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EPIC  作者: ユキ サワネ
一章 黄玉と聖紋
3/4

第三歩 正気?勝機!

いつも読んで頂きありがとうございます♪

ストレス発散目的で緩く書いてます

 バンズを出てから三日目の昼、サルバディア最南東の要塞都市ネアンヘートを抜けて最短路、北上へと足を運んだ3名はオルバスという辺境の街に到着していた。


 自然豊かな平原の最東部に位置する街なのだが、この地はかつてダインバルト王国との幾度となく戦場と化していた時代がありその経緯からサルバディアの重要拠点の一つ。今では情勢の劇的変化や要塞都市ネアンヘートの成長によりここ百年は平和そのものであるが主要都市に変わりはない。


 それでも名残として幾つか訓練施設、鍛冶場等、冒険者協会、医療施設など大規模に設置され、サルバディア国内で有数の療養兼国内筆頭留学地でもある。


 「ほう、お主らがピエスドールの言っていた銅Ⅲ級冒険者か。冒険者にしちゃ品が有って珍しい。気に食わんのはダインバルトから来たという事だけだな。」


 口調に幾分棘があるが、礼節をしっかりと保った接し方をしてくれるシュテルンビルト・オルバス四世辺境伯。


 ピエスドール伯爵が根回ししてくれたお陰でネアンヘートのギルドマスターからサルバディア南東領主のオルバスに既に話は通っていた。


 「あの優男が生け簀(いけす)かない成り上がりに一矢報いたと聞いて笑い転げたものよ。」


 一矢どころか三矢ほど突き刺していたような気がしたのを3名は黙っていた。


 「話の大筋はピエスドールから聞いている。お主らイスタへ向かうのだろう?すぐさま協力してやりたいのは山々なのだが……。今は北部へ向かう荷馬車の運行は停止しているのだ。」


 聞けば、オルバスより北の街道には最近やたら強い魔物が出て手練の領軍や冒険者でも手を焼いている。


 「イスタへ向かうには西の峡谷を伝い首都サルバディアへの迂回路はあるがかなり時間を食うことになるなるだろう。どうだ?ここは我々に手を貸してイスタへの最短路をこじ開けてみんか?もちろんオルバスからの緊急要請依頼としてだ。」


 オルバス辺境伯の思い掛けない提案に()()は想話で話し合い、承諾する。


 「うむ。ならば手筈を整える。大まかな戦況としては、お主らには主幹部隊と合流して魔物の本丸を叩いてもらう。現地の詳細については指揮官のヴァンガードから説明させよう。活躍如何(かつやくいかん)では褒美も出す。頼んだぞ。」


☆☆☆


 (おい、銅Ⅲ級なら依頼されずに済むんじゃなかったか?何処がだよ……。)


 (何を仰っしゃますか、コースケ殿。我々の英雄譚の記念すべき初陣ですよ!)


 イスタへと繋がる街道で最前線の砦に着くや否やこの依頼の真価が理解出来、コースケは思わず愚痴をこぼし、ニールはそんなコースケを励ます。


 (何処かしこも、銀級に金級冒険者だらけじゃねーか。数名虹級の腕輪をしている奴までいやがる。コイツらが手を焼く魔物群てどう考えてもおかしいだろ。虹より上はそうは居ないんじゃなかったのか?)


 (……。余程期待されたか、はたまた……。)


 (なんだよ?歯切れが悪いなサーディア。)


 (いえいえ、お気になさらず。それよりも逆にサルバディアの冒険者の実力を一気に知れるいい機会だと思いませんか?)

 

 想話を重ねる中、サーディアとニールが砦の指揮を任されているヴァンガードと顔合わせを果たす。


 周囲の冒険者やオルバス私兵、更にはサルバディア軍兵達も二人を見るや各々密談を交わす。


 「伯爵から話は伺っている。人手不足とはいえ銅Ⅲ級のたった2名をこの場に寄越すとは伯爵様も何を血迷ったかと思っていたが、ふむふむ。貴殿ら銅級にしては雰囲気が……違うな。ついて来い案内する。」


 ヴァンガードの鋭い感性に一瞬肝を冷やしたが、微かに聞こえてきた反応を見るやどうやら彼以外にはその鋭さを持っている者がこの場に居ないことは明白。


 砦内の作戦会議室(ブリーフィング)に加わると開口一番に派手な赤色甲冑の軍人が突っ掛かる。


 「冒険者は見た目では案外判らぬものぞ、モルドフよ。若いが、纏う魔力はこの場にいる皆と……いや、あるいは……。」


 「はぁ?アンタもとうとうオルバスさんみたく耄碌(もうろく)しちまったかネブラ?こんな青臭い奴らなんか信用できるか!銅のⅢ級とはいえ所詮は銅級。虹級冒険者のアンタ達と同席すること自体馬鹿げているのだ!」


 歴戦のサルバディア軍の四将軍が一人、戦士モルドフと虹級冒険者の業炎の魔術師ネブラの会話を遮るようにヴァンガードは制する。


 ブリーフィングを見渡せばその他に5名居て計10名が集うとヴァンガードから作戦の説明が下る。


 それによると、魔物群の大半は銀級冒険者程度で対処可能だが、数が異様に多い。その原因は魔物の本丸にある禍々しい大魔石が一定の間隔で魔物を産み出している事に他ならない。


 サルバディア軍の苦労の末に掴んだ情報で金級以上の冒険者や軍の精鋭達が本丸の打破を何度か試みるも都度周囲にいる強敵数体に押し返され本丸攻略戦は依然膠着状態。


 その間、雑魚魔物群の対処はオルバスの私兵やサルバディア軍兵士、冒険者でなんとか抑え込んでいたが数を減らせど減らせど一向に陰りを見せないどころか日増しに増加していてジリ貧気味にサルバディアの劣勢を感じさせる。


 本丸は砦からそう離れていない距離だが、本丸までの正面突破の道程は数の猛威により、かなり困難。


 ゆえに地の利を活かした崖からの急襲遊撃部隊を編成し背面側から叩く作戦。


 「遊撃隊はここにいる5名の虹級冒険者と将軍と我とナハトの2名の黒級冒険者が務める。そなたら二人には街道決死隊に加わり街道から雑魚もろとも本丸の連中の注意を惹きつける釣り役を願いたい。部隊が位置につくまで粘ってもらって良いかな?コースケ、セラヴィ。」


 バンズで登録した際に決めた源氏名。


 コースケはそのまんまだが、エルフ族に似合わない響きの名にブリーフィングにいる者達は視線を配り合わせるが、()()は作戦概要と合図の確認をする。


 砦からの牽制射撃を止めると必ず魔物軍は街道を辿り砦に押し寄せてくる。街道は峡谷のように岩山や崖に挟まれた細い道。ゆえに隊列は自ずと一点集中となる。


 そこを銀級や金級が魔物群を岩壁へと薙ぎ払いつつ進路を確保し本丸に決死隊の主力である数名の虹級冒険者が仕掛ける。そうなれば大魔石付近の大型魔物も釣られて動き出すのは確実で虹級冒険者のみによる前後の挟撃を狙う。


 「何度かあらゆる攻略を繰り返してきたが、想定以上に被害も出た。これ以上戦力を消耗するわけにはいかない。油断があったとはいえ手練の兵士も金銀虹級関係なく打ち負かされている。息を合わせて上手く事を運べなければ砦で籠城戦になる。それだけは避けたい。皆、勝機をこじ開けてくれ。」


☆☆☆


 「……どうにもしっくり来ないな。」


 「どうしたのです?コースケ殿。」


 「銅Ⅲは確かに銀級より上の連中からしちゃ頼りなくみえるものだろ?そこは文句ねぇ。だが、オルバス辺境伯といいヴァンガードといいあの魔導士の爺さんや反対側にいた女騎士もそうだ。まるで、銅Ⅲ級冒険者として観ていなかった。」


 「……十中八九、ピエスドール伯爵でしょうね。とはいえ彼の性格上、むやみに利を扱う事はしないはずです。なにか事情があるのでしょうし、情報は生命ですからね。」


 コースケとセラヴィの背後から大男がぬるりと気配を示す。


 「おいおいおい、銅級がなんでこんな場所に来てやがんだ?それもたった二人とはな。ガキは小便してお家に帰りな。じゃないとこの先で漏らしちまうぜ!」


 「この世界、こんな阿呆ばっかかよ……。」


 「あぁ!?今なんつった、糞ガキ!」


 街道決死隊の突撃準備が進められる中、サルバディアを拠点とする虹級冒険者の一人が喧嘩を吹っかけてきたが、部隊長がコースケと虹級冒険者の合間を割って入る。


 部隊長はヴァンガードから2名の監視と補佐を言いつけられていた。


 「けっ!ヴァンガードさんもたかが銅級に何を胡麻すってんだか……いいか、テメェら命惜しけりゃ諸先輩方の邪魔にならん場所で指くわえて見てろ。弱い奴は足手まといで邪魔だ。」


 「ゴーディ、そこまでだ。いい加減にしろ。」


 部隊長がゴーディを(なだ)めながらコースケに話しかける。


 それは、突撃準備直前の経緯(いきさつ)であった。


 「そういう話なら部隊長さんに従いますよ。」


 一瞬安堵した部隊長は隊列の指揮を執るため砦内の前線へと姿を消す。


 「なぁ、やっぱり……ブロスの件、伯爵喋ってんだろ。」


 「だとしたら、かなり買ってくれてますよ。我らの事。」


 (それは吉兆ですね。)


 (サーディア、お前何してた?存在消してたろ?)


 (いやはや、この姿は便利なものですね。少しばかり離れた位置を飛んでました。お陰で色々と分かったことがありますし、ついでに相手の本丸観てきましたよ。)


 思念体のサーディアは離れられる範囲が限られるようだが、今回の戦況を俯瞰して観察出来る唯一の存在である。


 (本丸にある大魔石ですが、過去に文献で見た記憶があります。あれは、迷宮の出来損ない、不感魔石です。)


 迷宮とは本来魔力の源である魔素を集めてあらゆる生命を生み出す太古の時代の魔道具だった。そしてそれを作り出した者を後世では【魔王】と呼び、迷宮は全て【魔王の遺物】と呼称された。だが、その出来損ない品は不感魔石(イレギュラーアーツ)と呼ばれ迷宮化しない魔石として文献には記されている。


 (不感魔石ねぇ。)


 (えぇ。魔王の遺物は踏破した者に祝福と遺物(アーツ)を与えると云われています。あくまで、言い伝えなので信憑性は怪しいですけどね。)


 (確かに。私も迷宮踏破は幾度かしましたが手に入れた遺物に関してはどれもこれも結局扱い方がわからず宝の持ち腐れ、全て魔術研究都市に寄付してたぐらいですから……祝福なんて物があるとしたらこの生命でしょうね。)


 サーディアもニールもこの世界の住人。


 そんな二人でさえも眉唾物な話になるゆえ、コースケが理解出来ないのは無理も無い。


 (それと、もう一つ。文献によれば魔王の遺物の特徴は半永久機関である。と言うことです。)


 (半永久?てことは放っておいてもそのうち停止するんじゃないのか?)


 (いえ、その間に魔物が生まれ続ける訳ですから放っておくのは不味いかと。)


 (なら、壊せば止まるのか?)


 (判りません。なにせ、魔王の遺物に関しては記録が乏しかったですし、ましてや不感魔石(イレギュラーアーツ)ともなると対処経験ない上に予想もつきません。) 


 (……。サーディア、ニール。この作戦上手くいくと思うか?)


 二人からの返事は沈黙のみ。


 だが、サーディアはもう一つの貴重な情報を告げると、3名はバンズ滞在中の出来事を思い返しそこから一つの仮説をたてた。


 (サーディア、お前それ正気で言ってんのか?)


 (正気も正気ですよ、コースケ。そして勝機でもあります。思念体じゃなければ辿り着けなかった答えですし!)


 いまいち気乗りしない感覚に苛まれるコースケの思惑を当然気にすることなく突撃決死隊の出撃号令は砦内に響いた。

ここまで読んで頂きありがとうございました♪

一身の都合上、不定期更新ですが、また次話読んで下されば嬉しいです♪


書き溜め… …_φ(・_・

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