始まりはカッコつけて。
初作品で、未熟ですが、
楽しいドタバタ恋愛コメディーが描けるよう頑張ります!
※他の方と作品系統や内容など細かい所が被っていたりすることもあるかもしれませんが、これは作者のオリジナル作品だと思っております。
その旨をご理解の上、作品を楽しんでいただけたら嬉しいです。
様々な感想、批評がいただけるよう、頑張ります!
その日は、フクロウがないていた夜だった。
ホウ、ホウ、と少し間抜けに上ずった声が、窓ガラス一つを隔てた闇からぼんやりと聞こえる。
それは俺が好きな音の一つだった。
都会ではあまり聞こえないだろう、田舎にしか聞こえないだろう"ちっぽけな"特別を、小さくて、薄型なのか中型なのかよく分からないサイズの安いTVからの漏れる笑い声に紛らせて、耳にふくむ。
口は、2年前から交際している彼女の手料理をふくんで、味わう。
仕事終わりで疲れて、俺の肩に頭をそっと乗せてゆっくり気を緩める彼女に笑って、頭を撫でる。
「もっと。」って、ねだってくれる彼女の鎖骨あたりで揺れる銀色の指輪に愛おしくなって、だらしなく鼻のしたと頬が緩む。
そして次の日、目覚ましの音で目覚める。
それが特別なことがないけど俺が大好きだった、今も大好きな夜の過ごし方だった。
「あっ…、ん、やっ…!もう…、そこばっかりやめてよ…。」
「そう言うわりには嬉しいそうじゃん。」
「だって…ぁっ!」
「ほら…...。」
「…んっ、けいじくんっ、もっと…。はっあんん!」
「かわいい。」
その日は、フクロウがないていた夜だった。
そして、大好きな彼女がいやらしく喘いでいる夜だった。
俺じゃない男の手によって。
名前はけんじというらしい。声はなかなかの美声で、甘く掠れた低い声が彼女の名前を呼ぶ。甘い声をあげる彼女。
狭いベッドの上で絡まり合う、ふたり。
その真横に備えらたクローゼットの中に…、彼氏の俺。
…………うわぁい、浮気だ。
遠い目をして滝のように涙を流したら、俺はそう思った。
あ、鼻水口についた。きたね…。