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第6話 まさか収納魔法が使えるのか!?

 シルバーウルフを始末して間もなくまたもや水瀬の頭にレベルが7から9に上がったと言う知らせと同時に、水瀬の全てのパラメーターが、いつもよりも大きく向上した事も、ステータス表を脳裏に表示して知らせた。


 大きく向上したのは一気にレベルが2つ上がったためか、それだけこの駄犬は強敵だったと言う事か・・・。


 水瀬本人としては、このシルバーウルフの進化体は、それほど危険と感じなかったので、どこか釈然としなかったが、レベルが2つも上がるのだから、そうなんだろうと納得させた。


 取り敢えず脅威は去ったようなので、警戒と緊張を解くと同時にシルバーウルフに咬まれた右肩が激しく痛むのと同時に腹も減って来た。さて、こっちもどうするかと思ったところで後ろから「水瀬さん!大丈夫ですか!?」とミントが水瀬の負傷を案じて来たので、


 「まぁ、咬まれたところがすごく痛いのは確かだねぇ。」

 「おいおい、大丈夫かよおっさん?」

 「応急処置だけでもしておいた方が良いのでは・・・。」

 「あ~、だったら傷薬などを持っていたら貸してほしんだけどねぇ。」

 「・・・では、俺のポーションを使え。取り合えず傷は塞がるはずだ。」


 レナードがそう言って水色の液体が入った小瓶を差し出した。


 「おおっ、こりゃあありがとね。そのまま飲みゃいいんだよな?」

 「?ああ、そのまま飲めば良いぞ。」


 水瀬のラノベやゲームの知識からポーションの使用方法を確認すると、レナードが不思議そうな表情をしながら肯定した。

 まぁ、レナードからしたら、ポーションの使用方法と言う()()()()()()()について確認をとってくるのだから、不思議に思うのも仕方が無いかもしれないが・・・。


 「ほう、味は苦いが効果は大したモンだねぇ。」


 飲んでみると、独特の苦みがしたが、直ぐに効果が表れ、血が止まり、痛みはまだあるが傷口も取り合えず塞がったので、水瀬は感嘆の声を出した。


 「ポーションを初めて飲んだ奴は皆そう言うだよなぁ。」

 「あん?そうなのかい?」

 「ああ、おっさんみたいに効果に対しても味に対してもな。それにしてもおっさん、シルバーウルフの進化体を一人、しかも素手で殺るなんて高レベルなのか?」


 リタの問いに、水瀬自身、訊きたかった事を訊ねてくれたので内心、喜びながらも表情に出さずに、


 「・・・おじさんは現段階で9レベルだ。この駄犬と殺りあった時は7だな。」


 そう返すとリタは「・・・マジかよ。」と目を見開いて驚愕した表情となり、何気にレナード達の表情を見ても全員、同じ表情をしていた。


 「・・・私達よりもレベルが下なのにシルバーウルフ、しかも進化体を倒すなんて・・・。」


 エマが信じられない様子で呟くと、


 「ふ~ん、その様子じゃこの駄犬は危険な化け物と言った感じかねぇ?」

 「危険も何もこの辺りじゃトップクラスの脅威の1体と認識されているモンスターだ。普通は俺達みたいに10以上のレベルの者達が最低2人で相手をして何とか倒せる奴だ。しかもそいつは進化体、レベルが13以上が1人は居ないと全滅もあり得る。」

 「ほう、それはそれは、ところで進化体とは何だ?」

 「・・・おっさん、ホント、何も知らねぇんだな。よくそれで生きてこられたな・・・。」

 「ひひっ、まぁ、おじさんは元居た場所では、しがない”何でも屋”で細々と生活して来たからねぇ。こういう知識が無くても生きていけたんだわ。」

 「ホント、どういう場所だったんだよおっさんの住んでたところ・・・。」


 リタは呆れた様にそう言うと「まぁ、いいや。」と切り替えて、


 「で、進化体だったな。要はあたし達のレベルアップと似たようなモンで、モンスターもある程度の経験値を積むと、俺達と違って上のランクのモンスターになるんだけど、進化体とはその中間の状態である事を差すんだ。このシルバーウルフだと、この状態で更に一定の経験値を得るとゴールドウルフと言う、よりヤバい上位モンスターになっちまう。そうなったら討伐出来る高ランクの冒険者パーティーが来るまで、相当の犠牲者が出てただろうよ」

 「ほう、じゃあ、おじさんは知らずにこの辺りの危機を救ったと言う事になるって訳だ。」

 「まぁ、そう言う事になるわな。それにしてもレベル7で、シルバーウルフの進化体を倒すだなんてどうなってんだ。普通は勝てる相手じゃないんだぜ?」

 「あー、それはおじさんがすぅんごく強いからかなぁ。」


 リタの疑問に対し、不真面目に聞こえるが、一応全うな答えを返した水瀬。何とも言えない渋い表情になりながら、一応納得はした様子のリタは、


 「ふーん、おっさんは特別ってわけだ?」

 「そうだねぇ、選ばれし人間ってやつなんじゃないかねぇ?」

 「まぁ、レベル7で、シルバーウルフの進化体を一人で殺っちまうんだから、おっさんの言ってる事も間違っちゃいないか・・・案外、SやAの高ランクになる奴らも、このおっさんみたいに元から強い奴らなのかもな・・・レナードやエマはどう思う?」

 

 パーティーメンバー(仲間)を見て尋ねると、


 「・・・まぁ、SやAの高ランクに上り詰める奴らは、低ランクの時から活躍していたのが多いから、リタの言う事も間違ってはいないかもしれないな・・・。」

 「・・・そう考えたら水瀬さんが冒険者になったら、高ランクに上り詰めれるかもしれませんね。」

 

 レナードもエマもリタと同じ様に何とも言えない渋い表情で同意した。


 何とも言えない空気が漂う中、ミントが空気を変える様に尋ねた。


 「ところで、このシルバーウルフの進化体の亡骸はどうするんですか?冒険者ギルドに搬入したら結構な金額になりますけど?」

 「どうってミントさん、この遺体、ミントさんの荷馬車に載せられるのか?」

 「う~ん、それが問題なんですよね。この亡骸を載せるスペースがないので、載せるとしたら積み込んでいる商品の上と言う事になるんですけど、そうなったら商品が潰れてしまうかもしれませんし・・・。」


 レナードの問いにミントが困った様に首を傾げながら答えると、リタが水瀬に、


 「おいおっさん、あんたの獲物だ。どうするかはあんたが決めてくれ。」

 「うん?お嬢ちゃん達の意見は良いのかい?」

 「・・・そのシルバーウルフの進化体を終始相手したのはあんただ。故に俺達に分け前を要求する資格はない。故にリタが言った様にどうするかは、水瀬、あんたが決めてくれ。と言っても持っていくならあんたが自分で持ち運ぶ事になるが・・・。」


 レナードの説明に水瀬は「そうかい。じゃあ、おじさんがこの駄犬の遺体はもらうよ。持ち運ぶのも問題ないしねぇ。」と返し、シルバーウルフの進化体の亡骸に触れた瞬間、亡骸がアイテムボックスに収納され、目の前から消えた。


 「良し、これで問題は無くなったし、先に進めるねぇ。」

 「いやいや、おっさん!あんたまさか収納魔法が使えるのか!?」

 「ああん?収納魔法ぉ?アイテムボックスの事かい?」

 「あ~、人によってはそう言う人もいますね。その様子から水瀬さんは収納魔法が使えるみたいですね。」


 リタの叫ぶような問いに水瀬が尋ね返すとエマが肯定した。

 どうやら、アイテムボックスの事はこの世界でも認知されている様である。


 「そのレベルでそんだけ強い上に、収納魔法まで使えるなんて才能ありすぎだろ。」


 何処か嫉妬心を含んだ声を出すリタ。しかし水瀬は気に留めず思った事を尋ねた。それにリタではなくエマが答えた。


 「やっぱりアイテムボックスを使えるのは有利な事なのかい?」

 「あ~、それはやっぱり収納魔法が使えたら物資の持ち運びや保存の悩みから解放されますからね。それに過去、収納魔法が使えた人達の収納限界がどれくらいを調べた事があり、結果最低でも国家間で行われる規模の戦争1度分の武具弾薬食料医薬品の全物資を収納する事が出来たそうですからね。相当な量を収納し持ち運ぶ事が出来る上、収納魔法を使用した本人しか取り出す事が出来ないので、奪われる心配もありませんからね。故に国によっては収納魔法が使える人は軍に強制入隊させられる事もあるそうです。」

 「それはそれはひどい話だねぇ。国民の人権無視って訳だ。」

 『?』

 

 水瀬の言葉にレナードパーティー3人だけでなく、ミントも首を傾げた。どうやら、この世界では人権と言う言葉はないらしい。

 それを察した水瀬は何でもないと手を振り、


 「まぁ、これで行く手を遮るモノは無くなったし、先に勧めるって訳だ。問題がないなら先に進もうぜぇ。」

 「あ、そうですね。私は問題ありませんがレナードさん達はどうです。」

 「俺達も問題ない。だろ二人共?」

 「ああ」「うん」

 「では、ミントさん一向、ディードとやらへと出発~~」


 水瀬がお道化た様に出発の合図を出し、一向は再び地方都市ディードへ向けて移動し始めた。

今回は会話がメインとなり、苦戦しました。


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