もしかしてだけど
勢いなくなってきました。
暇なら読んでみて下さい。
( ^-^)_旦~
ある日、マサたち3人が夕食を終え、くつろいでテレビを見ていた時のこと。
「ちょっと、聞きたいことがあるんだがいいか?」
「ん?」
「どうしたの?」
マサは、ちゃぶ台でのんびりお茶をすすっている異世界コンビに話し掛ける。
「お前らの元いた世界ってどんな感じだったんだ?」
クラウンが先に反応した。
「マサがそんなこと聞いてきたの初めてだな。そうか!やっと私の凄さに気付いて、どうやったら私のようになれるのか知りたい、という訳だな!」
「全然違う。興味がなかったから聞いたことなかったな、とふと思っただけだ」
「恥ずかしがる必要はないぞ!君がどうしてもと言うのなら、教えてやらないでもない!そうだな…。そのためには、日頃の私に対する態度を改め、反省し、そして土下座をして頼むんなら教えてやっても… ぶべぇぇぇ!!」
ガイルの必殺乙女ビンタ炸裂!
「日頃お世話になりっぱなしの居候のくせに、何でアンタはそんなに偉そうなのよ。同じ世界から来た者として恥ずかしいわ!」
ビンタをくらったクラウンは、軽くトリプルアクセルして畳に落下したあと、白目をむいている。よく気絶する奴だ。
ガイルは特に気にせず続ける。
「さっきの質問の答えだけど、そうね…こっちにきて、そんなに長くはないけど、1つ言えることは、文明はこちらのほうが比べようもないくらい進んでいるわね」
「それは間違いない!車や飛行機なんて向こうでは想像もつかなかったものだ。技術力には雲泥の差がある。50年…いや100年ではきかないくらい遅れてると思う。こっちの歴史は全く知らないが、相当な技術者が多くいたんだろうな。私のように選ばれし者がね☆」
まだ、寝ててよかったのに。…コイツ、段々回復力が強くなってる気がするな。
「逆にこちらにないものといえば魔法なんかがあるわ。魔法はこの世界にはないみたいだけど、アタシなんかは向こうでも全く使えなかったからどっちにいても一緒」
「魔法って、俺のイメージ通りならいろんなことができて生活に便利って感じだが」
「それは多分、生活用の魔法のことね。ただ、向こうでは魔物との戦闘が日常的に行われてるから、どちらかというと攻撃、防御、回復魔法なんかの戦闘系が重宝されるのよ」
「なるほどな。生活には便利でも、魔物がいると静かに生活できないな。となるとそっち方面の魔法に重きが置かれるってことか」
「そうそう。まずは魔物を倒さないと平穏な生活もクソもないのよ」
「その通り!だから、魔王討伐まであと少し、というところで転移させられたのは、悔いが残るのだ。こうしてる間にもまた魔物の被害は拡大しているはず。戻ったらまたすぐに討伐に向かわないと!」
クラウンはドヤ顔を見せる。
何か、腹立つな…。
「お前らが転移して来たのも魔法の力なんだよな。そういえばお前、なんで転移の罠にかかったんだ?」
ギクッ!!
「アタシもそれ知りたかったのよね。魔王の玉座に行く前にいなくなったわよね?一体何があったの?」
「…実は、魔王城に突入したときから感じていたんだが、城のどこかにさらわれた子どもたちが捕らわれている気配を感じて、単独でそれを助けようと…」
「嘘つけ」
「嘘ね」
「なにっ!何故そう思うのだっ?!」
「容赦なく子供をぶん投げて泣かす奴が、わざわざ助けるようなマネするわけねぇだろ。つくならもっとマシな嘘をつけ」
「上に同じ」
せっかくなので、マサは軽く思考を巡らせてみた。
「俺が罠を仕掛けるなら、コイツの性格からして一番有効なのは誘惑だと思う」
ギクッ!
クラウンは冷や汗をかき始めた。
「しかも、恐らくハニートラップが効果的だな」
ギクッ!ギクッ!
クラウンは、目が泳ぎまくっている。
「こういうのはどうだ?玉座に向かう途中で、なぜか仲間とはぐれたお前は、どこか別の場所で女、若しくは女の魔族に遭遇した。そして、何かしらの色仕掛けに乗った」
「………」
「綺麗な姉ちゃんに『私は魔王に捕らわれてしまったのです、助けて下さい!お礼は何でもします!ウフ~ン♡』的なことを言われて、いつものごとく浅はかで、それを信じ込んだどこかのアホ勇者は『私に任せたまえ!』みたいなことを言ったあげく、見事、罠にかかり『オーホッホッホ!おバカな勇者さん!』って見下されながら転移させられた」
「……」
ガイルがジト目でクラウンを見ている。
「反論しないのか?」
「…想像に任せる」
当たらずも遠からずなのだろう。気が晴れたマサはさっきまでの話を続ける。
★
「話を戻すが、人間にとって脅威になる魔物を生み出してるのは魔王だから、早く討伐しなきゃならないのか?」
「その通りだ」
「魔王を倒したら、残された魔物はどうなるんだ?」
「全て消え失せるはずだ」
「もし、そうならなかったらどうするんだ?」
「どういう意味だ?そんなことあり得ないだろう?」
ん?
「あり得ないってのは?」
「創造した者がいなくなれば、創造された者も消えるにきまっている!」
そんな理屈、聞いたこともないが。
「…ちなみに、今まで魔王を倒したことある奴はいるのか?」
「歴史上いない!私たちが討伐に最も近い場所にいたと自負しているぞ!」
「じゃあ、魔王を倒しても魔物がいなくなるかは、誰にも分からないんだな?」
「いなくなる!そうでなければおかしい!」
「なんで?」
「なんでって…魔王は悪の元凶なのだ!奴を倒すことで世界は平和になる。常識で考えればそうだろう?」
んん?? 常識ねぇ…
「魔王ってそもそも何がしたいんだ?」
「魔物に人間を襲わせて、滅亡させ世界征服を狙っているんだ!」
「魔物は人間を襲うのか?」
「もちろんだ!食われてしまう者もいるぞ!」
「逆に人間が魔物を見つけたら?」
「即座に討伐する!危険だからな!当然だ」
んんん??
ガイルは険しい顔で2人の話を聞いている。マサが何を言いたいのか考えている様子。
「魔王の世界征服を阻止するのが勇者と、その仲間たちの役目ってことか?」
「そうだ!魔王への最後の一撃を与えるのは勇者でなければ無理だからな。神に選ばれし者の役目だ!」
それは聞いてたが
「でも、誰も討伐したことはない、と」
「? さっきから、奥歯に物が挟まったような物言いだが、何が言いたいんだ?ハッキリ言ってみたまえ」
ふぅ… 俺が思うには……
「…お前、色々と騙されてんじゃないか?」
「!! 何だと?!」
「だって、今まで倒されたことない魔王に、トドメを刺すのが勇者じゃなきゃ無理って訳分かんないだろ。矛盾してるじゃねぇか。誰が言い出したんだ?」
「…」
「魔王が魔物を生み出してるとしても、魔王が死んだら魔物が消えるか怪しいだろ。だって誰も倒したことないんだから。それに、人間だって親が死んだからって、一緒にその子供は死なないだろ?」
「……」
「むしろ消えなかったら、統制がとれなくなった魔物は、凶暴化したり、色んなとこで何か大変なことをしでかすんじゃないか?そんときはどうする?全国討伐行脚か?」
「………」
「世界征服されるって言ってたが、魔王本人が公言したのか?そもそも魔王と話し合いしたことないだろ。実は友好関係結びたいとか思ってても、魔物も人間もお互い見かけたらすぐ襲うから話し合いにならないんじゃないのか?」
「…………」
「誰かは知らねぇけど、そういって洗脳みたいなことして、魔物を悪者にしとけば得する奴とか、お前に魔王を討伐させて何かしら美味い汁を吸おうって奴らが人間側にゴマンといると思うぞ。例えば宗教団体とか、武器商人、あとはどこぞの国とか」
「…………」
「俺は部外者だし、魔王の肩持つ訳じゃねぇけど、お前の話は思い込みが激しすぎるぞ。そうだ!そうに決まってる!そうじゃなきゃおかしい!って自信満々だけど、1つも裏付けとかねぇじゃん。まぁ最終的にはお前が正しいのかもしれねぇけど、ちょっとは物事を深く考えて行動しろよ。勇者だろう?」
「…」
「…」
異世界コンビは黙ってしまった。
こんなつもりじゃなかったのだが、マサはこう見えて意外に陰謀論が好きなのだ。1人で盛り上がってしまったなと反省。
「まぁ、今言ったことも全て俺の憶測に過ぎないからな。当たってるなんて言えないし、間違ってる可能性のほうが高いだろうな。だから……」
「信じるか、信じないかは貴方たち次第です!」
読んで頂きありがとうございます。
(*´▽`*)