回り出す歯車
ああああああああぁぁぁ!!!
めっちゃ遅れました...
やる気が出なかったんです...
せっかく週一のペースが守れてたのに...
継続するって難しいですね...
あと、アクセスありがとうございます!
意地でも完結させてやりますよ。
「疲れた...」
あの後、街道まで吹っ飛んだ人...もとい、ぶっ飛ばした人について聞きに来る人の処理にずっと追われていた。
古びた椅子に腰掛け、すこしゆっくりしようと思った矢先、扉をコンコンと叩く音がした。
「またか...」
僕は扉を雑に開き、「あなたも聞きに来たんですか?あれは武術の練習をしてたらつい乗り気で...」と、他の人に言ったように、この男にもこの無理矢理な嘘で納得してもらおうとした。が、
「いや、それを聞きに来たわけじゃない」
予想外の言葉に遮られ、僕は拍子抜けしてしまった。
「では何を?」
「ここでは何だから、中に入れてもらえないか?」
そういうや否や、男は店の中に入っていった。(店と言っても、取引時以外は銃を仕舞っているいるので潰れた酒場にしか見えないだろうが)
僕はテーブルのある席に座った男の反対側に座った。
男の見た目は40代後半ぐらいで、髪の色は黒と白が混ざっていた。体も大きく、それ相応の貫禄を感じた。
「で、何の用ですか?」
「君にはこれが見えるだろう?」
そう言うと、男は側に神霊を発現させた。
神霊は人型で、レオと同じように、人とは似てて似てない顔をしていた。
レオと比べると体はやや細めだが、それでも何か、年相応の「凄み」を感じた。
それに、神霊の手はレオとは違い拳ではなく、鋏のような形をしていた。
「これが私の神霊...『キャンサー』だ」
「神霊...そういえば、なぜ神霊と言うんですか?」
「まるで神のような力をもち、神霊主を守る守護霊のような存在...だから神霊と呼ぶようになった」
「神霊には能力がありますよね?火を使えるとか...キャンサーも何か能力が?」
「それはまだ教えられない。君の神霊を見せてくれないか?」
「わかりました...エリースッ!」
僕が名前を呼ぶと、呼吸をするかのように自然と神霊が発現する。
『...私がエリースです』
エリースを一目見ると、男は目を見開いた。
「やはり、君が噂の自律型か...」
「神霊というのは、やはり喋るものじゃないんですかね?」
僕は男に質問した。
「神霊は、言わば心の中のもうひとつの人間...精神の擬人化とでも言おうか...神霊は基本的には自我を持たない。神霊を通して会話をすることは出来るが、それは飽くまでも自分の意思で喋らせているものだ」
男は自分の神霊を引っ込め、エリースに話しかけた。
「君の能力は、『分析する能力』だね?」
『えぇ、物事を的確に分析し、彼に伝えるのが私の能力です』
エリースはそういうと、何故か2階へと向かった。
「エリース?どこ行くんだ?」
『今更ですが客人にお茶でも入れようかと』
...茶葉なんてあったかな?
そう思う前に、男に話しかけてきた。
「...そろそろ本題に入らせてもらう。ここに来たのは、我々に協力してもらう為だ」
男は先程までの優しげな顔ではなく、目に鋭い眼光を宿した、真剣な表情で言った。
「協力...ですか?」
「協力してもらう為、と言っても、君は既に協力してもらう運命にある」
「...今日の昼頃にきた人と、何か関係があるんですか?」
「関係大アリだ。何故なら、彼の組織と我々はあるひとつの物を巡って対立関係にあるからな」
「あるひとつの物?」
男は一層険しい表情になった。
「...通称平和。この平和に撃たれたものは神霊を発現する。撃たれたやつは誰でもな」
「撃たれることで...?」
そういえば、僕自身も撃たれた直後からエリースを発現出来るようになった...
もしかすると、何か関係があるかもしれない。
「私は銃を扱う店全てを調べ、赴いた...そしてここにたどり着いた」
「銃を扱う店なら、何か分かるかもしれない...と」
「もちろん、ここの店が本来誰の物であるかも知っている」
「...」
間違いない。この男は只者ではない。
僕の勘がそう言っている。
「君の能力が分析する能力なのが幸いだった。これで平和を追跡できる」
僕は、何かとてつもないことに巻き込まれている気がする。
自分の身に危機が迫るかもしれない。
だが、巻き込まれてみたいという好奇心が、”平和”とは何かという好奇心が、僕の背中を押した。
「わかりました、協力しましょう」
僕はそう言うと、男に握手を求めた。
男は「マッカスだ、よろしく」と、僕の手を強く握った。
『...ところで、茶葉はどこにあるか知ってますか?』
2階からひょっこりと顔を出したエリースを見て、僕は思わず苦笑いをした。