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EPIC  作者: ユキ サワネ
一章 黄玉と聖紋
4/4

第4歩 弱いってなんだ?

いつも読んで頂きありがとうございます♪

ストレス発散目的で緩く書いてます


ちょいと短めに。

 ―冒険者とは臆病であれ―

 ―冒険者とは無知であれ―

 ―冒険者よ、敗北を知れ―

 ―己を見失わぬ為に―


 大昔の著名な学者が遺した言葉である。


 現世にその教えを乞う者は殆どいない。




 「あの禿、言うだけの事はあるな。」


 砦の城壁上から戦況を観てそう呟いたコースケに部隊長は笑ってみせた。


 〝魔物より魔物〟


 サルバディアでは知らない者は居ないとまで言われるゴーディの二つ名。


 「あんな奴が居るのに押し切れないなんて……そうか、そう言うことか。」


 (ええ、コースケ気づきましたか?彼は昔からああ言う人なんです。魔物より魔物なんて言葉は彼の人徳から来たもの。彼は正真正銘の救世主ですよ。目の当たりにした者にとって。)


 両側に魔物群を押し込む戦士達と岩壁に追い込まれまいと抵抗する魔物の隙間から飛び出し背後を取ろうとする魔物を間髪入れずに叩きのめすゴーディ。


 あらゆる局面に縦横無尽に赴き、苦戦を強いられている戦士達の負担を軽減している。


 強きを砕き、弱きを救う。


 彼の長所であり、時に短所である。


 「他の虹級はいつでも本丸突撃の準備しとけよ!こじ開けるぞ!」


 初手こそ魔物群の勢いに()されたがゴーディが動き回ることでみるみる内に街道の中央に道が出来る。


 岩壁へと押し込まれた魔物群を両側崖上から魔術の雨が降り注ぐ。


 見事なまでに計算された陣形と統率で瞬く間に魔物群の姿は体内の魔石を落としつつ塵となって大気の魔素へと変わる。


 空いた壁際の道幅にこれでもかと魔物群は押し寄せると道が埋め尽くされ再び戦士達は奮闘する。


 【堅槍の陣】


 防御特化の陣形で上空からみたら槍先の形に見えることからそう呼ばれる。


 その気構えから鼠一匹たりとも通さないという精神が砦に居ても充分過ぎるほど感じ取れた。


 幾度か攻略した中で、この作戦が一番効果的で被害も最小限に抑えられる。


 半日ほど繰り返せば奥から数体の大型魔物(バウンティ)が出てきて、そうなればヴァンガードの狙い通りの展開になる。


 「気を抜かぬようお願いしますよ、御二方。頼みの綱なのですから。」


 部隊長がそう言うと、コースケは張り巡らせていた思念を捨て、セラヴィは戦況を分析し、サーディアは二人が物理的に見れない位置から展開を予測する。


 三度目の魔物群対処で隙間なく突撃決死隊の大盾部隊は魔物を壁際へと押し込み、気迫を示す。


 上空から魔術の雨が勢いを増す。


 類を見ない順調さはヴァンガードの想定以上に事が運んでしまった。


 そう、大型魔物(バウンティ)が早々に単身突撃の体当たりで陣形先端の大盾部隊を弾き飛ばし陣形を崩すと、そこから魔物群が雪崩込み乱戦となる。


 囲まれる銀級や金級冒険者の援護に、後方で待機していた虹級も最早黙っている場合では無くなった。


 予期していなかった大型魔物(バウンティ)の登場、それもたった1体のみの存在が盤上の白並びを一気に黒に染める。


 「銀級は大盾部隊と雑魚の対処に回れ、大型魔物(バウンティ)は虹級と金級で対応。もう少しだけ粘ってくれ。」


 部隊長が通信魔道具で指示を出す。


 「お前の相手は俺だ!」


 ゴーディが大型魔物(バウンティ)に飛びかかり、彼に続く形で残りの虹級、一部の金級冒険者達も連携を活かしながら援護する。


 上級冒険者達の流れるような連携攻撃は標的の思考能力を奪い、判断力も鈍らせるが、大型魔物とあって頑丈で屈強。十数人の冒険者達の袋叩きに相まみえても怯みを一切見せない。


 寧ろ大型魔物(バウンティ)の纏う気配、魔力が明らかに変わり始める。


 砦から眺める部隊長はその様子にいち早く感じ取ると全軍に指示を出す。


 銀級、軍兵は即時撤退。虹級と金級は退路確保の上、砦からの援護射撃範囲まで退きながら応戦し両崖上の魔術士達は退避しつつ魔物を牽制する作戦に切り替えるが、想定外の事態が更に起きた。


 既に2割近くの戦力が減り、ただでさえ打ち洩れた魔物群が砦城門付近まで迫ってくるのを砦側は対応を迫られる。


 仕留めるだけでも乱戦ゆえの難しさゆえ、味方を巻き込まない様配慮せねばならずなのに、本丸方面から強力な攻撃魔法が放たれ戦場の足元や退路含め敵味方全て足元をすくわれる。


 移動速度を奪われた冒険者達を捉えると大型魔物(バウンティ)は追い討ちを仕掛ける。


 その一撃の余波に巻き込まれた者の装備は砕け、身体は岩壁まであっさりと弾き飛ばされる。


 攻撃に巻き込まれた魔物群はじんわりと魔素を解き放ちながら消滅する。


 まさに混沌。


 大型魔物(バウンティ)に一撃貰った金級冒険者のうちの一人はその強烈なまでの衝撃による負荷で直ぐに立ち上がれず追撃を食らいそうになる瞬間、ゴーディがそれを庇い、そして……彼は深手を負った。


 同じ虹級冒険者が、彼を慕う金級冒険者が、大型魔物(バウンティ)の前に(ひざまず)くゴーディの元へと急いで駆け寄ろうとするが、本丸からの更なる攻撃魔法で行く手を阻まれる。


 その機を狙って本丸背後にまで到達しかけていた遊撃部隊が突撃をせざる得なかったのはゴーディら突撃決死隊のカバーと攻撃魔法を仕掛ける大型魔物(バウンティ)の足止めの為となる。


 遊撃部隊の奇襲に前線を荒らす攻撃魔法は止むが、一足遅かった。


 大型魔物(バウンティ)の振り下ろす拳が空を切り裂くと少し離れている仲間達の阿鼻叫喚がゴーディを目掛け駆け巡る。


 死を覚悟したゴーディはせめて背後で()()()いる金級冒険者を逃がそうと決心すると両腕を頭上付近で交差し覚悟した。


 その場で必死に力むゴーディ。


 敵の拳の威力が感じられない程の闇に気付くと痛みは無い。思わず前方を見上げると、眼前に例の糞ガキの背中があり、その向こう側から銅Ⅲ級の腕輪が陽光を反射させて目に飛び込んできた。


 唖然とする戦場。


 固まっているのは、ゴーディだけではなくその光景を目の当たりにした誰もが、ほんの僅かに時が止まったかのように動きを止めた。


 先を見越して部隊長が二人に号令を出していた。


 セラヴィの障壁魔法は広範囲に展開、そして直後範囲回復魔法が突撃決死隊の誰一人として逃さず祝福が包む。


 コースケの剣は小刻みに震えるが、剣先で大型魔物(バウンティ)の片手を()ねた。


 その時間はまさに刹那。


 魔物も痛覚があるのだろう。その声は聞いたことのない類の雄叫びである。


 「なぁ、おっさん。弱いってなんだ?」


 残る拳を振り上げようと上体を反った敵の懐以下が、がら空きになると同時にコースケの魔力が巨体を分断する。


 消えゆく大量の魔素が舞う中、周囲に跋扈(ばっこ)する魔物群を更なる魔力が切り刻む。


 それは、紛れもなく〝ラスコー〟で見たそれだった。


 全てが一瞬の出来事であるが、本丸内にいるヴァンガードと女騎士はなんの躊躇いもなく猛威を奮いそれぞれ別の大型魔物(バウンティ)へと襲いかかる。


 ゴーディは呆気にとられながらも自身の傷が既に癒えていた事に気付き、砦を見上げた。


 エルフ族の男が錫杖を天に翳しながら部隊長と城壁上に堂々と立つのが見えた。


 街道の冒険者達はその場を一歩も動く気になれなかった。


 部隊長の号令が下ってもなお。

ここまで読んで頂きありがとうございました♪

一身の都合上、不定期更新ですが、また次話読んで下されば嬉しいです♪


書き溜め… …_φ(・_・

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