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第10話 病室リフォーム?

笑ってもらえれば嬉しいです。


 この物語はフィクションです。

 登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。

 いや、チユの家族暖か過ぎるだろ!!

 思い返せば俺は両親とも兄弟とも孤立していた。放課後のほとんどをアバターの世界で過ごしていたからだ。俺に家族の時間なんてこれっぽっちもなかった。だからチユが羨ましい・・・


 チユが寝落ちした瞬間、視界はアマタの世界、リアルへと誘われる。


<ハロー、マスター。リアルへようこそ。>


 脳内に響くアマタイルの声。本来異世界にログインした時に聞くアナウンスを起床した瞬間に耳にする。

 俺アバターじゃないっての!!


「アマタさん。おはよう御座います。アマタさんの家って不思議な空間ですね。わぁ、外がすごいです。いろんな魔物が規則正しく走り回ってます!!」


 それ、電車と車な。


(いや、病院だって。チユ、考えが口に漏れ出してるから。心の中で会話しよう。)


(他のお客様に迷惑がかかるからですね。わかってます)


 いや、多分チユはわかってない。またやらかす。


(チユ、今日は精密検査をやる予定らしい。それで異常が無ければ家に返して貰えるからな。粗相がないように過ごしてくれ。)

(アマタ様は何故、ご自身の身体なのに自分で動こうとしないのですか?)

(これが、動きたくても全く動かないんだよ。)


<それはチユ様の魔力がとても強いからなんですよ!!強すぎるてマスターの意思が部屋の隅に追いやられてるのです。>


 俺の存在って何・・・。


(こっちの世界でも、アマタ様が身体の主導権握れるように頑張りますね)


 チユがそう心で言葉を紡いだ時だった。間髪入れずにアマタイルは口をはさむ。


<なりませんチユ様。マスターはチユ様の世界で好きに身体を動かしてるのですよね。ならこっちの世界ではチユ様が好きに身体を動かせば良いのではないですか?じゃないと不公平ですよ。>


(ほえ?神様の身体を好きに使うって、そ、それは罪深いです・・・)

(アマタイル、やはりお前、魔素分離した事根に持ってるな。)


<いえ、とんでもございません!!私はマスターもチユ様も同じくらい愛しております。チユ様が不憫に思っての発言です。気が触れましたか?>


(いや、済まない。そうだな。そうだよな。お前の言う事は正論だ。)


 チユの気持ちを無視して、俺が傲慢だったのだ。気付かされて胸が痛くなった。その矢先・・・


<決して、そちらの方が面白そうだなって好奇心では御座いません。>


 とスルーしてはならない本音をポツリと口にした。

 本性を表したな!!やはりアマタイルは俺たちで遊んでる!!


(アマタ様、私、迷惑かけないよう頑張ります。)

(いや、なんか俺もチユの心を考えずに済まなかった。迷惑かけるかけない考えずに自由に使ってくれ。)


 この発言がこの後の自分の人生を大いに苦しめる事になるなんて今の俺には夢にも思っていない事だった。


(ご配慮ありがとうございます!!精一杯頑張ります!!)


 と健気に笑うチユに俺は思わず笑みを浮かべるのであった。不穏な空気はもう、漂っていた・・・


「まずは身体を綺麗にしないと・・・。生活魔法クリーン!!」


 えっチユさん!?今何をしたのかな!!?精一杯頑張るって、頑張りが空回ってません!?

 光の泡が俺の身体を包む。

 ・・・いや、身体どころではない。部屋中が泡だらけになってしまった。


<チユ様の魔力って本当に魅力的ですね!!私感動しちゃいます!!わぁ凄い。部屋中ピカピカですね!!>


 光の泡が去った後、俺の身体はシミ、ニキビごと全て綺麗になり、部屋自体も新品同様にピカピカになっていた。


(チユは、魔力のコントロールの仕方を覚えようか。コントロール出来るまで魔法禁止な。)

(ごめんなさい。)


 そこに・・・

 コンコンと扉をノックする音が聞こえる。


「アマタさん、朝の朝食を持って来ました。体調はどうですか・・・・・・へ?」


 部屋に入って来た看護師さんは口を開いたままフリーズ。唖然とした表情ってこんな顔なんだろうな。


「お姉さんどうしたの?」

「なんでこの部屋だけリフォームされてるの!?」


 看護婦さん、驚き過ぎて、そんな独り言を聞く。そして、首を90度傾げるこのチユの反応・・・


「りふぉうむ?空飛ぶモンスター?」


オウムじゃない。リフォームな。


「えっと、ま、いいわ。アマタさん。今日こそ残さず食べて下さいね。」

「わぁ、凄い、見た事無いものばっかりです。美味しそう!!」


 俺、チユに口止めするの忘れてた!!チユにとっては病院食だろうと目新しいのだ!!


「アマタさん、昨日も食べましたよね。味気ない食事だからたこ焼き食べたいって言ってましたよね。どうされました?」


(チユ、病院食の美味しさに気付いたって言っておけ。)


「あの、び、病院食の美味しさに気付いたの。」

「何故棒読み・・・?口調が乙女?」


「あ・・・アハハはは・・・頂きます。」


 看護婦さん、不思議そうにこちらを見ている。


「何かあったら呼んで下さい。」


そう声を掛けて貰うより先にチユは病院食を指でつまみ、小松菜の白和えをパクリと口に頬張る。


「え!?何これ!美味しい!!シンプルな味付けなのに素材の味が際立ってるよ!!」

「アマタ・・・さん?頭打ちました?」

「ん?打ってないよ。」

「検査は10時ですのでまた呼びに来ます。何かあったら本当にボタン押して下さいね。絶対に。」

 

 強く念を押されて看護師さんは立ち去って行った。

 部屋に残されたチユは病院食を口に頬張っていく・・・







 その看護婦は院長に報告する。


「院長、雨宮アマタさんなのですが、変です。」

「どうした?」

「昨日まで死んだ魚の目をしていたのですが、今日病室に行ったらキラキラした目をして、病院食に向かってなんて言ったと思います?」

「まずいとか、コンビニ飯くれ、とかか?」

「『見た事無いものばっかりです!美味しそう』って言ったのです。患者さん1人1人の体調に合わせる事が出来ず、ここの病院食って味気ない食事ばっかりですよね。お世辞にしては感情込め過ぎだなって思いまして。」

「ずっと部屋に篭ってたから気が触れたんだろ。病院内でショックな出来事があったみたいだし、今日、検査終わったら外に出してあげなさい。」

「その変わりようが異常でして、肌ツヤもピカピカに良くなって、病人とは思えないぐらい活き活きしてました。もう整形レベルです。」

「君、今日誇張表現が強いな。きっと、親友に何か良いアドバイスでも貰ったんだろ。それでいいじゃないか。」

「そうですか。・・・後、院長、あの部屋いつリフォームしたんですか?」

「リフォーム?」

「あの部屋だけ全て新品同様になってましたよ。」

「そんな馬鹿な話あるか!!」

「あるんです。今日見てください。」


 そんなやりとりが病院内であったとはツヤ知らず、チユとアマタ達は今日一日、やらかしを連発するのであった。






<ハローマスター。異世界へようこそ。>


 戦争が今、やっと終わった。リアルは只今異世界以上に危険地帯になっている。

 そのほとんどの原因がチユのやらかしである。


 病院食を高級フレンチを食べるかのように丁寧に平らげた後、まず10時、精密検査を受けるため呼びに来た看護婦さん達と共に部屋へ行く。

 チユにとって、見た事ない機械達、薬品、そして白い服着た大人に囲まれ、動揺具合はピークに達していた。


「ここは悪の組織、秘密結社の本拠地なのですね!!」


 と妄想全開の間違いを連発し、精密検査を病院内逃げまくった。病院内を端から端まで・・・。

 それで、本来なら30分以内で終わる精密検査を4時間かけて受ける事になったのだ。

 関わった大人達、大変申し訳ございませんでした!!!


 俺は泣きながら心の中で叫んでいた。


ーーもうやめてくれ!!俺の評価が・・・・・・人間性が・・・・・・


 アマタイルはそれを見て興奮していたように思う。サポートAIなのに・・・いつから俺の敵になったんだ!?どんどん小悪魔になっていく。


<マスター、アマタイルから報告がありました。大変ご苦労様でございます。>


 異世界でのサポートAIテマルンドは俺を労ってくれた。悪戯好きなアマタイルと違ってテマルンドはちゃんとマスターを思いやる心があるようだ。


(テマルンド、ありがとう!!俺頑張るから。)


<これに懲りたら不平不満は言わないようお願いします。>


あれ?これ労いじゃなく忠告じゃないか?


(不平不満じゃない!!純粋な俺の突っ込みだぁ!!)


 俺が突っ込む事を忘れたら、それこそ人生が終わる気がする。社会人になる前に社会から抹殺されるぞ絶対。


 振り返るのはそれぐらいにしておこう。やらかしを思い返すと恥ずかし過ぎて顔が炎上してしまう。


 しばらく異世界とリアルを行き来して法則性を見出した。

 リアルの夜8時は異世界の朝8時。時差が丁度12時間だ。


 そして切り替わりのタイミングは睡眠だ。寝ると即座に切り替わる。

 ぐらいか?


 ここの村では基本的に服を滅多に着替えない。生活魔法ウォッシュがある為、洗うということが要らないのだ。起きてすぐ、行動に移すのだが。今日は何しよう。

 せっかく異世界で生活するんだし、俺がしたい事をやりたいなと思いつつ、お兄様を視線で追った。お兄様は剣を研磨材で磨いていた。

 今日は是非とも真気収束を習いたい。お兄様、教えてくれないかな。


「お兄様、お願いがあるんですが・・・」


 と詰め寄るとお兄様は露骨に嫌そうな顔をした。


「起きてしばらくボーとしてたと思ったら急に俺の元に来るんだな。急にどうした!?なんか嫌な予感がするのだが・・・」

「真気収束、教えてくれませんか!!」

「教えるか馬鹿!!我が家の一子相伝の秘術だぞ!親父にいえ!!親父に。」


いい情報を聞けた。


「お父様にですか!?ありがとうございます。」

「なんだよ。気味が悪いな。」

「どころで、お父様はどこに?」

「狩りに出掛けたぞ。」


 なんとタイミングが悪い。


「探してくる。」

「今からかよ!!帰って来てからじゃだめなのかよ!!」


 お兄様の声に反応してお母様が俺に声をかける。


「芋粥だけど、ご飯食べて下さいな。元気が出ませんよ。」


 と気を効かせてくれて、用意してくれた。エルフの村では主食は芋のようだ。しかし、エルフの森の気候は、稲作に適していると思う。俺は稲作を成功させるのだ!!


 そう思ってお母様から木の器を受け取った。甘いいい匂い。

 一口食べて思う。芋粥美味しい・・・。


「あらあら、本当に元気になったのですね。チユの病気は治ったという事ですね。」


病気が治った?そもそも俺が転移して来た時にはチユは元気だったから病状を知らないし。


「それ、俺も気になっていたのですがチユさんの病気ってどんな病気だったんですか?」


いっそ聞いてみたのだった。

ご愛読、ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


第一章が終わるまで、毎日投稿します。



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