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輪廻と土竜(メグルとモグラ)  作者: HS_TOUKA
第7章 クラスメイト

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第7章 05


「そこにもいるぞ。あっ、あそこにも。早く捕まえろ!」


 どこから来たのか、体育館裏の草むらは沢山の大きなバッタで(あふ)れていた。


「うわぁ、すげえ! 全部捕まえて、みんなに見せびらかそうぜ!」


 巨大バッタに狂喜乱舞(きょうきらんぶ)する男子たち。

 しかし、いくら昆虫好きの小学生男児といえども、次々と現れる大量のバッタを前に、次第に恐怖を感じ始めつつあった。


「おい、なんか変じゃね? これじゃ、おれたちがバッタに追い詰められているみたいだ……」


 男子たちを囲むようにして跳ね回るバッタの群れ。そのなかでも一段と大きなバッタが、へたり込んでいるタカシの顔にとまった。



「ぎゃあああああっ!」



 石階段を転げ落ちながらあげたタカシの悲鳴をきっかけに、一気にパニックが広がる。


「逃げろ、喰われるぞ!」

「さっき追いかけ回したバッタが、仲間を引き連れ復讐に来たんだぁ!」


 飛び回るバッタを手で払いのけながら右往左往(うおうさおう)するタカシたち。

 そのとき、緑色の巨大な物体が、草むらからにょっきりと顔を出した。



「で、出た……。バッタの妖怪……だ……」



 ついには泡を吹いて失神してしまうタカシ。

 そんなタカシに目もくれず、男子たちは一目散にその場から逃げ出していく。同時に、あれほど大量にいたバッタの姿も、風に吹かれた(かすみ)のように消えていった。



「誰が妖怪だ。ドリュウ様の顔を忘れたのか?」


 巨大バッタの正体は、作業服を着込んだモグラだった。


「あの沢山のバッタは、モグラの仕業(しわざ)か」

 バッタの大群にも微動だにせず立ち尽くしていたメグルが、視線もくれずに(たず)ねる。


「まあな。草刈りしながら、お前さんが土下座させられるとこまでは、楽しく見物してたんだけどよう。さすがにあんな顔を見せられちゃあな……」


 メグルは静かに、長い息を吐いた。

「助かったよ。いまにも、ひねり潰すところだったんだ……」


 失神しているタカシを見下ろしながら、(つぶや)く。



 本気で言っているのか、冗談なのか――。



 いずれにしても、怒り狂う阿修羅(あしゅら)のごときメグルの形相(ぎょうそう)()の当たりにしたモグラは、何も言い返せなかった。



          *



「大鏡の幽霊話の件、噂の発信元がわかったぜ」


 そうモグラが切り出したのは、体育館裏から校務員室に戻り「まあ落ち着け」とメグルに冷たい麦茶を出したときだった。





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