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第26.5話 石高と貫高の違いって?

大田勇介マタスケ藤田吉郎ヨシローの対話コーナーの第27弾です。


今回のテーマは、石高と貫高の違いって?です。


第27話に登場した、当時の土地の価値を示す単位である石高と貫高について取り上げました。


第27話を読む前に、ご一読ください。

ナレーション

 さぁ、始まりました!親友ふたりによる、夢のひととき。今回のお題は・・・「石高(こくだか)貫高(かんだか)の違いって?」です!!では、おふたり、お願いします。


藤田吉郎ヨシロー

 聞き慣れん単語やな。全然わからん。どういう意味?


大田勇介マタスケ

 簡単に言えば、どちらも土地の評価額を示す単位やな。石高は米の収穫量に基づく単位、貫高は納税額を貨幣換算した単位。


ヨシロー

 何で2通りあったんや?


マタスケ

 元々室町時代を通じて発展してきたのが貫高制やったんよ。土地の収益を銭で換算して、土地の評価額を出すってことは、それだけ貨幣経済が発達してきてたってことや。


ヨシロー

 当時の銭ってどんなやつやったん?


マタスケ

 メインは中国の銅銭やな。あとは、色んな組織や人が自分たちで作った私鋳銭(しちゅうせん)も流通してた。品質が悪いから、鐚銭(びたせん)とも呼ばれる。他には金銀を使う場合もあったけど、使用は限定的やな。


ヨシロー

 うん?メインのカネが中国の銅銭っておかしくない?


マタスケ

 平安時代末期くらいから、中国からの主な輸入品として銅銭があった。平安時代末から室町時代にかけて、大規模な貨幣鋳造(かへいちゅうぞう)(お金を作ること)を行う強力な中央政府が存在しなかったから、手っ取り早く中国から輸入して使ってたんや。


ヨシロー

 何でそうまでして使ったんや?


マタスケ

 だいたい最初の頃の取引ってのは、物々交換なんよね。けど、物によっては持ち歩くのが大変やったりする。で、最終的に中国で行き着いたのが、貨幣として銅銭を発行することやった。銅銭なら少額の買い物はやりやすいから、いざ普及し出すと庶民層からも需要が大きかった。


ヨシロー

 んで、日本はその真似するだけやなくて、モノまで持ってきたってことか。


マタスケ

 そやね。ちなみに、中国は特別銅の産地ってわけでもなかったんで、普通に中国国内需要だけで銅銭不足になるくらいやったのに、日本への輸出でさらに深刻なことになってる。けど、よっぽどプライドあったんか、銅銭にこだわってた。


ヨシロー

 今やったら紙のカネとか使ってるやん?そんなんは使わんかったんか?


マタスケ

 いや、宋王朝の時代に紙幣は発行されてるよ!元王朝の時代には「塩引(えんいん)」っていう塩の引換券が高額紙幣の役割を果たしていた。


ヨシロー

 それやったら、日本でも紙のカネ使ったら良かったやん!


マタスケ

 実は・・・後醍醐天皇の「建武の新政」のとき、やろうとしたけど失敗してる。


ヨシロー

 何で!?


マタスケ

 政府に信用がなかったからやろうな。建武の新政は3年足らずで崩壊して、戦乱の南北朝時代が始まった。使う側は政府がしっかりしてこそ、紙をカネと思って使えるからな。すぐ吹っ飛ぶ弱い政府の紙幣なんて、ただの紙切れや。その点、中国の銅銭は東アジア全域で使える国際通貨やったから意味があったんや。


ヨシロー

 それと貫高制はどう関係してくるん?


マタスケ

 実は室町時代は勘合貿易って言われる中国との貿易が盛んな時代やった。ドンドン中国の銅銭を輸入し、日本国内で貨幣経済が発展した。で、買い物や経費の支払いだけでなく、税金の納付にも銭が使われるようになり、土地の価値を銭で計算する貫高制が成立したんや。


ヨシロー

 なるほどな。それやったら、大名側は何かメリットあったん?


マタスケ

 当然、銭がダイレクトに入ってくるし、大名側にも都合の良い制度やった。ただ、貨幣の流通量が減ってしまうと、制度が成り立たないっていう弱点があった。


ヨシロー

 何でカネの量が減るんや?


マタスケ

 中国からの輸入が減ったのが、そもそもの原因やな。主導してた足利将軍家が衰え、正式な貿易が先細っていった。当時の中国は民間貿易を制限していたから、銅銭の輸入量が減った。で、新たな問題が持ち上がった。


ヨシロー

 何、何?


マタスケ

 入ってくる銭の量が減ってくると、みんな良質な中国銭を貯め込み、質の悪い私鋳銭を使うようになる。そうなると、中国銭の流通が減って、納税が難しくなる。で、制度じたいが成り立たなくなるんや。


ヨシロー

 そりゃ、たまらんな。


マタスケ

 信長をはじめとして複数の大名が「撰銭(えりぜに)」という政策を打ち出し、質の悪い銭を強制的に禁止・回収して質の良い銭を市場に吐き出させようとしたけど、あまりうまく行かなかった。で、貫高制は廃れていった。


ヨシロー

 じゃあ、石高制はどんなん?


マタスケ

 土地の価値を米の収穫高であらわす方法やな。農作物のメインが米やから、そこに合わせにいった制度。当然、米以外の農作物を作ってる場合も、米の収穫高に換算することになる。「1石=180kg」で、これは成年男性の1年間の消費量にほぼ等しい。つまり、1石の土地っていうのは、人ひとりが生きていくのに必要となる土地やと思ったらいい。


ヨシロー

 それやったら、銭がなくても関係ないってわけやな。


マタスケ

 そう。だから、貫高制にかわってしだいに使われるようになり、江戸時代には基本制度となった。ただ、銭が必要ないってことは、貨幣経済を必ずしも必要としないわけやから、商業が軽視される恐れが出てくる。長期的に見て、経済発展にブレーキをかけてしまう可能性がある。


ヨシロー

 どっちも良い悪いがあるんやな。けど、米だけに最後は()()が決め手になったんやな!


マタスケ

 おっ、久しぶりに綺麗に落ちた!?


ナレーション

 お後がよろしいようで。

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