第31話 朱雀を尾行してみたらお兄様も一緒に着いてきた。
楽しんでもらえれば嬉しいです。
この物語はフィクションです。
登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。
結論から言うと、お兄様は撒けませんでした。
村を抜け、森の奥深くまでピッタリと並走している。
<マスター、左1キロ先ホーンラビットの反応あり、右1.5キロ先、ホークイーグルの反応あり>
本日10回目の遭遇である。いい加減多い!!大した相手ではないので、崩剣ディアブロスを砲撃モードに変え、エネルギー弾で倒して行く。空を舞うホークイーグルを撃破!!
その横で、ホーンラビットの突進をお兄様が軽々と斬り伏せていた。素材は俺が魔素分離し収納。お肉が食用不可のエネルギーへと変換される。
(テマルンド、モンスターばかり遭遇するのはいいが、逃げた<朱雀>は?)
<まだソナーの範囲外です。>
(テマルンドさん、そのソナーってなんなんですか?)
チユが疑問に思っていたことをぶつける。
<自分の魔力を周囲に飛ばして、跳ね返ってきた情報を読み取る魔法です。チユ様もやってみます?>
(やりたい!!)
<イメージは水の波紋です。水滴を水に落とすと波打ちますよね。その波紋は障害物に当たると跳ね返って来ます。>
(う・・・なんか見えて来そう。)
<そうですそうです。いい感じです。>
(はっ!!)
(チユ、どうした?)
(1キロ先、デルタワーム発見!!)
<チユ様、その下位モンスター、サンドワームです。>
「どっちにしろモンスターはもういいって!!」
俺は愚痴りながら段々と近づいて来る巨大なミミズに向け、スキル・ニュートンカノンが火を噴いた!!
丁度お兄様も不自然なまでに好戦的なホーンラビットを叩き斬った所だった。
「おいチユ!!なんでそんなにモンスターと遭遇するのが上手いんだよ!!狩りに来たんじゃねぇんだぞ!!しかもなんで今日に限って好戦的なモンスターばっかりなんだよ!!気配感じたら俺に怯えて逃げろよ!!普通モンスターってそういうもんだろ!!」
ダンジョン産のモンスターしか狩った事ないから好戦的なモンスターしか会った事ないけど。普通は逃げていくもんなんだな。へぇ。
「お兄様!!そんな事言われても感知するんですから仕方ないじゃないですか。なんだかんだ言ってお兄様だって楽しんで狩ってるし。」
「うるせぇ!!」
お兄様の発言からわかるように、普段、こんなにモンスターと遭遇することはないそうだ。
俺自身がこの北の森の散策に来た事ないからこれが普通だと思ってた。勘違いって怖い。でも本当に妙な空気だ。まるで魔力に薬の匂いでも付いてるかのように変な気分にさせられる。気持ち悪い。
突然、歩いてると風が変わった。
(ほえ!?ここ、何かある!!)
チユが反応・・・。それはお兄様も同じであった。
「ほう、エルフに対して幻影の結界?ふざけやがって。」
「幻影の結界?」
「エルフの村の周囲にも、村の存在を隠す為に張っている。つまりこの先に敵の隠したい拠点があると言う事だな。」
とお兄様は自信満々に言う。
<ですが、この結界を解除しなければ森の外に誘導されてしまいます。>
(私の出番ですね。)
チユの誘導の元に目の前の大樹に手を付けた。
「お願い、私達を通して。」
魔法というよりもお願いする。すると・・・大樹が揺らぐ。その樹木が大絵だったかのようにゆらゆらと空間ごと波紋を広げている。突然、その大絵に手を掴まれ、引っ張られる感覚を覚えた。チユのお願いに応えるように大樹は俺たちを中の空間に誘ったのだ。
結界の中は先程より更に深い樹海の森。探索魔法ソナーにもハッキリと敵の位置が捕捉出来るようになる。
<5キロ先、朱雀6体。洞窟の中にいます。>
(見つけた。でも、強そう。)
俺の背後が揺らぎお兄様も、またこの結界の中に足を踏み入れる。
・・・お兄様もチユと同じ魔法が使えるのか!?
<いえ、チユ様が結界をこじ開けたので、お兄様は普通に通過しただけです。>
あ、そうなんだ。なら帰りは同じ手続きしなくていいんだ。楽そうだな。
「お兄様、ここから慎重に行きましょう。5キロ先、朱雀6体です。どうします?援軍呼びますか?」
「それは、敵の本拠地か?」
(お兄様、違います。秘密基地です!!)
子どもの好奇心をくすぐるネーミングに「チユらしいな」と心の中で笑いながら脳内変換してお兄様に伝える。
「仮の住まいらしいです。」
「そうか。でもチユ、お前は行くんだろ?引く訳ねぇじゃん。」
「そうですか。そんな気がしました。敵に気がつかれますのでこれからのお喋りは禁止でお願いします。そして魔法の餞別です。」
(チユ、気配遮断を頼む!!)
(はいです!!)
「なっ!?これは・・・?」
はぐれないようにそっとお兄様の手を繋ぐ。そして口元に人差し指を突き立てて・・・
「シーーですよ。」
気配遮断は本当に仲間ですらその存在が分からなくなる。お兄様の手の温もりだけしか確認するものが無いのだ。
道を進む。
森を進むと少し開けた場所に出る。大きな木の幹の下に、洞穴のような洞窟があった。
門番が2人いる。サイドに周り、剣に絶対切断のスキルをかける。
真気収束。そのオーラを最大限に長く長く長く長く!!!!
6メートルほどの巨大な剣を奴らの頭上に振り下ろした!!!この剣も、魔力のオーラで纏ったものなので、意識しなければ可視化出来ない。よって、目には見えず、音はない。
気配遮断からの頭に確定クリティカル!!さらにスキル・絶対切断が乗る。防御力無視という理不尽が敵に舞い降りた。
即死。それもオーバーキルである。お兄様は引いていた。
「うわっ!!」
「お兄様、シーーです!!」
「お前、なかなかグロイ事するな。」
「敵に情けは無用です。」
そう思えるのも俺も異世界に慣れて来た証拠なのだろうか。
昨日は精神的に応えたな・・・。きっと麻痺して来ているんだろう。
中へ潜入する。洞窟を進む。
(聴覚強化!!)
チユの魔法だ。これでチユの魔法は気配遮断と聴覚強化でタスクは埋まる。
ブレス無しで敵を殲滅させなければならない。
スキルの無駄撃ちが出来なくなった。
耳を澄ませて敵の声を拾う・・・
「今、何か聞こえなかった?」
「そうか?気のせいだろ。異変に気がつけばまず報告に来る。仲間を信頼してないのか?」
「してない訳ではない。」
「なら気にするな。それより続きを話せ。」
聴覚強化により、かなり離れた場所のそんなやり取りを聞いた。一瞬ドキッとしたが、大丈夫そうだ。
洞窟を進むと木製のドアがある。どうやらこの先に<朱雀>が4人、秘密の会話をしている。トントンとお兄様の手を軽く叩き、手を軽く引っ張りそっと抱き寄せる。
ここで一緒に待機って意味なのだが、ちゃんと気付いてくれたかな?勘違いして飛び出したらまずい。
肩を叩いてさらに座るように引っ張った。
すると。痛い!!痛たただ!!首根っこを思いっきりつねりおった!!しかも今、俺もお兄様も真気収束状態でしょう!!し、死ぬって!!お兄様、マジでやばいですって!!
<マスター、お兄様はあまりにもしつこいので怒ったようです。>
反応からわかるわ!!!
「話を要約しよう。まずは、向かわせたデルタワームの消失、それに始まり、村の防衛力の強化が行われた。城壁だけでなく、攻めようとすると見張り台からの必殺の槍が飛んでくる。それに個々人の戦闘能力も上昇していて次々と<朱雀>が返り討ちにされている・・・だと?」
その話声が聞こえると、お兄様のイジメはピタリと止んだ。
「そうです。いつでもその気になれば落とせるエルフの村だったのだが・・・」
「そうか。鬼人族の村を落とす為のただの通過点のつもりがなかなか、てこずりそうな相手って事か。」
「そうです。」
「だが、3日後、あの方がモンスターの大軍を向かわせるよう手配している。エルフの村を横切り、鬼人族の村を攻め落とすように。我らが何もしなくても奴らはどうせ死ぬ。」
(ひぃ!そ、そんな酷いことを!!)
なんだって!!?とんでもない。とばっちりだ。
話の内容を理解するに、モンスターを操る術があり、鬼人族の村を攻める。その通り道にあるエルフの村は全滅と・・・。
いや、多種族同士の戦は他所でやれって!!エルフの村巻き込むなって!!ムカつくな。
エルフの民を避難させなきゃならないじゃないかよ。
せっかく城壁作ったのに。
畑作ったのに・・・全てパァかよ。ああ、腹立って来た。
絶対に防衛してやる。俺は決意を固める。
「ハッハッハ。あの方も酷い事をする。でもまぁ、我らを同族を殺した報いでもあるな。」
「報いを与えるというのであれば、逃げ延びたエルフを我らで捕まえて奴隷にしてやるというのはどうだ?」
「ハッハッハ小遣い稼ぎか。お主も悪知恵が働く。エルフは見た目に美しく、希少な存在だ。価値は高い。」
ああ、あっっったま来た。どいつもコイツもゲスい奴ばかりだ。もう許さない!!嫌でも我慢だ!!
「この野郎!!誰を奴隷にするんだって!?ふざけんじゃねぇ!!!」
あれ?こころの声が漏れたのかな?
って思ったらお兄様が思いっきり切れて剣を構えて斬りかかった!!
一体の首を見事に跳ねた!!お兄様凄い!!でも、3体がお兄様へと向かうよ・・・
「いつの間に!?だがガキに何が出来る!!」
と敵は動いた!!18本の剣がお兄様に迫る。
「お兄様の馬鹿!!重力操!!」
お兄様と俺に磁場を発生、お兄様を磁石のように手繰り寄せる。と同時に・・・
そもそもまともに戦闘する気はない。ここは洞窟、出口は俺側。ここで何のスキルを使えば敵は詰む?あれしかないだろう。
スキル土砂流はすでに発動済みだ。圧倒的な質量の土砂が敵を一気に奥へ奥へと押しつぶす。戦わずして生き埋めなんて・・・
ああ、この技、道徳的どうなんだ。後味悪いな・・・。でも、お兄様に死なれたら困るし。
「ゴォォオオオ!!!」と地響きが児玉する。
「チユ!!おい馬鹿!!俺達まで生き埋めにする気か!?」
奥は飽和状態。先に進めなくなった土砂が跳ね返って俺達へと襲いかかってくる・・・
「はっ!?え?は、走りましょう!!」
「もっと考えて魔法を使え!!!」
お兄様、これは魔法じゃない!!
そう考えつつも必死で声は出ない。生き埋めは嫌なので出口へと逃げ込むのであった。
お読み頂きありがとうございます。
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異世界召喚帰りの人達のせいでリアルが大変です。〜発現したスキル[精霊の守護]によって精霊の師匠を得て錬金術を極めてアイテム無双します〜
ローファンタジーで、主に九州が舞台となっております。




