第21話 花より団子というけれど、エイルよりもパフェの魅力に取り憑かれる
楽しんでもらえれば嬉しいです。
この物語はフィクションです。
登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。
逃げてる最中、身体のコントロールはチユに戻ってしまった。
法則性を考える。チユが魔法に集中するとチユに隙が生まれ、俺が身体を動かせるという事。
つまり、戦闘中のみ俺が動けるようになるという話だ。
なんてこった!!
<良かったですねマスター。>
良かったといえば、チユに体術を覚えて貰わなくても良くなる事か。
いや、そもそも、戦闘になるようなシチュエーションって今後あるの!?無いでしょ!!この国の人大抵、事勿れ主義だよね。
「アマタ、ここまで来れば大丈夫だろ。予定とは違うが、ここのカフェ行くぞ。」
オープンテラス付きの小洒落たカフェだった。「パフェ、パンケーキ」って書かれている。チユのワクワクが止まらない。俺にまで伝染してしまうほど「早く食べたい!!」って気持ちな伝わる。
「はい。」
返事は笑顔で可愛らしいものだった。
俺達は中に入る。
「あれ?アマタどうした?」
そのチユの仕草に戸惑うエイルだった。
「わぁ・・・・・・。凄い・・・。」
チユの目の動きを説明しよう。まず、店員さんの頭巾とエプロン、可愛らしくお洒落なものになっている。次に店内をぐるりと見渡す。
木をベースに作られた店内でエルフにとっては親しみやすい作りとなっている。更に電気ガス水道、エアコン。エルフの村にない便利な機能が搭載されている。
そして客の食べてるパフェやパンケーキ。フルーツ盛りもり。この甘い香りがチユにとってたまらないようだ。お腹が「ぐぅぅー」と鳴る、
「そんなに驚く事か?」
「これを驚かないで何に驚くのです?食の革命です!!」
エルフの村でずっと、芋料理やモンスターのお肉を焼いただけの物を食べてきたチユにとって、これは目に美しく、とって食べるには魅力的なものだろう。
「そこまで言うか?」
メニューを注文し、席に座る。
これは昨日、マックで学んだ・・・。マックと違うのは料理を席まで届けてくれる事。
ワクワクしすぎて落ち着かないチユ。それを見て苦笑いのエイルだった。
「喜んでくれるのはいいんだが。アマタ、何があった?」
チユは首を傾げる。
「何がって?」
「なんで女装なんだよ!!」
その問いにチユは確信を持って答える。
「今日来ていく服、一番何が似合うかなって思ってこの服選んだの。」
いや、似合ってるけど。自分で言うのもあれだけどさ。
「本気か?それに話方も変だしよ。」
「そうかな?普通だよ。」
「異常だよ!!」
そんなやりとりをしているとチユの頼んだパフェがくる。
「お待たせしました。イチゴのフロマージュブランパフェのお客様。」
この甘い香り、溢れんばかりのイチゴのタワー。目が点になるチユ。
「わ、ワタシです。」
やばい、チユのニコニコが止まらない。「わぁーっ!!」って感動の声が心の中だけでなく反応にもダダ漏れで、しかも声にすら出ている。
その様子を見たエイルが少し顔を赤くしながらソッポを向く。この反応は見てて恥ずかしいという事か?そうだよな。俺もそうだよ・・・
「反応が、乙女すぎるだろ・・・」
え?まさかストライクゾーン!?エイルはこんな幼い反応する女の子が好みだったの!?
俺の違う意味での驚きを消化しきれないまま展開は進んでいく。
「いただきます!!うん・・・!!!」
一口食べて、チユは固まった。石像のように固まった。
甘酸っぱいイチゴの風味。クリームチーズの風味が合わさってバランスの取れたお味である。
「おい、アマタ、どうした?」.
(おいチユ、どうした!?)
エイルと俺が話掛けても応答はない。ただの石像のように固まっている。やがてプルプルと身体を身震いしながら呟いた。
「美味い。美味すぎです。こんなの初めて!!」
と目をキラキラ輝かせていた。
「あ、ああ。美味しいか。そんなに美味しいか。それは良かった。」
この反応に大満足のようだ。
ああ、エイルは元々俺を元気付ける為に・・・外へ連れ出す口実をつくる為にカフェに行こうって話をしていたっけ。元気付ける為って理由ならこのカフェは大成功だよな。
楽しんでるのはチユなのだが。
まあチユがこんなに楽しんでいるのを見るのは俺もとても嬉しい気持ちになる。ありがとうなエイル。
今現状で、心の中でしかお礼の言えないアマタだった。
エイルはチユが一通り食べ終わるのを待ってくれた。
エイルは抹茶のマシュマロパンケーキをコーヒーと一緒に飲みながら食べるのに対し、俺たちは夢中でイチゴのフロマージュブランパフェを食す。
「幸せ〜。」
チユ、表情がだらしないぞ。
(だって本当なんだもん。)
「アマタ、病院で何があった?」
エイルは本気で心配している。
「な、何って?」
「病院では普通だったよな。そんな女装に目覚める要素なかったよな。この2、3日の間で何があった?」
「何も無いよ普通だよ。」
チユ、普通の人間は普段使いで女装しないよ。
「ふ、普通だって!!まさか、アマタ、今まで隠していたのか!?そんな趣味を持っていて隠していたってわけだな!!」
「隠す?なんの話?」
「そうか、アバターの消失ってショックな出来事で、その隠れた趣味が全面に出て来たって訳だな。オッケーオッケー。俺は驚かない。LINEでも送ったよな。驚かないって。全て受け入れる。」
いや、もうすでにエイル、驚きまくってるし、動揺しまくってるぞ。さすがチユの破壊力だ。
というか、この変な誤解を後でどう弁解すれば良いのだろうか・・・。
「分からないけど、よろしくお願いします。」
「じゃあ、そのよそよそしい感じの話方も、乙女なのもその服装に合わせての事なのか?」
「うーん。素だよ。」
チユさん、そろそろ弁解をしてくれませんかね!?
「これも本来のお前なのか!!今日はとんでもないカミングアウトを受けた気分だ。」
側から見ている分には本当に面白いんだけどな。いかんいかん。自分の事なのに客観的に見ていた。チユの対応とエイルの勘違いがヒートアップしすぎて現実逃避が始まって来た。
チユ、そろそろそれぐらいにしておかないとエイルが死んじゃうぞ。
(アマタさん。どうすれば良いのですか?)
チユは俺の真似は出来ない。ならやってもらう事は一つ。
(エイルに受け止めてもらうしか無いだろうな。)
これに尽きる。
エイルはコーヒーを飲み干し、そしてしばらく考えた後、改まった感じでこう切り出した。
「アマタ、今日の一件でショックが大きかったのは良く分かった。あのな俺の親父に頼んでさ、アバターを作って貰おうと思うんだ。もちろん、医師に止められてるのはわかってる。制作費用も最低ランクで1000万はする。」
そのエイルの気遣いは本気で嬉しかった。しかし、俺は今、チユの身体をアバターのように使わせてもらっている。この場合、どうなるのだろうか?
アバターは魂の入れ物だ。2つのアバターを使いこなしたっていう情報は聞かないし、魂にどんな悪影響が出るかわからないからアバターの2つ同時持ちは法律で禁止されている。
そもそもチユはアバターではない。俺はエルフの村の儀式とかいう不確かな要因で異世界召喚に遭遇している。
アバター制作がどう悪影響が出るか不安で仕方ない。
(アマタさん、なんて答えたらいいですか?)
(またじっくり考えてLINEで連絡するって伝えてくれ。)
「エイルさん、その話、またじっくり考えます。後でLINEでもいい?」
「あ、ああ。そうだよな。でも最後まで聞いてから考えてくれ。今、俺は親父の会社で小遣い稼ぎ程度だがアルバイトしている。アバターで、燃料資源を魔素分離して会社まで転送したり、用心をシェルターの回りを案内する仕事だ。戦闘はほとんど無いし、あったとしても俺1人で十分だ。一緒にやらないか?」
もし、アバターを作った事でチユの元にログイン出来なくなったら?そんなの怖すぎる。
エルフの村の改造計画はまだ始まったばかりなのだ。バリスタの設置、そもそもまだ門を設置していない。
畑だって軌道に乗るか分からないし学校だって今後作る予定だ。健全で文化的な最低限度の生活を充実させる!!
(そうです。私からアマタさんを奪わないで下さい!!)
そうチユは心を決まるとエイルに向き合って発言する!!
「なので、また考えます!!」
「ああ、そうだよな。ゆっくり考えてくれ。ところで『なので』って何?」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その夜、俺・・・エイルは友人に電話する。
「アカネか?」
「ええ。でも急に電話ってどうしたの?」
「今日、アマタに会ったんだ。カフェでお茶したんだがな。」
「なかなかに女子会みたいな事してるじゃない。エンジョイしてるわね。だが・・・って?」
「アマタの様子が変なんだ。」
「変って?」
「今日会ったら突然、女になっていた。」
「・・・・・・は?」
「いや、女になってたんだって。なんか予兆とかあったか?」
「いや、無い無い無い。全く無いって。女になってたってどういう事?アマタに限ってそれは無い。」
「だろ!?だが、『これが素だよ』ってカミングアウトされた。」
「えっ!!マジで!?ちょっと待って。なんで!?」
「俺に聞くなって!!俺が知りたい・・・。いや、まだ女装程度のレベルだがな、仕草とか、口調とか、喜怒哀楽の使い方とか、完全な乙女だったぞ。」
「この相談がエイルじゃなかったら冗談は辞めての一言で突っ返してたのに・・・。」
「俺、どうすれば良いと思う?殴って正気に戻すか?」
「待って、私達が突き放した責任もあるし。様子見でお願い。経過報告よろしく。エイル、私は全力でサポートするから。」
「お、おう。」
「ところで、アマタの女装って可愛いの?」
「女優以上。」
「呆れた。親馬鹿ならぬ身内贔屓でしょ。」
「見たらわかる。芸能事務所も黙って無いレベルだぞ。多分、あれがアマタって知ってなかったら惚れてた。」
「エイルまで、いつから冗談言うようになったのよ。ふざけてるなら電話切るよ。」
「冗談じゃないんだけどな・・・あ、切られた。」
相談する事はまだ山ほどあって、アマタがヤクザを圧倒した体術。あれは人間の動ける範囲を軽く超えていた。
アマタ、あいつの身に一体何があったんだ?
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