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第27話 チユは眠気を堪えながら家に帰る。その時アマタは。

楽しんでもらえれば嬉しいです。


 この物語はフィクションです。

 登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。

 もうみんな死ぬかと思いました。アマタさん、テマルンドさんのおかげで朱雀を倒せたので一安心です。お兄様の元に駆け寄り思わず胸に飛び込むのです。


「お兄様!!お兄様!!」


 うっう・・・本当に無事でよかった。良かったよう。


「だ、泣きつくなって。中身はアマタって奴なんだろ?」

「私はチユです。お兄様、本当に無事で良かったです。死んでしまうかと思いました!!」


 しばらくお兄様に抱きついて泣きました。にっこりと微笑むお兄様。お姉様も近くに寄って来たようで。


「その泣き虫っぷりは、まんまチユだね。お兄様も困ってるからこっちおいで。」


 とお姉様に抱き寄せられました。

 う、うう。と泣いていると。


「勝てたのはチユ。お前のおかげだ。ありがとう。」


 とお兄様の暖かい声を聞きました。嬉しいです。涙を拭きながら、私はそれに応えるの。


「お兄様、アマタさんの前でも同じ事言って下さいませ。きっと喜びます。」

「い、言えるか!!」


 と恥ずかしそうにそっぽを向くお兄様。なんか可愛いな。

 ふと疑問をぶつけるのはお姉様なのです。


「その仲間の神子様は?」

「力を出し切り、眠ってしまったようです。鬼人族の村に着いた時からずっと剣を振ってましたので。相当お疲れのようでした。」

「神子も寝るのね。」

「本人はただの人間って言ってますが。本当に凄い人です。」

「そうよね。剣技もなかなかのものだけど、あの魔法の質。本当に同じ星の生き物かって思う。」


 魔力の質?


「お姉様、魔法は私が全て担当してますよ。」

「え!?チユが?」

「はい。アマタさんの使える魔法は真気解放だけです。」


 私が言うと背後で「真気解放は魔法じゃねぇ。」とお兄様が呟きました。そうなんだ・・・。


「皆の教えを忠実に守ってます。」

「地面を爆発させたり。」

「生活魔法イグニッションです。」

「回復の雨を降らせたり。」

「魔法に想いを込めるのです。魔法はイメージですから。」

「誰がそんな事言ったの?」

「アマタさんの中の人です。」

「中の人?」

「はい!!中の人のテマルンドさんです。」


 そう言ったらお姉様は凄い険しい顔をしました。私変な事言った?


「分からないわ。」


 そうだ。普段はアマタさんが動かしているから出来ないけど、今いい機会だよね。


「お姉様は、魔力の通り道が狭いのです。手を貸してください。」

「何をするの?」


 私はお姉様の手を取ってイメージする。心臓から泉のように湧く魔力。それが身体中に巡っている。具体的に末端の手や足・・・その末梢神経が細くなっているのだ。


 私が魔力を逆側から流し込み、強制的に魔力の通り道を広げてやる。


「あ、熱っ!!あ、あれ?一体何をしたの?」

「これで強い魔法が出せるはずです。」

「え?」

「イグニッションを放ってみて下さい。」

「生活魔法、イグニッション!!・・・・・・は?」


 ただの火種を起こす魔法・・・

 それが、私の予想通り炎のトルネードとなって燃え上がるのです!!


「凄いです!!私の魔力以上です!!」


<チユ様、それは違います。チユ様も末梢神経が細いのです。同じように広げれば同じ事が出来ますし、イメージです。もっと炎のトルネードを巻き起こす気持ちでイグニッションを発動してみて下さい。きっと武器になります。>


 ほえ?そうなの?


「チユ、なんて事してくれてるのよ!!こんなの危険すぎて生活の中で使えないじゃない!!凄い疲れるし。」


 喜ぶどころか怒られてしまいました。


「チユ、ところで、村長達を見なかったか?」


 と、お兄様に言われて思い出すの。壁を見つめて・・・どうするか考えて見ます。


 ・・・村長達、土壁の中だったよ。アマタさん、眠ってしまったし、ど、どうしよう?


<チユ様、結界術で相殺してみては?土壁の性質もいわば結界です。同じ性質の結界をぶつければ摩擦相殺が起きて消えます。>

(なるほど。)

<普通はなるほどってならないんですけどね。頭が柔らかい分、無茶な理論をあまり深く考えず実行してくれて助かります。>

(はい?)


 テマルンドさんも冗談言わない人だと思ってたのに、たまに訳の分からない事を言います。


 高さ5メートルの囲いを抜けた先。離れの場所に夢で雪国の漫画で見た、カマクラのようなもっこりとした丸い土の壁がある。

 そこに結界術に土の魔法を混ぜてぶつけて見る。


<威力が足りません。血管を広げて。>

(だって、私もヘロヘロだよ。)

「お姉様、手を貸して下さい。手を握っててくれるだけでいいので!!」

「あら、そう?」


 握って貰うと・・・凄い魔力が流れてくるのを感じる。元気が出た。

「万里の長城、要塞防壁。土の精霊の導きと共に絶対無敵の護りの盾を創造させたまえ。」


 イメージと共に言葉でも魔法を紡ぐ。


「ストーンヘッジ!!」


 キーとなる名前がすぐに出た。イメージが魔力を通し、実際に現実に具現化される。


 もう一つの土壁がぶつかり合い、摩擦相殺を起こして穴を開ける。


「チユ、今の複雑な魔法何!?」

「ストーンヘッジだよ。」

「すっごい疲れたけど。難しいのに、なんか練習したら出来そう。感覚が手に染み込んで、変な感覚・・・。」


 ポツリと・・・不思議そうに私を見つめるお姉様でした。


「お、お婆婆様!無事で良かったですお婆婆様!!」

「おう。チユか、まさか・・・<朱雀>3体相手に勝ってしまったのか?」

「そうです!!大変でした。アマタさんも疲れて眠ってしまったようです。私も寝たい・・・凄く眠いです。」

「あり得ない。チユ、お前はどれだけ凄い事をやってのけたのかわかってない!!」

「待って下さい。でも私、お兄様、お姉様が来てくれなければ負けてました。」

「おお、後ろに見えるのはガイルとニーナか?」


 すぐ、私の前に出る兄様姉様。


「お婆婆様、ご無事で何よりです。」

「剣に血がついておる。もしや、お主が殺ったのか?」

「皆の協力のもと、倒す事が出来ました。」

「何という怪物一家じゃ!!素晴らしい。3対3で被害無しとな。さすがアロンとサユの子たちじゃ。」


 褒める村長にお姉様は声を張る。


「お婆婆様、私達が駆けつけた時にはもうすでに・・・。」


 言いかけて、


「お婆婆様、ここで立ち話もいいですが、危険です。夜は魔物も活発に動きます。それに<朱雀>だってどこに潜んでるかわかりません。村へ戻りましょう。」


 文官の声に遮られました。お姉様は何を言おうとしたのでしょうか?疲れてもう何も考えたくありません。私達は村へと引き返すのでした。


 今回の出来事はとても得るものが大きい戦いでもあり・・・。

 まだこれが、大きな戦いの前触れだという事をチユ達は知らないのであった。




   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 俺が目を覚ました時はすでに、昼の12時を回っていた。


「あのね、春休みだからといって寝過ぎよ。」


 部屋にレイア姉が入ってきた。


「あ、いや、これは・・・。」


 頭が痛い。戦闘の精神的ダメージがまだ残っている。

 もう少しだけ眠っていたいが、ダメダメ。動かないと。


「言い訳しない。ああ、私がこんなに家でデスクワークしてるっていうのに、弟はこんなにグータラして。」

「起きる、起きるって。」


 起きて、レイア姉を追い出し身支度を整える。


「あれ?」


 当然のことのように動いていたけど・・・違和感を感じた。

 何故動ける?

 そう・・・チユだ。チユと繋がってから俺の身体は上手く動かせなかったというのに。


(おい、チユ。チユ!!いるんだろ?返事をしろ!!)


 応答はない。チユがいる生活が当たり前になっていたのだった。急に居なくなると寂しくなる。いや寂しいってもんじゃない。


(チユ、悪ふざけはよせって。実はいるんだろ?)


 応答はない。


ーーー何故だ?


 昨日は激戦だった。本当に生死を掛ける戦いをしてそれで・・・


ーーーまさか。魔力を使い切って死んでしまったのか!?まさか・・・いや・・・ありうる。最後の結界術は最高に硬かった。一日中魔法使いっぱなしで魔力が切れない方がおかしい。まさか・・・死んでしまったのか!?


「おい、嘘だろ。返事をしてくれよ・・・。」


 ポツリと呟いた。その声は虚しく響くのみ。


 そこにポツリとLINEが入った。おもむろにスマホを取り出す。


<マスター。読み上げましょうか?>

(テマルンド!!何故ここにいる!?)

<アマタイルです!!あまり間違い過ぎると怒りますよ!!>

(アマタイル、済まない。)

<いいんです。読み上げますね。エイルさんからですね。えーっと、この前置き要らない、つまり・・・『逢いたいカッコはぁと』だそうです。>

(ふざけるな!!ちゃんと訳せ。)

<あれ?バレましたか。それは失礼しました。ってマスター。ご自身でLINE開いた方が早いのでは?>

(お前が提案してきたんだろ?)



お読み頂きありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


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