5 ファンタスティック☆シェアバス
17時45分。
約束した18時の15分前、天使との待ち合わせ場所であるところの共用棟前に俺は着いた。
共用棟は、俺の寮棟から目と鼻の先と言っても過言でない近さなので、もっと部屋でギリギリまで粘ってから来ても構わなかったのだが、天使であるところのエンジェルを待たせるわけにもいかなかったので、余裕をもっての到着となった。
予定通りマイエンジェルよりも早く着いたようで、天使はまだ見当たらなかったため、スタミナ消費でもするかとスマホのアプリゲーを開こうとしたところで、
「これから予定あるー?」「特に―」
耳をくすぐる黄色い声に、反射的に顔を上げた。
共用棟から出てきた二人の女子が俺の歩いてきた男子棟と道向かいに鎮座する女子棟に向けて歩いていくところだった。湯上りらしく上気した肌と乾ききっていない髪が妙に艶めかしい。飾らない部屋着のようなダボダボパーカーもこの上なくグッド! 花丸です◎
今までだったら修学旅行などでもなければ見ることの叶わない女子の湯上りレアショット。思わず感涙にむせび泣きそうになるが、二人組の片割れが俺の視線に気付いてか振り返りそうだったので、泣く泣く当初予定通りアプリゲーに目を落とす。無念なり。
しかし! だとしても!! 素晴らしきかな、共同浴場!!!
天使との待ち合わせ場所になったこの共用棟は、読んで字の通り寮生のための共用の場だ。寮に入る最初の手続きを行った事務室等もあるが、なんといっても印象に残っていたのは、今、女学生二人が出てきた共同浴場。
寮は月五千円という破格の代わりと言ってはなんだが、風呂トイレどころかキッチンも別の六畳一間。説明を読んだ時は、寮棟内共用のトイレ、キッチンも面倒に感じたが、何よりも建物すら別棟の共同浴場は行く手間と入浴時間等の自由度の低さを想像するだにテンションが下がったものだ。
そんな愚かだった過去の自分を殴りたい。
そう、共同浴場なのだ。中で男風呂、女風呂が分かれているとしても、出入り口は同じ。であれば、先ほどのような今まではレアだったショットが、今後は場合によれば毎日拝めるということ。
ファンタスティック シェアバス! フフー!!