とお付き合いはしません!!1人だけです!!)


「ま、待って!!ちょっと、刺激が強すぎて・・・。」


 主にチユが倒れちゃうぞ!!


「ふふふ。ああ、楽しい。こんなに友達って最高ね。」

「もうユメちゃんからかわないでよ!!慣れてないんだって!!」


 本気で笑い事じゃないんだって。

 そんな浮いた話に花咲かせていると村長がユメの護衛を連れてきた。


「神子様、ユメ様!!王の返信が来ましたぞ。」


 その声に浮ついた気持ちも引き締める。援軍が来たのならやる事は一つ。神子として皆をもてなさなければ!!


「村長。じゃあ援軍が沢山村に来たって事ね。食糧足りる?丁度お母様が畑の収穫やっていたわ。それで決戦に備えて宴会を開きましょう。」


 俺の気持ちはまだ浮ついていたのかも知れない。だから村長の発言を理解出来なかった。


「援軍は来ない。」

「は・・・・・・?」


 その衝撃事実に男、アマタが出てしまう。


「護衛10人とユメ様だけでどうにかしてくれと。」


 耳を疑う内容ばかりだ。モンスターの大群が来るんだぞ。ユメは王女、自分の娘。それを少数の護衛と一緒に残して何を考えてる?ユメに死ねと言っているのか?意図がわからない。


「ふざけるな。」

「神子様?」

「ふざけるなと言っている。モンスターの大群だぞ!!<朱雀>の10倍以上強い敵だぞ!!狙いは鬼人族だぞ?援軍は出せない?ユメをなんだと思ってる!!」


(アマタさん。お婆婆様に怒っても仕方ないです!!)

<マスター、落ち着いて下さい!!冷静になって下さい。>


 こんな状況なのにユメはどこか笑っていた。


「チユちゃん。これが鬼人族の総意よ。私は鬼人族の嫌われ者。悪魔、災厄の根源って呼ばれてる。皆、私に死んで欲しいの。この結果は予想していた。だから私は大丈夫です。」


 と達観している。

 俺は親衛隊に向け、敵意をあらわにした。


「お前らユメちゃんの親衛隊だろ?それでいいのかよ!なんか言えよ!!」


「いや、俺たちは好きでユメ様の親衛隊をやっている訳じゃない。早死にはまっぴらだ。」


 俺は殴っていた。ブレスも真気収束も何もしていないから全然びくともしないのだけど。俺の拳から血が流れる。


「なんでだよ。やる気出せよ。なんで王家に仕えてんだよ!!」


 何度も殴るが全然痛がる様子はない。そのうち、ユメは声上げる。


「親衛隊、お前らも明日1番で家に帰れ。私はセバスがいればそれでいい。」


 例え建前であっても、仕事であっても「いえ、最後まで残ります!!」と言う言葉を聞きたかった。

「承知致しました。」


 まるで、その言葉を待ってましたと言わんばかりの反応だ。

 そのやりとりに頭の血管が切れる音が聞こえそうだ。


「ユメが可哀想だろ!!ユメが何したって言うんだよ!!なんでこんな事になってんだよ!!なぁ・・・。」


 俺は、怒りに震えていた。その背中をユメがゆっくり抱き締めてくれた。


「なんでチユが泣いてる?当の私が平気なのに、どうしてチユが泣いてるのよ。」

「ユメは悔しくないのかよ!!馬鹿にしてるだろコイツら。」

「チユ、もう慣れた。心配するな。私は強い。」


 過去に何があったか知らないが、鬼人族の裏側を見せつけられるこの出来事に俺は泣いた。

 泣いて泣いて、何故かユメに介抱されていたのだった。





 ユメ=アリシテルは初めての感覚にどうしていいか分からなかった。

 目の前のチユという神子様はどうしようもない私の為に泣いている。怒って、癇癪を起こして。自分の事でもないのにこんなに感情を剥き出しにして、この理不尽な出来事に対し、必死に抵抗している。


 一日通してわかった事がある。チユは天真爛漫だ。喜怒哀楽はっきりしていて、嘘を付けないタイプ。チユが世を照らす太陽とするなら、私は影に潜む闇。全く正反対のタイプだ。


 私はセバス以外人を信頼した事はなかった。親兄弟ですら私を悪魔の子と思っている。敵である。だから、こんなに心配して泣いてくれるチユの存在は嬉しかった。

 そして、心を開きつつあった。


「私ね、鬼なの。先祖返りって現象でね、人々から忌み嫌われる黒目黒髪の呪い持ちの子なの。」


 言ってしまった。いや、友達と言い張るのであればいつかは言わないといけないと思っていた。

 こんな変な出来事が起きて、チユちゃんは怒ってる。今説明さずにいつ説明するのか?


「ユメちゃんが?」

「そう。私の呪いは強く、自分では制御出来ない。私の近くにいると生命力を奪い取り、寿命を削る。だから、私がいるだけで人がいっぱい死んだ。」

「・・・・・・。」


 何を思って何を感じているのであろうか?言葉を紡ごうにも声が出ないと言った様子。

 私の鼓動は高鳴っている。どう伝えれば良いのか、どう言えば伝わるのか。そんな事を意識しながら頭をフル回転させる。


「だから、みんなの私に死んで欲しいって思ってる気持ちも理解できる。親衛隊の寿命、長くて5年だから。王国のみんなにとって私は身内を呪い殺した憎き敵。だから気にしない。」


 今日一日チユちゃんと一緒に過ごして、楽しかった。私の呪いが一切効かない人って初めてで友達になれて本当によかったと思った。


 嫌われたくないと思った。


 そんな事思ったのは産まれてはじめてで、正直この話をするのも怖い。変な事言ってるし、家臣は皆この呪いに対してドン引いてる。

 この呪いの事知ったチユちゃんは私の事ドン引くのかな?友達辞めるのかな?そうあって欲しくないけどな。


「ダメだよ。当たり前にしちゃ。ユメちゃん、慣れたなんて嘘。辛い顔してるよ。」


 返って来た言葉は優しさに溢れた言葉だった。胸の奥にゆっくり・・・ゆっくりと染み渡る温かい気持ち。


「そうね。」


「話してくれてありがとう。でも親衛隊は許さないよ。だって友達のユメをこんなに悲しませた。絶対。今度会ったら殴るんだから。」


 呪いの事話しても友達って言ってくれるんだ・・・。しかも態度も全然変わってない。


「チユちゃんの手、怪我してるし、あんなヘナチョコパンチじゃ痛くないわ。」


 殴るとか言って笑わして来るチユに乗っかって、笑顔で突っ込む。あれ・・・なんか胸の奥がつっかえる。言葉がなんで途切れ途切れなの?変ね・・・目が開けられない。


「でも殴る!!ボコボコにする。って、ユメちゃん、泣いてるの?」

「泣いてなんかいないわ。」


 ・・・だって、嬉しいんだもん。決して泣いてなんかいない。王女は決して弱点を見せてはいけないのだ。

 必死に顔をごしごしと擦る。

 ああ・・・。もう。頭が真っ白だ。


「待って、私が暴力振るうのそんなに嫌なの!?え?ご、ごめん。ちょっと・・・・・・私、こういう時どうすればいいかわからないよーー!!!」



 ユメがこうして泣いている時、チユの脳内では盛大な作戦会議が行われていた。


(テマルンドさん、ユメちゃんの呪い、どうにかならないかな?)


 チユも本気で心配していた。


<そもそも、ユメ様の魔力の性質が闇属性なのです。それを制御出来れば死傷者は出ません。ユメ様次第でございます。>


(じゃあ、克服出来るように私も頑張る。)


<チユ様、後一つ、ユメ様が最悪なんとか出来なくても、チユ様の魔法、結界の膜でユメ様を覆ってしまうという荒技もあります。>

(本当に!?ありがとう、テマルンドさん。)

<これぐらいサポートAIなら当然の事です>


 この解決方法が見つかるのは、また後日の話である。

お読み頂きありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


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