表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
輪廻と土竜(メグルとモグラ)  作者: HS_TOUKA
第7章 クラスメイト

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/86

第7章 03


「ちょっと顔貸しな、転校生」


 それは放課後、メグルが帰り支度をしているときだった。


 顔を上げると、タカシが数人の男子を引き連れまわりを取り囲んでいた。みな揃いのお面でも被っているかのように、尖った目をメグルに向けている。


 適当にあしらうこともできたが、トモルと理解し合えなかったことに落ち込んでいたメグルは、そんな気分にもなれず言われるまま従うことにした。



 タカシのあとについて雑草がうっそうと茂った体育館の裏道を歩く。うしろには数人の男子が、メグルが逃げ出さないよう見張りながらついて来ていた。


 開け放たれた体育館の窓から、バスケットボールの跳ねる音や子どもたちの掛け声が響いている。もう部活動が始まっている時間なのだ。


 と、そのとき、メグルの背後を歩いている男子たちが騒ぎだした。


「超でかいバッタ発見!」

「うわでけえ! 手の平ぐらいあるぞ」

「バカ! ぼさっとしてないで、さっさと捕まえろ!」


 タカシの命令で一斉にバッタに飛びかかる男子たち。しかしバッタは、男子たちの股のあいだを器用にすり抜け、跳ねまわる。


 放ったらかしにされたメグルは、ひとり溜め息をついていた。


「おおい、きみたち。早く用件を済ませてくれないか? バッタどころか、ぼくにまで逃げられちゃうぞ……」


 散々追いかけ回してバッタ一匹捕まえられなかった一同が、息も切れ切れ、もとの配置へ戻っていく。


 そして誰よりも息を切らしているタカシが、体育館の裏扉に続く石階段をよろよろと上がった。クラスのなかでも一段と背が低いタカシでも、ここならメグルより目線が高くなるのだ。



「え~……。おっほん!」


 バッタ捕獲作戦の失敗をごまかさんばかりの派手な咳払いをしてから、メグルを見下ろして怒鳴る。


「さっきはよくもやってくれたな! お前、新入りのくせに生意気だ! 目立ち過ぎだぞ!」



 さすがにメグルも、その言葉には納得せざるを得なかった。


 クラスの女子と授業をさぼったり、ガキ大将に説教したり、確かに目立ち過ぎている。こっそり生徒になりすまして潜入捜査をする者のふるまいではない。


 しかし、だからと言っていじめを見逃す道理もない。ましてや前世での関係とはいえ、我が子が標的になっているとなればなおさらだ。



「トモルも生意気だから、仲間外れにしたって訳か?」


 メグルの言葉に、タカシたちは顔を見合わせ、ぷっと吹き出した。


「別にアイツは、生意気ってわけじゃないけどな」

「おれたちが手に入れた情報によると、あいつとはとても仲良くできないよなぁ」


 男子たちが口々に言った言葉を、メグルは聞き逃さなかった。



「情報ってなに? ぼくにも教えてくれ!」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ