○○、△△をmottoに異世界で俺TUEEEします
俺の名は……、いや、やめておこう。うざいからな。
どこぞのお嬢様と同じ名前だからな。男だけどな!
俺には前世の記憶があったんだぜ~! ヒャッハー!!
それから、神様にチート貰ったぜぇ! 異世界にトリップしたんだぜぇ! 召喚されたんだ、勇者として。
この、乙女ゲームに似た異世界に。
そこはカオスな空間だった。蔓延る魔物。
石を投げれば冒険者にあたる。尿意をもよおしたときは、ギルドを探せ。これが鉄則。
だいたい都会のコンビニと同じぐらいの間隔でギルドはある。あとパチンコ屋もある。 だから、トイレに行きたくなったらギルドかパチンコ屋に入れば問題ないからな。
そして、ティーサロンだ。
良家の子息たちは、学園のティーサロンでお茶やお菓子をつまみながら談笑するのだ。
コイバナに胸をときめかせるのだ。
ああ? 俺の前世? もちろん無職だ。ハロワに行ったらトラックが突っ込んできたぜ! 幼女? 助けたさ! 幼女と、女子高生と、あと山羊とかを助けたさ! 俺がいなければ、30000000本の美味い棒が粉々になるところだったよ。
これは感謝されてもおかしくないはずだ。
だからチートを貰ったんだ。神様からな。土下座はこっちがしてやったよ!
10倍返しだ!
神様「なにを! 負けるか! 100倍返し!」
こうなりゃ土下座合戦だ! 先に頭を上げた方が負ける。
俺は何度も何度も、地面に頭をぶつけちまった。
「この、高高度から(その時俺は400階建のビルの屋上に居た)自由落下しながら、舞い落ちるように土下座だ!!」
それで勝負は決まった。
俺の勝ちだ。なぜならこれ以上の高低差のある土下座は思い浮かばない。
高低差と皇帝さんって似てるよね? 似てない? まいっか。
とにかく俺の体は地面にめり込み、マントルを突き破ってペルー沖にまで到達した。
呆れた神様がチートをくれた。今度こそ、土下座ハ俺のほうからしてやったさ!!
今日も、学園内のティーサロンでのんびりとお茶を楽しんでいたところだ。
「たいへんだ! ドラゴンが! ドラゴンがくるぞぉ!!!!!」
警報だ。パターンサンライトイエローだ。これは、俺の出番だ。
呼吸だ。呼吸を大事に。
10分とか吸い続けて10回吐く奴だ。タイムリーだろぉ?
「よし、俺に任せろ! 30秒で片を付けてやる!!
安室、いきまー!!」
カタパルトに固定された俺の足はリニアの力で宇宙へと飛び立った。俺は全天周囲な風景に包まれていた。
俺は飛び出したさ。周りにいた腕に覚えのある奴らもな。
俺は、一番になれなかった。
だが、それでいい。
俺より先にドラゴンに向って行った奴はみんな死んだ。
炎の吐息に焼かれてな。焼き鳥になっちまった。
串にさささされてタンゴとはこのことだ。
すでに30秒どころか、1分近くは経っていたように思う。
なんたって、初等部のティーサロンから、ドラゴンの居場所までは片道2時間はかかるからな。
俺はチート持ちだ。瞬間移動ができる。どんな距離でも、わずか一秒で。
だから、30秒以内にドラゴンの前に到着した。
だから、残り時間は29秒も残っている。
俺は屍の山を乗り越えた。所要時間は10秒だ。残り19秒。
チートで鍛え上げられた俺の肉体。
その全てが凶器だ。歯も、爪も。鍛え上げられた腹筋も。金剛石よりも固い。
そして鋭いんだ。俺の腹筋は鰐をも切り裂く!
ドラゴンはおびえた。逃げ出した。
俺は追う。
ドラゴンは逃げてなんかいない。果敢にも俺に立ち向かてきた。
やれやれ、チートな俺に向って来るとは命知らずもいいところだ。
「お前が、伝説の勇者か! 儂はドラゴンじゃ!!
やっつけてやる! 覚悟しろ!!」
すまんな。
お前の戯言に付き合っている暇はないんだよ。
あわれでおろかななんだっけ? 種香辛料だっけ?
まあお前はそんなのだよ。
おっといけねえ、今のやり取りで20秒も使ってしまった。
俺は、宣言したことは守るタイプだ。どちらかというとだけど。
残り時間はすくねえ。
必殺技を繰り出そうとした。
宝神魔剣スパイスシードだ。これさえあればなんだって切れる。
例えば乙女ゲームの主人公のおんなのこが、想いを寄せている美男子キャラへの恋心とか赤い糸とかもな。
だから、俺は言ってやったんだ。
「寝言は、休みやすみいいやがれ!」
ほんとは罷り通らん! っていいたかったよ。そこは自重だ。
俺ってば仮面とかぶらないたちだから。
俺の全チートを拳に乗せる。
一撃必殺だ。相手の関節の五か所、首、手首、脇、股、股関節、足の付け根を破壊する最強のバスターだ。
くらえ! 俺の、全力の攻撃!!
なにせ、相手は魔王だ。
ここで出し惜しみしている場合じゃない。
俺は伏線を全て回収する。
お前があいつを殺した親玉だった!
あいつが裏切ったのはお前が裏で手を引いていたからだ!
俺のあいつを寝取ったのはお前だ!
お前も俺のハーレムの一員に加えてやるぜ!!
そのたもろもろだ。
気が付くと……、そこには生徒会長が立っていた。
世界で俺達はたった二人残された、アダムと胃部。
「『俺』くん、僕とあたらしい恋を始めよう!」
こうして、俺の初恋は成就したんだ。
やっぱり、謙虚で堅実に俺TSUEEしててよかったわ。ほんとに心からそう思う。
「ぅん、せぃとカゝぃちょぅ!! ぁたUも、前から生徒会長のことが大好きだった!
ずっとずっと前からだぉ!!」
「『俺』~~~~!!」
抱き合う二人を見て俺は思ったわけだ。
こいつら、似合いのカップルじゃねえか。
俺の入る余地はないな。しあわせにな!
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