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弧狼の再帰


僕はヒーローになりたかったんだ


もう、誰も失わないようにするために…


大切な人たちを守るために…


大人になり、守るための力を、知恵を得た


そして再び自分の命に代えてでも守りたい仲間と出会った、しかし悲劇は再び起こる


過去を繰り返さないように力を得たはずなのに、師を、仲間を、そして最愛の人をナクシテシマッタ


…もう、理想なんていらない、夢はもういい


さぁ、目を覚ますとしますか


ーーーーーーーーーーーー


あれから幾月の時が過ぎただろうか


あの輸送の後俺は憲兵団を退職し彼が以前所属していた第五特殊兵団に入隊した


無実の罪を着せられてしまった彼を助けようと奔走するが、全く成果が出ない


「だから、彼は誰よりもこの国のために奮闘してくれた!裁判やり直しのための捜査をさせてください!」


「…もう奴は政府直々に無期限の判決が出されてしまっている、今更どうしようもできんよ、カムイくん」


くそっ、ほんとにこの国の政府は腐りきっている。政府の私利私欲のために、いま俺たちキベリンは隣国のツヴァイと戦争をしている


こんな状況下でどうすれば彼を救えるんだ…


「しかし、彼を無罪にして国に戻すことはできんが、再び兵士としてこの国のために戦うのであれば再び入国を認めると先ほど元帥殿から伝令が来た。今は隣国の奴らが雇っている傭兵どものせいで戦況が悪い、例え犯罪者の手であろうとも借りたいのであろう。カムイ班長にはこれより”孤狼”ウタカタの迎えを頼む」


カムイ「!!つまり彼はまたこの国で暮らしても良いということですよね!」


思わぬ伝令に胸が躍った、これで彼と共に戦える!


「そこまでの保証はできんがな。しかし、現状の改善くらいは戦績でどうにかできるだろう」


それなら、問題ない。なぜなら彼は元とはいえ前回の戦争で敵を一人で殲滅させてあのウタカタさんだ、ブランクがあるとも再び戦場で暴れ回ってくれるに違いない!


「戦況はあまり良くない…迅速に奴連れてこい!」


カムイ「では、カムイ班はこれよりウタカタを迎えに参ります!」


そう、告げ俺は勢いよく部屋から飛び出した


これで彼の誤解が解ける!急がなくては!


「…まぁ、奴が生きていたらの話だがな。ん?伝令か。私だ何かあったのか?――」


ーーーーーーーーーーーー


カムイ「ってことで、これより俺たちはウタカタさんを連れ戻しに向かう」


あの後すぐに班員を集め船に乗り込み出航した


「…本当に大丈夫なんですか、彼は大犯罪者なんですよね?」


一人の班員がおどおどと質問してくる、彼女の名前はフウ。多少コミュ障な部分があるが班で一番器用で潜入工作、敵地での情報収集(盗み聞き)を得意としている。


カムイ「確かに彼は過去に国家反逆罪の判決となったがあの英雄がそんなことをすると思うか?」


「…とはいえ怪しいから裁判になったんだろうが」ぼそ


今ぼそりと呟いた彼はシグレ。銃などの火器の扱いに長けていて、軍の養成学校では主席で卒業しこの班に配属となった。


「!?おい、いませっかく班長が誤解を解こうとしていたのに何だその態度は!」がっ


先ほどぼそっと呟いたシグレに一人の男が掴みかかった彼の名前はゼン。シグレと同じ軍学校の次席でシグレをどうやら敵視しているようだ。彼は主に対人格闘の技術がずば抜けていて、刀など扱いが人一倍長けている。


フウ「こんなとこで、喧嘩は辞めようよっ」オドオド


ゼン「ほんっとに貴様の態度は以前から気にくわんのだ!」


シグレ「ふん、それはお互い様だ」はぁ


バンッ!


「「「!!」」」


俺は腰から銃を取り出し空に向かって撃つ


あっ、紹介遅れました。俺は第五特殊兵団カムイ班、班長カムイです。武器は主に帯刀している刀といま撃鉄を落としたこの銃です。因みに女なのでご注意を!


カムイ「今は任務実行中ですよ?鮫さん達のえさになりたいのですか?」にこっ


「「「っ!?」」」ゾワッ


カムイ「ん?、ちょうどいい、島が見えましたよ。さぁ貴方たちは泳いで行きなさい」


そう、彼らに告げ海に投げ飛ばした


ウタカタさん今お迎えに行きますよ!


ーーーーーーーーーーーー

一方戦争の前線、一人の傭兵がキベリンの兵士達を蹂躙していた


「ほんとにこれがキべリンの最前線の兵士なのか?弱い、あまりに弱すぎる。俺がいた頃なら再訓練ものだな」ズバッ


フードを深くかぶった彼がつまらなそうに呟きながらキベリンの兵士を一人、また一人と切り落としていく


「っと、これで一部隊分はかたずいたな、あっちはどうなってるかな」


兵士「せ…めて、せめて一太刀は入れてから皆の元へ!」バッ


「ん?、まだ生きてる奴がいてか。どうしてくれるんだよ、フード破れちゃったじゃん」


フードが破れ、日に輝く銀色の髪と共に顔が露わになった


兵士「!?な、何故貴様がここにいる?」


「ウタカタ!!」


ウタカタ「…見られたからには、シンデモラオウ」グシャッ


ウタカタ「おっと、ちょっと力を入れすぎたかミンチになってしまったよ、さぁ久方ぶりの母国に足を運ぶとしますか」


 こうして、戦場の弧狼が再び戻ってきた。


 今度は国を救う英雄としてではなく、国を滅ぼす悪魔として



最後までご視聴ありがとうございました!


感想評価等お待ちしております!

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