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言いたいこと

ボクも言いたいことがあるよ!

作者: 柊水仙
掲載日:2012/09/22

 はじめまして。ボク、色鉛筆。え? 何色かって? よく聞いてくれたね。うふふ。ボクはね、七色なんだ!

 持ち主はあの、鉛筆やシャーペンをちょっと雑に扱う高校生。そういえばさっき、鉛筆三本組の一番長いのがあの子に強く握られてて、かわいそうだったよ。とんでもない所がボキッといきそうだったよ……。ああ、恐ろしい。

 ボク、持ち主の筆箱に入ってる文房具の中ではかなり古いんだ。なんと、あの子が小学三年の頃からいるんだ! これは良くないことだよ。今になってまだボクが存在してるってことは、使われてないってことなんだから!

 そりゃあね、色鉛筆なんて使う機会はあんまり無いしね、七色なんてなおさらだよ。でもね、せっかく筆箱に入ってるんだから、使って欲しいよ。……最後に使われたのいつだったっけ。あの子が高校に入ってから使われた覚えがないよ……。

 ボクね、あの子には気に入られてるのはわかってる。あの子は気に入った物が無くなるのが嫌なんだ。だからボクはなかなか使われない。それに、あの子の七色鉛筆はボクだけなんだ。ボクを使ってしまって、七色のが手元から無くなるのも嫌みたい。

 大切にされてるのは嬉しいけどね、まだ10センチ以上あるよ! ちょっとくらい使ってもまだまだ無くならないよ! だから使って!

 ん、持ち主が筆箱をあさってる。消しゴムならキミから見て右の奥で埋もれてるよ。……え? ボク、持ち上げられた……。これってもしかして……。

 うわあ! 出番だー! 久し振りの外だー! 何書くの? 何描くの? ああ、描いた絵に色をつけたいんだね。色ペン使って描き分けるほうが早いよ。っていうか今までそうしてきたじゃない。どうしたの、急に。もしかしてボクの願いが届いた?

 持ち主は七色のうち一色だけがノートにあたるようにして描いた絵を塗り分けていってる。ちょっと、その角度だと違う色が混じっちゃうよ。

 ふふふ。使われて嬉しいなあ。手、あったかいね。眠いの?

 そうそう、ボク、芯が折れたことないんだ。たぶん鉛筆たちより丈夫なつくりなんだね。

 ……ぐ、持ち主がちょっと強く握ってきた。何かあった? あー、隣の席の生徒が寝てる。ということは、自分は眠いの堪えてるのに、すやすやと寝てる彼が許せないんだね。寝てる奴のことなんかほっときゃい、ぐえええぇぇぇ!

 ううう、ぐるじい、やめで……。


 はあ……


 持ち主が小さく溜め息を吐く音が聞こえて、手が緩まった。ついでに出番が終わったから、ボクは解放された。筆箱に戻される。持ち主は怒りを溜め息にして吐き出したみたい。

 鉛筆みたいに芯は折れないし、シャーペンみたいに特に脆い部分もないから油断してた。あの子が怒った時に持たれてると大変だってこと忘れてたよ。まったく、持ち物に八つ当たりするなら、別の物にしてよ。文房具に当たらないで!



 ボクはこのまま、あの子にくっついて大学に行って、あの子が大人になっても長いままなんだろうね。

 ボクも鉛筆とシャーペンと同じこと言うよ。

 これからもボクを使って! ボク待ってるから! あと、なるべく優しく使ってね!

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