抑制されし技術力
とりあえず一週間投稿を継続できたらいいなと思ってます。
前作よりも進みが遅くなるかもしれませんが、ご了承ください。
あと、アクセスありがとうございます!
後書きに主人公について書きます。
「このあたりでいいかな」
僕は加工した死体を森の入口に置いた。
「これで雇った奴らはアイツが死んだと思うだろう」
死体を加工するのは久々だ。
普通の人は加工なんて聞いたらびっくりするだろうけど、大したことはしていない。
魔力で骨格なり顔なり変えただけで、エグいことは何もしていない。
ただ、なんだかんだで命を奪ってしまったのは確かだ。
僕は死体に手を合わせ、鎮魂の祈りを捧げた。
「死体を誤魔化したのはいいけど...」
肝心の家の場所を聞いていない。
どうしようか...?
『ここは私にお任せ下さい』
エリースがパッと出てきたかと思えば、おもむろに地面を調べ始めた。
「何してるの?」
『足跡を探してます』
「足跡を?何故?」
『足跡を分析して辿れば家は見つかります』
「分析って...エリースは色々できるな...」
「当然です、私は完璧ですから」
僕は完璧という言葉にすごい自信を感じた。
『足跡を見つけました、行きましょう』
エリースはそういうと、足跡を辿って行った。
僕も見失わないようにエリースについて行った。
「ここか...」
僕は狭い路地を通ると、そこにはひっそりと家がたっていた。
僕は扉を開け、中に声をかけた。
「おーい、いるかー?」
すると、さっさと行ってしまった男が
「あっ、旦那!」
と、返事を返した。
「どうして僕の事を旦那と?」
「俺の事を守ってくれるんだろ?だから、旦那って呼ぶことにしたんだ」
「へぇ...」
「それよりも...旦那、頼みがある」
男はさっきの態度とは打って変わって、急に真面目な態度になった。
「まだ何かあるの?」
「ここを...この店を、旦那に継いでもらいたい!」
「...は?」
突然の事で、一瞬頭が真っ白になった。
「一体どうして?」
「俺は死んだことになってるんだろ?で、俺がここにいたらおかしいだろ?だから、旦那には継いでもらって欲しいんだ」
男も、それなりに考えていたらしい。
「わかった、そこまで言うならここを継ぐよ。...で、ここはなんの店なんだ?」
周りを見渡しても、商品らしいものは何も無い。
元々酒場だったらしく、テーブルやら椅子やらが埃を被っていた。
「へっへっへ、こいつを見ればすぐにわかりますよ」
男は棚を横にずらした。
すると、そこには赤いボタンがあった。
赤いボタンを押すと、壁がひっくり返り、そこには男が持っていた物に似たものが沢山並んでいた。
壁一面に並べられて、思わず圧巻されてしまった。
「これは...」
「機械の国から輸入してきた、銃火器ですよ」
「”銃火器”...?」
「旦那が知らないのも無理はない。ここの所有者になる旦那が知らないのもなんだし、色々教えてやるよ」
そうして、僕は男に銃火器について色々と教えて貰った。
機械の国は技術を他の国に渡さないように、機器類の輸出を厳しく規制していたが、それでも針の穴を通すように、様々なルートでこういった技術を色々な国に持って行っているらしい。
銃火器もその技術の1つで、男が持っていた物は、”拳銃”と言うらしい。
男の場合、銃火器を一つ一つのパーツに分け、複数のルートでパーツを輸入し、この店で組み立てているらしい。
「旦那にはここを継いでもらうからな...パーツの受け取りから、組み立てまでしっかり覚えてもらうからな」
男はそういうと、パーツを店の奥から持ってきて、
「さて、今から簡単なパーツから組み立てを覚えてもらうからな」
「今から?」
「当然だ、明日には客が来る予定なんだ、今すぐにでも覚えてもらわないと、店主なのか怪しまれるぞ」
「...お前を助けるなんて言わなきゃよかったよ」
僕はため息をついた。
「さて、どうするか...」
僕は店の奥の部屋で、パーツの入った箱とにらめっこをしていた。
『ここは私にお任せ下さい』
またエリースが出てきたかと思えば、パーツを箱から取り出しては机に置き、パーツを箱から取り出しては机に置きを繰り返した。
よくよくみると、パーツの置く場所が決められている気がする。
暫くして、
『分析が終了しました』
と言って、パーツを弄るのをやめた。
「え?組み立てないの?」
『はい。分析が終了したので、貴方は目をつぶっても組み立てられるはずですよ』
「ふーん、目をつぶっても、ねぇ...」
エリースの言った通り、目をつぶって、パーツに手をつけた。
すると、頭の中で設計図が浮かび上がり、どこにどうパーツを組めばいいのかすぐにわかった。
あれよあれよとパーツを組み立て、あっという間にひとつの拳銃が出来上がった。
「あれ、まだパーツが残ってるけど...」
『無駄な部分を削り、改良できる部分を矢印で補充しておきました』
「エリースは器用だねぇ...ありがとう」
『ついでに、その拳銃の設計図も書き出しておいたので、あの男に見せればいいかと』
「本当になんでもできるねぇ...」
『はい、私は完璧ですから』
といって、エリースはひっこんだ。
「旦那、入るぞ...お、出来たか」
というと、男は僕から拳銃を取り上げた。
「なんだぁこりゃ?銃がかるくなってるじゃねぇか。しかも、パーツもバラバラだし...ん?」
男は色々いじった後僕を見て、
「...旦那、どうやってこれを?」
と言った。
「あぁ、改良してみたんだ。はい設計図」
と僕は言って、設計図を手渡した。
「こ、これは...!すげぇ!」
と言うと、男は試射しに別の部屋に向かった。
僕も男について行った。
男が引き金を引く。
すると、弾は正確に的の人形の額を撃ち抜いた。
『ある程度補正が効くように弾に魔力を込められるように改良しました』
エリースは引っ込んだまま説明した。
「これは...相当すごいぞ!」
男はひとりでにはしゃぎ、別の部屋に言ったかと思うと、
「こっちに来てくれ!」
と、大きな声で僕を呼んだ。
「これは...」
目の前には、凄まじい量のパーツが置いてあった。
「これらのパーツで、旦那だけの銃を作ってくれ!もしかしたら、もっとすごいのができるかもしれん...!」
と言って、男は店から飛び出した。
「あ、おい!まだ名前も聞いていないのに...」
とぼやいて、大量のパーツを眺めた。
『これ全てを分析するには時間がかかりますが...やっておきます』
エリースはそういうと、早速パーツの分析にかかった。
僕も分析しやすいようにパーツを並べていった。
客のくる明日までに間に合うかな...?
僕は膨大な量のパーツを前に、黙々と作業に取り掛かった。
名前:ナラク
性別:男
人間と同じ姿をしているが、その正体は”地獄のその先”とよばれる場所を司る邪神。
趣味は様々な次元に行き、『奇妙な経験』をすること。
次元を行き来する能力は、神のほぼ全てが使えるため、そこまで凄くはない。
自身の魔力を矢印に、矢印を様々な形に変えて、色々と応用を聞かせることができる。
自分のもうひとつの能力として、『分析』がある。まだ能力が覚醒したばかりで、どこまで伸び代があるのか分かっていない。
性格は邪神とは思えない程の温厚な性格。
「弱者を傷付けない」という信条を持っていて、命を奪うような事はあまりしたがらない。
ただし、「越えてはならない一線」を越えた者に対しては冷徹になり、無慈悲に仕留める。
過去に相棒を無くした経験から、仲間を非常に大切にし、無条件に信頼する傾向がある。