カールマン=シンガプーラ
【攻略対象 カールマン=シンガプーラ】
カールマンはディアモンド第一王子の護衛役を務めていた。
ある日、第一王子が一人の新入生を突然連れて来て生徒会に加入させた。それがカールマンとアリーシアの出会いであった。
護衛役として第一王子の側に侍るだけのカールマンが、アリーシアと直接関わることは全くなかった。しかし端から見ていても、アリーシアは才能、容姿、人間性全てに優れており、理想の貴族令嬢そのものと思われた。そして自分とは縁のない人であると思っていた。
1年後、ディアモンド第一王子が卒業すると、カールマンが生徒会室に行く理由はなくなり、アリーシアと接することはなくなってしまった。
そんなある日、カールマンは近々結婚する兄と義姉への贈り物が全く思いつかず悩みこんでいた。偶然通りかかったアリーシアに声をかけられて話しをしていると、いつの間にか一緒に買い物に出かけることになっていた。
これを機にカールマンとアリーシアは交流し始める。
昼食を共にし、街中を散策したりと2人の関係は少しずつ深まっていった。
そしてエンディング。
卒業パーティーでカールマンはアリーシアに愛を誓う。
6年後、ディアモンド第一王子の側近となったカールマンが帰宅すると、妻となったアリーシアと息子と娘が温かい食事と共に迎えてくれるスチルで終わる。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
入学して1年が経った。
今日の卒業式をもって、卒業生は貴族として、成人として見なされる。それを祝い、パーティーが開かれていた。
今日の主役である卒業生の中でも、中心となっているのはやはりディアモンド第一王子であった。隣にはハーモニーの姿がある。男爵家令嬢を優遇したり、忠臣のカールマンを解任したりと問題ある行動を取ったことで離れていった者は少なくないが、多くの者に慕われているのも事実であった。
-王の器ではないけれど、人柄も良いですし能力も高いですからね-
第一王子と関わりがなく、まだ1年生である私は遠くから卒業生達がはしゃぐ姿を見ていた。
そして輪の外側にいたからこそ、そこにいた私達は気づくことが出来た。
第一王子に解任されたカールマンを来賓として訪れた各局長が囲んでいることを。
卒業式には国を動かす各局長が訪れ、有望視している卒業生に声をかけることがあると聞いていた。ただし余程のことがない限り声はかけないらしい。それなのに第一王子に護衛役を解任された卒業生でもないカールマンに声をかけている。最初は2人だけであったが、時間がたつと何人もの方がカールマンの元に集まっていた。
私を含め、この光景を見た者は愚者でもない限り気づいたはずだ。
ディアモンド第一王子の王位継承がなくなったことに。
大人達はディアモンド第一王子を切り捨てた。
例え王族と言えども、貴族学院で学ぶ未成年と言えども愚行や甘えは許されないということを言われたようであった。
会場の外側から少しずつざわめきが起こる。釣られて外側に目を向ける者が出てきた。少しずつ注目され始めたことに気づいた来賓者達は、カールマンを連れて会場を出て行ってしまった。
パーティーの中心に目を向けると、第一王子と取り囲む者達はその事に気づいた様子もなく笑い合っていた。
私はヴィアと他の一緒にいた友人達と壁際まで行くとこれからの事を話し合った。
「ドゥティエンヌ第一王女の事、何かご存じ?」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
主人が王となられる。
21歳という若さで急遽王位に就くこととなった。異例のことである。
聡明で美しく気高いドゥティエンヌ様に味方は多く、他の王族や貴族、国民からも人気が高い。
だからと言って不安がないわけではないだろう。聡明とは言え経験不足は否めないし、若い女王の足元を掬おうとする者がいないわけではない。出来ることは少ないが、命懸けでその身と平穏を守ることこそ我が務めである。
10日前に国王であるダンネッカー=スコティッシュ・フォールド様が亡くなられてしまった。さらに1ヶ月前には、ディーフェンバッハ王太子とディアモンド様が病で亡くなられてしまっている。
続けざまに身内が亡くなられたことでドゥティエンヌ様の心痛は計り知れない。
しかし、いかなる時も毅然と人前に立たれる姿を見る度に、この方に仕える喜びを感じずにはいられなかった。この方に仕えるに相応しい己になろうと思わずにはいられなかった。
これから“玉座の間”で戴冠式が行われる。それが終わったら国民へのお披露目である。妻と子供達も来ると言っていた。女王の後ろに立つ誉れ高い姿を是非とも見てもらいたい。
扉が開き、ドゥティエンヌ様が出てこられた。
そのお顔には、今までのような王女としてではなく、女王としての覚悟が感じられた。
「これから“玉座の間”に向かいます。シャイヤー、カールマン、前衛を頼みます」
「「かしこまりました」」
私は雑念を捨て、前を向くとドゥティエンヌ様をお守りするべく歩き始めた。