ゲーム漂流日記 その3
『モンスターが現れた!
MHP:160 MSP:10 MPP:2 MOP:2 MEP: 55
ステータス 体力120 スタミナ 310 素早さ2 防御力9 攻撃力9 です』
ステータスの10という数は、初期設定において最大値だ。
さらに、攻撃をするためにはまずモンスターより速く行動しなければならない。
ただ、このゲームでは、足りないところはスタミナを大量に消費することによりその差を埋められる。
スタミナもまだある。
素早さ10 に警戒して、スタミナ50を消費する。
『勇者の攻撃
モンスターに 442 のダメージ
勇者は勝利した。』
やはり、オーバーキルになってしまう。
スプラッタな光景はないが。
攻撃力が9ということを考えると仕方が無いのかもしれない。
『モンスターが現れた!
MHP:140 MSP:9 MPP:11 MOP:6 MEP: 505
ステータス 体力120 スタミナ 260 素早さ2 防御力9 攻撃力9 です』
先ほどはオーバーキルになってしまったので、今度はスタミナの消費を少し少なめにする。
『モンスターの攻撃。
しかし、勇者は攻撃を防ぎきった。』
腹のあたりを殴られたらしい。
衝撃は感じたが、痛くはない。
スタミナ40では速さで負けるようだから、やはり消費スタミナを50にする。
『モンスターの攻撃。
しかし、勇者は攻撃を防ぎきった。』
また、腹に衝撃。
腹パンが標準攻撃手段なようだ。
『勇者の攻撃
モンスターに 408 のダメージ
勇者は勝利した。』
スタミナを60消費して、やっと倒せた。
合計で素振り1000回くらいの疲労だろうか。
……スタミナをケチると損をする。
『モンスターが現れた!
MHP:140 MSP:4 MPP:11 MOP:2 MEP: 505
ステータス 体力120 スタミナ 110 素早さ2 防御力9 攻撃力9 です』
素早さ4だが、念の為スタミナ50を消費する。
『勇者の攻撃
モンスターに 395 のダメージ
勇者は勝利した。』
一面の白の中を移動する。
……いや、移動しているらしい。
ただただ白い空間に漂っていると、気が狂いそうになる。
視界にログがなかったら、狂っていたかもしれない。
それとも、もう狂っているのだろうか。
『薬草をひろった。
体力が完全回復した。』
これまでも戦闘が終わるたびに薬草を拾っていた。
薬草はそこまで頻繁に出すつもりはなかったからきっと俺のプログラミングミスだろう。
……薬草程度ならいいのだが。
『モンスターが現れた!
MHP:60 MSP:5 MPP:10 MOP:6 MEP: 505
ステータス 体力120 スタミナ 60 素早さ2 防御力9 攻撃力9 です』
これまでの経験から、特に早いというわけでなければスタミナを50消費して攻撃する。
『勇者の攻撃
モンスターに 360 のダメージ
勇者は勝利した。』
ゆがみが消えると、また一面の白。
遠近感がなくなり、白の中に自分がちゃんと存在していることすら危うく感じる。
自己以外の証明であったゆがみが恋しくなる。
……モンスターが恋しいとはなんとも変だが。
『モンスターが現れた!
MHP:160 MSP:5 MPP:4 MOP:8 MEP: 105
ステータス 体力120 スタミナ 10 素早さ2 防御力9 攻撃力9 です』
くそっ、もうスタミナがもうない。
気がつくと、めまいだろうか、目の前のゆがみがくらくら揺れているように見えてしまっている。
ここまでなるまで気がつかないとは……。
ログの上で処理するため、直接行動した感覚がないのと、スタミナ消費後の疲労も持続するような苦しさではなかったため、スタミナを確認するのを忘れてしまった。
『モンスターの攻撃。
勇者に 101 のダメージ』
腹部に衝撃。
しかし、意識を刈り取るほどではない。
むしろ一度で気絶できれば楽だったかもしれない。
もう、後はない。
『モンスターの攻撃。
勇者に 37 のダメージ』
白の中に沈んでいく。
『勇者は敗北した。』
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
覚醒すると、また白の中。
ログを見ると、薬草を拾っていたらしい。
復活直後の俺には意味がないが。
そのまま進もうとすると、ログとゆがみが現れる。
『モンスターが現れた!
MHP:200 MSP:2 MPP:6 MOP:10 MEP: 105
ステータス 体力120 スタミナ 450 素早さ2 防御力9 攻撃力9 です』
モンスターの素早さが少ないため、スタミナを40消費する。
『勇者の攻撃
モンスターに 276 のダメージ
勇者は勝利した。』
ゆがみがねじれて、消えてなくなった。
いい加減に戦闘にも慣れたようだ。
『宝箱を発見した!
マッスラーを手に入れた。』
お⁉︎
マッスラーだと⁉︎
こんな状況になって初めてテンションがあがった。
俺がパワーバランスの調節のために入れた、ある一定の確立で発見できる宝箱。
ネタアイテムその3であり、一番適当に入れたマッスラーが一番始めに出てくるとは……。
だが、ログだけで何かしらかのゆがみすらない。
なんだか、すこしがっかりだ。
まあ、ちゃんとプログラムが動いていると分かったからよしとしよう。
『攻撃力が2増えた。』
さらに移動すると、またログが更新された。
『えろ本を手に入れた!』
え ろ 本 キター!!
これこそ、ダントツのネタアイテムで、こんなことになっていなかったら、スイッチメソッドを使っていろいろとネタを仕込むつもりだったのだ。
それこそ、巨乳やら、眼鏡っ娘やら、生足、ロr……ごほごほ、まあ、いろいろと。
出てくるたびに笑えるようなタイトルをつけようと思っていたのだよ。
まあ、残念ながら、こちらも実物はない。
ついでに、このアイテムはなぜかスタミナが回復するアイテムだ。
スタミナが満タンの今、何の変化もないけど。
だが、ネタアイテムを二回も出して気分的に上向きになれたことは大きな収穫だろう。
よし、進もう。