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再認識

「えー、先ほど浜中君は―――」

 浜中に俺の意思を伝えたその直後、浜中は早退した。なんでも、発熱がすごいらしい。………俺のせいじゃないよな?ていうか、そんなことで熱出されても困るわマジで。…………きっと俺のせいじゃない、そうだ…俺のせいじゃない…と、もはや暗示のように心の中で何度もそう唱えながら午前中を乗り切った。

 さて、あまり友達の多い方ではない俺にとって、昼飯を一緒に食える浜中の存在は大きいわけで。昼飯がボッチ飯になろうとしているわけで。なんで熱出すかなぁあいつ。あ、俺のせいか。い、いや!俺のせいじゃない!断じて俺のせいじゃない!そう、俺のせいじゃない。また同じようにそう唱えていたその時だった。

「せーんぱいっ!今日一人になっちゃったので、お昼一緒にどうですかっ?」

 ……何故か白木がうちのクラスにやってきた。


*


 やっぱり、白木は疫病神なのだろうか。あの時、白木が俺に声をかけた瞬間、クラスの男子が数人倒れるのを、俺は見逃さなかった。ヤンデレかもしれなくて、疫病神かもしれない…?病つながりか…?

「うおりゃぁ!」

 そんなことを考えながら屋上で弁当を広げていると、白木がどこから持ってきたのかわからないハリセンで俺を思いっきりはたく。

「いってぇぇぇぇ!!」

「今ぜぇーったい失礼なこと考えてましたよね!?そうですよね!?」

「い、いや……。」

「目を背けるあたり、怪しい……黒ですね!」

「は、はぁ!?」

 やっぱりバレてしまっているようである。女の勘は鋭い。うん、覚えておこう。

「罰ゲームとして……。」

「罰ゲームとして……?」

「そ、その……先輩のその手で……私のお弁当のパンを……

 その……あ、あーん…みたいな…。」

「……は、はぁ。」

 思っていた以上にマジな罰ゲームではなくて、俺は少し安心した。

 でもそれは罰ゲームでもなんともないぞおい……とは思っていたが、俺は流れを崩さない。……だって、こんな機会2度とねえぞたぶん。

「い、いいですかっ!?これは罰ゲームですからね!?

 そ、そう!罰ゲームですよ!?」

「そんなに強調せんでもわかってるよ…。」

 とは言いながらも、内心ニヤツキが止まらない。やべえ、超ラッキーな日だ…!浜中ありがとう!!……俺は心の中で叫んだ。

「じゃ、じゃあそこの箱の中から……その……メロンパンを……。」

「おうよ…。」

 言われた通り、白木のお弁当箱……もはやバスケットのような箱の中から、俺はメロンパンを取り出す。さすがにそのままではかなり大きいメロンパンだったので、少しちぎった。

「んじゃ、あーん。」

「あ、あーん……。」

 パクリ、と一口で食べる白木。危うく俺の手までかじられそうになった。やっぱり「手」が好きなんだなぁ、と再認識。なんだかショックだ。

「うーん…!おいしい…!」

「そりゃよかった。」

「じゃあ……あ、あーん……。」

「え?まだやるのか?」

「何言ってるんですか!誰も1回とは言ってませんよ!さあ早く!」

「はぁ……。」

 さっきまで恥ずかしそうにしていた白木も、1度経験すれば慣れたらしく、いつもの調子に戻った。

 ………今日はもっともラッキーな日かもしれない。だが同時に、もっとも昼ご飯が疲れた日かもしれない。そう思った。

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