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色彩  作者: 初恋うちゅう
裏切り者は傍に。
4/10

第4話

登場人物紹介



リオン・フィール(F)…帝国の王女。忌まわしき黒髪の持ち主。剣の腕は立つ。


パロン・ヴェルデント(M)…帝国軍白薔薇隊に所属している新入り兵士。リオンに忠誠を誓う護衛ソシオとなっている。


カレン(F)…リオンお付きのメイド。


ポーシャ・フィール(F)…リオンの姉。黒髪であることを除けばリオンのことは好き。

頭脳派。


アオイナ・Q・フィール(F)…帝国の王妃であり、ポーシャとリオンの母親。優しい。


(前話までに出てきた人のみとなっています。)

それから1週間は瞬く間に過ぎていった。

リオンは、普段はしない作法の仕方の特訓や母親へのプレゼント作りに、

パロンはいつもの剣の稽古に加え、オーツク国の王家の護衛に選ばれたりして、2人は全く顔を合わせることが出来なかった。


「全ては王のために、全ては平和のために!」


ーどこかで、騎士達の声がした。



「よし、これで大丈夫ですよ姫様。」


「ありがとうカレン。今日はオーツク国の王子がいらっしゃるのよね。

私より年上だし、失礼のないようにしなければ…」


「大丈夫ですよ姫様。そのために作法の訓練をしてきたのでしょう?」


「ええそうね!カレン、見てなさい!」


ちょうどその時、扉を叩く音がした。


「失礼します。姫様、お迎えに上がりました。

そろそろ舞踏会へ行く時間でございます。」


正装をしたパロンが、剣を携えて膝まづいていた。


「…僕はあくまでもソシオです。姫様を影で護衛してはいますが、常にという訳には行かないこともあるでしょうから。

何かありましたらすぐに呼びつけてくださいね。」


なんだろう、いつものパロンくんならそんなこと言わなそうなのに。

リオンは不思議に思いながらも了承した。



ー1F中央ホール。舞踏会メイン会場。


食事はビュッフェスタイルなので、リオンはいつもより上等な肉で作られているローストビーフやいつもより美味しいケーキに飛びついていた。


「(そういえば、白薔薇の騎士はどこだろう…パロンくんは白薔薇隊所属だったわよね。

隊長に一応、ソシオの事を伝えたいのだけれど…今日いらしてるわよね。)」


帝国が持つ軍は5つの隊があり、それぞれの名前を赤薔薇隊、青薔薇隊、黄薔薇隊、白薔薇隊、黒薔薇隊(=シュピオナージェ)と分かれている。

赤薔薇隊は主に、成人男性が3年間徴兵された時に属する隊である。

自ら望んで兵士になった場合は青、黄、白のどれかに属すことになっているのだ。

シュピオナージェは王が直々に選ぶのでわからない。


そんなことを思っているとまさに、


「ねぇ見てみて!各薔薇隊の騎士様達がいらっしゃったわ!」

「青薔薇の隊長殿は女性なのに、すごいわねぇ」


舞踏会に来ている女性たちの黄色い声を若干鬱陶しく思いながらリオンは白薔薇隊長ーエドワード・W・コナサトスに近づいた。


「コナサトス隊長様!」


あれ、こっちを向かない。

気が付かなかったのだろうか。

もう少し近づいてみよう。


一歩踏み出す、が。

「エドワード様ぁ!」


リオンを押しのけて姉のポーシャがエドワードに駆け寄った。

一瞬リオンの方を見たかと思うと、キッと睨んだ。


「……」


ドレスを握りしめてリオンは思う。


「(やっぱり、私は話しかけちゃダメか。)」


1人で自嘲気味に笑う。

何を今更言っているんだろう私は。



1人で城の階段を登り、バルコニーへ出た。

ここからなら街の様子が一望できるのだ。


「ふぅ、綺麗な星空ね…でも街の方には雲が…雨が降るのかしら。」


誰かの声が聞こえる。

リオンは声のする方を探すと、青薔薇と黒薔薇の騎士達が話していた。


「ねえなんであたし達がこんな寒い夜に見張りなんてしなきゃいけないのさ。

そもそもオーツク国は同盟国だし…流石に怪しい人も2国の軍を相手に戦おうとはしないわよ。」


「はぁ…これだから脳筋は困るんだ。舞踏会は居心地が悪いからバルコニーで見張りでもしないかと誘ったのはお前だろう。」


「…まあそうだけどさ。ん?このガラスの鳥はなんだろ?」


流石にこれ以上聞き耳を立てるのはいけないと思い、リオンは引き返そうとした。



「久しぶりだね、リオン姫?僕のこと、覚えているかい?」


オーツク国王子、ダニー・ファルタルシが真後ろに立っていた。


「えっと…お、お久しぶりですわ、ダニー王子。」


リオンの記憶が正しければ2人は初対面だ。

いくら同盟国とはいえ、王妃の誕生日を祝いに来るものなのか?

なぜ去年までは来なかった?

王ならまだしも…王妃まで?


「ふむ、覚えていないかな。まあ仕方ないよ。

忘れているものはね。思い出させてあげようか?」


目が笑っていない笑顔で、ダニーはリオンに迫る。


「い、いえその…近いですわよ王子っ」


カレンが叩き込んだ作法がリオンの脳内を邪魔して逃げられない。

ど、どうしよう!


「なーんちゃって。」リ


オンの耳元でそう呟いたダニーは、彼女の頬に挨拶のキスをした。


「わ、わわ!ジョークって分からなかったわごめんなさい王子穴があったら入りたいくらいですわ…」


頬を紅く染めてリオンは俯いた。

恥ずかしい。


「ふふ、そんな君の表情も素敵だよ、リオン姫。

そんな美しい君に僕は死んで欲しくないよ。」


死ぬ?


話が壮大になった?

リオンはよく分からず首を傾げる。

ダニーは軽く息を吐いて、とある記憶を思い返しながら言った。


「僕は君のことが好きだ。だから君には死んで欲しくない。

帝国は金髪の国、美しい国だ。

だが僕達オーツク国は昔からの同盟国であるが故に帝国の美しさを保つための黒髪殺しを知っている。

黒髪殺しはいつか、帝国を滅ぼすととある占い師が言ったんだ。

だから帝国のために僕達は今夜、戦争を仕掛ける。」


「せん…そう?黒髪?私の…ために?」


理解ができない。

それは私が馬鹿だからなのだろうか。

1日の大半を剣の稽古ではなく勉強に注いでいたならば理解できるのだろうか。


「だからリオン姫。

君は今すぐに帝国から、オーツク国から逃げて。

本当は王女という立場である君も殺さなくてはいけないんだ。

だがそれだけはしたくない。

我が国の軍がこの城に到着する前に早く…っああ!」


街を見下ろしてダニーは叫んだ。


「もう、もうそこまで来ているではないか!

予定と違うぞ、くそっ!リオン、おそらくあと15分もしない内に第一群、先行隊が来る。

さあ早く行くんだ!」


全く頭では理解出来ていなかったが、とりあえず剣を取り、着替えて馬でどこかに行こうと思った。


パロンくんも呼ばなくては…!


そう思ってリオンの感覚では走っていると、ダニーが手を掴んだ。


「すまない、早く行けと言ったのに…」


ぱふんっ。


リオンはいつの間にか、ダニーの腕の中だった。


「1回だけでいい、君と、こうしていたかった…

リオン、また会える日を楽しみにしているよ…」


そう言ってダニーはリオンから離れた。

さあ今度こそ行けと急かすダニーの言う通りに、リオンは走った。


全く実感が湧かないが、リオンは3Fにある自室へ向かった。


「姫様!よかった、居た!」


途中でパロンと会うことが出来た。

まだダニーの熱が身体に残っている気がして気が気では無く、たどたどしくパロンにダニーに言われたことを伝えた。


「わかりました。僕が持っていく物はこの剣しかありません。

姫様が用意なさっている間、僕は部屋の前で見張っていましょう。」


そして自室へ着いた。


着替えている途中、夜で暗くなっているはずの外が明るくなっているのがカーテンの隙間から見えた。


「っ!兵士達が城を取り囲んで…ダニー王子の言っていたことは本当だったのね。

早くホールにいる皆に伝えて逃げなくては!」


パロンと2人で階段を駆け下りた。


「うわぁっ」「いや、やめて!!」


遅かった。


帝国軍の兵士達はほとんど酒を飲んでいたせいでまともな戦いが出来ず、一方的な虐殺となっていた。


「そんな…」


「姫様…もう、僕達だけでも逃げることを考えましょう。

ここには王様たちの姿は見えませんし、きっともう逃げたのかも知れません。」


「で、でも…黒髪の私に逃げるなんて許されないわ!皆を捨てて1人だけ逃げたなんてことがバレたら、きっと…」


「1人じゃありませんよ、僕がいます。

僕が一緒です。」


リオンは目を見開いた。


「そう…ね。そうだったわ…

同じ同盟国のオジプトに向かいましょう。

そうすればきっと援護がっ」


「ええ、そのためにはまず、このをなんとかしなければ…」


2人は目を合わせた。そして笑ってーー


「っ?!おい!子供が2人来たぞ!殺せ!!」


兵士達が叫ぶ。ざっと15人。


子供だからと舐めているのだろうか。


剣の打ち合いを適当にしている兵士しかいない。


「雑魚どもめっ子供を、舐めるなっ」


リオンは叫び斬る。

あと…2人で全滅させることができる。

パロンと背中合わせになり、息を整える。


「パロンくん、最後、いくよ!」


「はい、姫様!」


斬りかかったその瞬間

パチパチパチー。1つの拍手が聞こえた。


「素晴らしいですわ、姫様。敵を前にして逃げないその姿勢、私の見込みは間違いではなかった!」


顔をピエロの仮面で隠し、真っ黒いマントで全身を覆った誰かがいた。


兵士2人もびっくりしている。


ひゅんっ、


「ぐっは…」


ピエロ顔は一瞬にして間合いを詰め、兵士2人の首をナイフでぶっ刺した。


鮮血が舞う。偶然だろうか、舞踏会で使われていた音楽は未だに流れていて、鮮血と共に踊る。躍る。


「あははっなーんて綺麗なんでしょう!ねぇ、姫様ァ」



「っ姫様!」


ピエロ顔がパロンの腹に蹴りを入れると

壁まで吹っ飛んでいき、彼は頭から血を流して気絶した。


「パロンくんっ…あなた、何者なのっ」


リオンは震える手で1つの可能性を必死にかき消しながら剣の切っ先を向ける。


「ん〜、気が向いたら教えてあげますわ。」


視界が、真っ暗になった。



「王妃様、どうかお逃げ下さい。この青薔薇めがお守りいたします。」


玉座の前で、薔薇の姫という異名を持つ青薔薇隊の長が膝まづいている。


「いいえ、ダメよイザベラ。隊長である貴女が、それに王が逃亡してしまった今、国の責任者となれるのは私。逃げる訳には行かないわ。」


「ですがっここで死んでしまう可能性もあるのですよ…!」


「私には力があるわ。1人でも戦える力があるの。

とある巫女がくれた力が…。だから青薔薇の姫、ポーシャを誰でもいい、シュピオナージェ1人と合流してあの子を逃がして。

リオンは…もう居ないから逃げたのね。そう信じましょう。」


「…分かりました。そのように致します。

ご武運を、王妃様。」


イザベラは床に体育座りをして震え上がっているポーシャを抱きかかえ、去っていった。


「馬小屋に繋がっている地下道を通りましょう。そうすれば敵に見つかる可能性が最も低く、また黒薔薇の誰かもいる可能性が最も高いですよ。」


安心させるようにしてイザベラは言った。


「わかった…リオン…あいつ…許さないわ…」


小さくポーシャは呟いた。



ー帝国、オジプト間国境付近峠


「王様!ここを超えれば国境です!早く援護をっ」


「うむ…そうだな」


急ぐ彼らを見下ろす影が1人。


「…残念。遅かったね。我が憎き王。オジプトはもう…堕ちたわよ。」


鉄のスカートに収納されているナイフを8本、一気に取り出す。


「死ね」


護衛が7人、死んだ。


王には刺さらず、乗っていた馬に刺さった。


「チッ、外したか…」


王と目が合う。


何も知らない愚かな彼は走ってオジプトの方へ去っていった。


1段と高くなっている岩の上から女は飛ぶように降りて、8本のナイフを回収した。


「あのクソピエロ、上手くやったかしら。

本当に私に黒髪を殺させてくれるわよね…はぁ。」


ひらりと空を舞い、女は消えていった。


わずかな椿の香りを残して。

読んでくださり、ありがとうございます。また更新が遅くなり申し訳ありません。


久しぶりにシュークリームを食べました。美味しかったです。

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