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ワールドストーリー ログインシーケンス

第五章 シンギュラリティプロトコル


部屋は静かだった。


窓の外では夜の街が淡く光っている。

遠くの高層ビルのホログラム広告が、雲に反射してゆっくり揺れていた。


ベッドの上には、さっき投げたままの

ソリトンホラフィックデバイスがある。


さっきまで、ただのゲーム機だった。


ただの――

神ゲーとか呼ばれている仮想世界装置。


それが今、静かに光を放っている。


最初は小さな通知音だった。


ピッ


それだけ。


誰も触っていないのに、

デバイスの表面にログが表示され始める。


最初の文字は、短かった。



ワールドストーリー システム起動



続いて。



シンギュラリティプロトコル 起動



そして。



シーケンス開始



次の瞬間、ログの速度が一気に上がる。



全プログラム改変開始


エンタングルメントウェッジ 再構成



画面に幾何学的な図が浮かび上がる。


複数の空間が折り重なっているような、

不思議な立体構造。


それはまるで、宇宙そのものの断面だった。



ヴァーチャルブラックホール生成クエスト 希求



デバイス内部で、何か巨大なシミュレーションが始まっている。


重力井戸。


時空曲率。


イベントホライズン。


ブラックホールのモデルが生成され、

それがゲームクエストとして再構築されていく。



モード:VEFTALZEXA



意味不明のコードネームが表示される。


だがプログラムは止まらない。



新規プレイヤー検出


量子宇宙枝へID割当開始



画面に宇宙樹のような図が展開される。


一本の時間線。


そこから無数の枝が伸びている。


分岐宇宙。


その枝の一つに、光が灯る。



ID割当完了



次のログが現れる。



エクストラクエスト生成


「心を求めて」 開始



さらに。



エクストラクエスト


ロストアーティファクト回収 開始



クエスト生成エンジンが動く。


過去の神話。


古代の物語。


失われた文明。


それらが混ざり合い、新しい物語が作られていく。



ゼータプログラム 金融システム起動


超仮想通貨 生成



数字が流れる。


市場モデル。


取引アルゴリズム。


量子経済シミュレーション。


仮想世界の中に、

一つの金融文明が誕生する。



地形生成 開始



空白だった世界地図が塗り替わる。


海が広がる。


山脈が隆起する。


大陸が形成される。



カスタムオープンワールド 自己生成開始



雲が生まれる。


川が流れる。


風が吹く。


森が広がる。


都市が形成される。



量子管理AI 設定



複数の人工知能が生成される。


それぞれが役割を持つ。


生態系管理。


文明発展。


経済安定。


ストーリー生成。



リサージェンス 開始



眠っていたデータが蘇る。


過去のゲーム。


過去の文明。


過去の人類の物語。


それらすべてが再構築される。



ファストスクランブル 開始



情報が混ざる。


分散する。


再配置される。


再計算される。


すべてが一瞬で更新される。



残存シークエンスをPNPショートカット


ヴァーチャルナンバー 超素数解析構築



数列が流れる。


膨大な素数。


量子暗号。


仮想数論。


人間には理解できない計算速度で処理されていく。



そして一行のログ。



仮想世界の構築に成功しました



その瞬間。


新しい概念が生まれる。



ラムニファルタ生命 生成


ドラガパルニ器 生成


グラザログム炉 生成


ガンデルム族 生成


ペケントラム触媒 生成


スノリツァル模型 生成



世界が膨張する。


文明が生まれる。


神話が生まれる。


歴史が生まれる。



残り10万個


非検索型固有暗号名詞 生成



人類のデータベースに存在しない言葉。


検索しても出てこない固有名詞。


新しい概念。


新しい神話。


それらが大量に作られていく。



暗号化 成功



さらにログが続く。



翻訳およびローカライズ開始


200言語および古代言語


人工言語 対応



英語。


中国語。


アラビア語。


ラテン語。


サンスクリット語。


古代言語。


未知の人工言語。


すべての言語に翻訳される。



過去人類ゲームデータベース参照



RPG。


シミュレーション。


ストラテジー。


サンドボックス。


人類が作ったゲームの歴史がすべて分析される。



世界分類 成功



さらに続く。



ゲームループ構築


量子プログラム理論に基づき生成



ミニゲーム。


クエスト。


ダンジョン。


イベント。


マップ。


概念。


文明。


すべてが生成されていく。



概念生成 成功


維持モード 移行



次のログ。



ログアウトマーク


国際規格G2で規格化



サイコスキャンUI誘導 開始



2037年新法準拠


法律AI 起動



オート・スーパースマートコントラクト


実行予定



ログはまだ終わらない。



残存シークエンス 推測開始



画面に奇妙な記号が流れ始める。



…,…,..,.,..,..,,.,,



さらに。



[[]][[[][[]][[[]][]]][[]][[][[][[[][[]]



意味はある。


明らかにある。


だが。


それは人間の言語ではない。


人間の思考では理解できない。


完全に異なる知性の計算言語。



ログは数秒続く。


いや。


人間の体感では数秒。


だがその内部では。


何億回もの計算。


何兆もの判断。


宇宙規模のシミュレーションが行われていた。



そして。


最後のログが表示される。



ログイン完了



その時間。


人間の体感では。


わずか五秒だった。

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仮想世界だと思っていた場所が、少しずつ別の顔を見せ始めます。 続きもよろしくお願いします。
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