第3話 襲撃救出なんてテンプレだねぇ・・・。
30分ほど山道を歩いて続けている水瀬だったが、自分が段々と下り道を進んでいる事には気付いており、やがて山を下り、森へと入った。
その間にも何度か魔物の襲撃に遭ったが、その全てを返り討ちにし、その死体は全てアイテムボックスに収納してある。
そしてこれまでの戦闘で水瀬は既にレベルが4になっていた。
「しかし、山の中だけあって色々な化け物が襲って来たねぇ。こんなのがうようよいるだなんて、ここは物騒なところで、おじさん、まいっちゃうよ。」
やれやれと言って様子で首を振ると、目の前に額に角を生やした兎が飛び出し、角を水瀬に向けて突撃して来た。
もっとも彼は一直線に突撃してくる兎に、鼻を鳴らしながらタイミングを見計らって、自分に接近して来た兎の攻撃を身を横にする事で躱し、そのまま無防備な兎の身体に、力加減をした蹴りを叩き込み、兎の肉と骨を砕く感触を感じながら、兎の身体は勢いよく飛んでいき、そのまま樹に勢いよくぶつかって、ずるりと地面に落ちた。
今の一撃で倒された兎のモンスター、ホーンラビットの死体をアイテムボックスに回収し、水瀬は何事も無く先へと進んだ。
このような形で森の中も問題なく進んでいき、レベルが5になったところで、ようやく森からも出て平原へと出た。
「ようやく山林からも出てこれたか、さて、これからどう進むかねぇ。」
周りを見渡すと、そこで右斜め向こうの先に何かあるのが目に入ったので、まずはそこに向かってみる事にした。
そして、それを目掛けて進むのに連れて、具体的に解る様になって来ると同時に、それがトラブルである事が判明した。
荷馬車と思われる乗り物の周りを薄汚い恰好と装備をした、いかにも野盗と言った風貌の10人の男達が取り囲み、それに対して、護衛と思われる剣を持った軽装備の剣士、身軽そうな服装に短剣と投げナイフを武器にしたシーフ風の中世的な少年、マントと杖を持ったいかにも魔法使いと言った風貌の少女が応戦し、荷馬車の中から持ち主券依頼人と思われる女性がおろおろとしているのが見て取れた。
護衛と思われる3人はパッと見た感じ10代後半で、荷馬車の中から持ち主と思われる女性も20代前半から中頃と言った様子だろう。
そのためか遠くから見ても、野盗達は別の意味でも下卑た表情を浮かべている。大方、荷物を奪った後、別のお楽しみを思い浮かべているのだろう。
「・・・異世界モノではテンプレともいうべき襲撃イベントか・・・まぁ、助けたら、この世界の情報が得られるのは確かなので、ここは恩を売っておくとするかねぇ。」
水瀬は別段、目の前の襲撃を見過ごせない熱血漢などではないので、この光景を見ても何とも思わないどころか、面倒な場面に出くわしたすら思ったが、助けた方が自分に利があると思ったので前方に見える襲撃に、やれやれと軽く肩を竦めるとそのまま歩を進めていった。
姿や気配を隠す事なく堂々と近づいて行ったので、程なくして向こうも全員が水瀬に気付き、ガタイは良いが、向こうからしたら目にした事が無いスーツ姿その上、武具らしき物も一切身に着けていない水瀬に戸惑い、何とも言えない雰囲気になる中、荷馬車から一番離れていた野盗の一人の近くまで歩いて来た水瀬に、
「お、おい、何だおっさん、まさかとは思うがこいつらに加勢しに来たとかほざくんじゃねぇだろうな?武器らしき物は何も持ってないのによぉ、それとも俺達の仲間にでも入れてくれってか?それだったら残念だがなぁ、テメェみたいなおっさんなんかいらねぇんだよ!しかも金目の物も持ってなさそうなクソおっさんみてぇだが、襲撃しているところを見られたんでな、テメェもついでに殺してやるよ。死ねやクソおっさん!」
そう吠えて剣を構える野盗に、水瀬は相手の言葉が、日本語として理解できる事に内心驚きながらもそれは表に出す事はせず、
「クク、芸達者な猿だ。ここまで流暢に人語を解するとは思わなかったぜぇ。」
嘲る様に返すと、野盗は激高し「ぶっ殺す!!」と叫びながら斬りかかってきた。しかし常人の4倍の身体能力を持つ水瀬からすれば凄く遅く見え、相手がこっちに斬りかかって来る前に軽く駆けて、そのまま野盗の顔面に跳び蹴りを叩き込み、顔面を粉砕した。
難なく蹴り殺す水瀬を見て動揺する野盗達。
水瀬はその隙を逃さず、素早く足元にあった手頃な大きなの石を3つ掴むと、もう片方の手で1つずつ持つと野盗目掛けて勢いよく投石した。
石が直撃した3人の野盗達はその部分が粉砕され、重傷を負って倒れたが、一人は運悪く胸の部分に当たり、そのまま動かなくなった。
一気に4人も倒された事により、ようやく自分達の有利な状況が揺るぎ始めた事を理解できたのか、3人は護衛との応戦を続け、残り3人は水瀬に向かって来た。
しかし水瀬はそんな3人に、一人は胸元に拳を叩き込んで陥没させ、一人は裏拳を叩き込み顔面を粉砕し、また一人は回し蹴りを喰らい、首が変な方向に回りながら身体も勢いよく回転しながら飛んで行った。
あっさり3人の野盗を返り討ちにすると、水瀬の戦いぶりに護衛も野盗も荷馬車にいた女性も呆然としており、そんな彼らを見て、呆れながらも水瀬は荷馬車にへと歩を進め、
「どうしたよ護衛の皆さん、そこの猿3匹、あんたらが殺らないなら、おじさんが殺っちゃうよ?」
水瀬の声掛けに両者とも我に返り、護衛側が攻撃をする前に、残っている3人の野盗の内、他の野盗達より質の良さそうな武具を身につけている男、どうやらこの男が頭目の様だが、この頭目が水瀬の言葉に反応し、
「クソッタレが!俺を他の奴らと同じだと思うなよ!テメェら、そっちのガキどもの始末は任せるぞ!俺はこのおっさんをぶっ殺す!!」
「へ、へい!」「う、うっす!」
残り2人に指示を出すと頭目は水瀬に向かって駆けだし、斬りかかって来た。頭目になるだけあって他の野盗達と比べたら、幾らか動きが素早い。
「へぇ、言うだけあって他の猿共よりは良い動きをしてるねぇ。」
「ハッ、今更後悔しても遅ぇんだよ!くたばれや!!」
そう吠えて勢いをついて斬撃を放ったが、水瀬はそんな頭目の腕を難なく掴み取った。
「?!」
「ひひ、残念だったな。確かにお前は他の猿よりは強いかもしれないが、俺からしたらそんなに変わんないんだよ。取り合えずな、お前も死んどけや。」
そういうと同時に空いてる手で頭目の首に手刀を叩き込み、「くぺっ」と短い悲鳴を上げて頭目の首が圧し折られた。
そのまま死体を放り投げ、護衛達を見ると、残り二人の野盗も護衛達によって討たれていた。
「どうやら、クソ猿共は居なくなったみたいだな。まぁ取り敢えずはめでたしめでたしと言う訳だねぇ。」
水瀬の軽口に護衛達は反応する事なく警戒した視線を向けて来るだけで、依頼人と思われる女性はまだ動揺が収まらないのか、未だおろおろしているだけだった。
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