第5.5話 今作の戦闘描写の設定について
大田勇介と藤田吉郎の対話コーナーの第6弾です。
テーマは今作の戦闘描写の設定についてです。
今回も結構攻めたことを書いてます。
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ナレーション
さぁ、始まりました!親友ふたりによる、夢のひととき。今回のお題は・・・「今作の戦闘描写の設定について」です!!では、おふたり、お願いします。
藤田吉郎
第6話とか第7話の戦闘シーン見てたら、時代劇の戦闘シーンとかなり違うんやけど、これでええんか?
大田勇介
うん。筆者がこうだったんじゃないかって思う戦闘風景を書こうとした結果、こうなった。
ヨシロー
これやと、全然チャンバラしてないやん!刀使ってる人間あんまりおらんって書いてなってるし。
マタスケ
刀はリーチが短いから、開けた戦場では使う人間は少なかったと思う。身長より少し長いくらいの槍の方がリーチあるし、主力やったはずやな。
ヨシロー
刀は武士の魂とちゃうんか?
マタスケ
それは江戸時代以降に言われ始めた話やな。当時の実際の戦闘では、その時々の必要に応じて有効な武器を使ったはずや。屋内とかの狭い場所なら、刀も積極的に使われたはずやな。
ヨシロー
けど、弓矢とか石つぶてばっかりで、なかなか前に進まんのはどうなんや?
マタスケ
そりゃ、だいたいの人間は死にたくないし、痛い思いもできるだけしたくない。敵となるべく距離を取りたいと考えるのは、自然な人間心理やな。遠距離攻撃が延々続くのは、むしろ普通の光景やったはずや。
ヨシロー
でも、それやったら、全然決着つかんのちゃうん?
マタスケ
確かに。だから、先頭切って突っ込んでいく勇者は尊重された。先駆けの功って言って称賛されたし、相手を倒すだけじゃなく、キズを受けても忠義の証として褒美をもらえた。そういう勇者が戦局を動かしたからこそ、大きな見返りで報いたんやろな。
ヨシロー
こういう話って、何か根拠あんの?
マタスケ
「軍忠状」っていう資料が根拠やな。
ヨシロー
ぐんちゅうじょう!?
マタスケ
主君が褒美を与える時に証拠となる文書のこと。褒美を与える対象となる家臣の戦いでの功績が書かれてるんやけど、そこには受けたキズについても書かれることがあった。
ヨシロー
受けたキズも褒美の対象になるんやったっけ?
マタスケ
そう。だから書かれてた。で、キズをどのように受けたかについても書いてあって、軍忠状を数百通調べた人によると、一番多かったのが矢とかの飛び道具、次が槍とかの長い武器、最も少なかったのが刀やったらしい。
ヨシロー
リーチが長い武器順に、受けたキズの数も多かったってことやな。
マタスケ
うん。なるべく距離を取って戦いたいって人間心理を考えたら、妥当な話やと筆者はとらえてるわけやな。
ヨシロー
あと、馬に乗って突っ込んでいくやつが全然いないってのも気になるわ。
マタスケ
第4.5話でも話したけど、騎馬の武士と従者が1セットになって部隊が作られてるから、近代の騎馬隊みたいな部隊はなかった。正面攻撃の時にバラバラで騎馬だけ突っ込んでも、効果は薄い。目立つから、いい的にしかならんやろしな。
ヨシロー
で、馬を降りて攻めてたってことか?
マタスケ
そういうことやな。ただ、馬を使う方が都合がいい時は使ってたはず。逃げる時とか、逃げる相手を追いかける時とか。そういう場合は、ちょっとでも早い方がいいからな。
ヨシロー
決まりきった戦いの型みたいなのはなかったと?
マタスケ
命かかってるし、そういう柔軟性がなかったら勝たれへんわな・・・!
ナレーション
お後がよろしいようで。
筆者はビビリなんで、戦国の世に生まれても、率先して敵陣に突っ込んでいくことはないでしょう・・・。
現代でも空爆やミサイル攻撃などの遠距離攻撃をいくらやっても、最後は歩兵が出ていかなければ制圧はできません。
戦国武将たちも、本質的に臆病な人間という生き物をどのように危地へ向かわせるか、頭を悩ませたに違いありません。
筆者なりに当時の戦国の戦とはこんなものだったのではないか、と思う描写を今後も行っていく予定でおります。
今回の話は鈴木眞哉さんという方の著作などを参考にしています。