狼よ獲物を見誤り噛み付く先は獅子であった其の二
土日返して、俺の休みを返してください…(o_ _)o
ジョブを決め遂に聖職者(インファイト型)となり早速モンスター討伐、ではなくスキル店だった。
「さっき見たが、かなり壮観だな!!辺り一面のスキルブック!あっちには図書室みたいなのがあると、一日中入り浸ってる考察厨とかもいずれ会うんだろうな。んでそんなことはさておきよ、俺が探してるのはスタン系のスキルブックなんだけど、おお!あるじゃんか!」
スキルブックは本棚にズラリと飾られておりスキルの分類ごとに分けられていてお目当てのものもかなり見つけやすかった。
「えっと、なになに?クリティカルスタン?説明は...これか?」
本を横にスワイプするとウィンドが表示されそこにはスキルの説明が記されていた。
【クリティカルスタン】
敵にスタン効果のある攻撃をした時その効果にクリティカル補正が付与される。ただし効果中クリティカルによるダメージ補正がかからなくなる。
「なるほど、要するに本来このゲームにおけるスタンにはクリティカル補正、つまり攻撃力が2倍になるみたいな効果は乗らないがこのスキルを使えばその効果が乗ると、ただし、逆に攻撃力が2倍になるという効果が消えるってことか、まぁスタンに乗る代わりに攻撃力上昇が消えるって考えれば妥当だな。よし、これ買うか!」
スキルブックを片手に店主のNPCに声をかけお会計を済ませることに....
「これを頼む」
「かしこまりました。」
「フッフッフッフッフ、かなりのスタンビルドになってきておるな、」
「失礼ですがお金が足りません」
「なっ!そんなことがあるわ、け....あっ」
「ゴールドが足りないのでしたらこの街の西門から外に出ますとユグドラシアの森という所に出ます。そこには危険なモンスターが多く出没します。モンスターを狩ることで素材が手に入り、それを鍛冶屋 質屋 ギルドのどこかに売ることで、」
「あ、あぁもういい、すまなかった....」
そんなことはわかっていた、なぜならつい数分前に習ったのだから。
「すまん!またここに戻ってくる!」
「へぇ、お待ちしております」
***
「くっそー、完全にやらかした、いつもゲーム内でお金に困ることなんてなかったからな、その感覚で行ってしまった、改めねば。」
目を瞑りながら拳を顔の前で握りしめ少しの恥ずかしさと悔しさを押さえ込んだ。
「んで、この世界の共通通貨のゴールドだっけか?初めチュートリアル報酬で貰ったな。どんくらいだ?」
ガンマ
所持【1000ゴールド】
「中学生の.....お小遣い。」
「まぁ、俺はポーション要らないだけ楽か。後は殴りまくれば勝てるだろ!」
ガンマはプロゲーマーである。数多のゲームでタイトルを取っている、が常に思考の最先端にあるのは変わらない。
「ゲームは好きなように生きてなんぼだろ!自由に生きてやるぜ!」
これは頂点に立ち続けたプロゲーマー
Poker Ganma 本名 一色 司の自由のお話である。
「んじゃ、行ってみっか!」
ガンマは日によってテンションが異なる。日にちを股がなくてもテンションが顔に出るのだが....
「すぅーーー、空気が美味い、」
すこぶる機嫌が良いそうだ。
「やっぱ初めてやるゲームってのはテンション上がるな!しかもメイスなんて初めて握ってるからな!チュートリアルの感じかなり好きだったなこの武器!」
ガサガサ
「お、早速お出ましか?」
ユグドラシアの森を歩き始めてほんの数分背の高い草むらがガサガサと揺れ初めモンスターが飛びかかってきた。
「あまい!」
草むらから飛び出しできたモンスターを紙一重の間合いで交わし空いた横側にメイスによる重い一撃を浴びせる。
「おぉ、これを最小限に抑えんのか、えっと?名前は...」
ピコンとモンスターの頭の上に名前が表示された。
「クローウルフね、確かに俺ごとき一撃で屠れるほどの鉤爪だな」
クローウルフはメイスによる攻撃をインパクトの瞬間に体を曲げ衝撃を逃がしていた。
「とんでもねぇAI積んでんなこのゲーム、ただまぁ、完璧なタイミングに完璧な間合い管理、クリティカルは出るわな」
当たった瞬間粒子状のダメージエフェクトではなく星形や多角形の煌びやかなエフェクトが飛び出た。これがクリティカルの演出なのだろう。クローウルフは即死は避けれたとはいえかなり重い一撃ボディに受けたのだ、足が覚束無いように少しづつ後退りして逃げてしまった。
「あいつ逃げんのかよ、って!まてやごらぁ!」
メイスも盾も仕舞い全力で走る...が木々の間をスルスルと抜けすぐに見失ってしまって、ガンマは一人で森の中で少し開けた場所に佇んでしまった。
「くっそー、あいつ次見つけたら素材にして売り付けてやる...ここどこだ?MAP的にはかなりこの森の...おい、この森どんな広さしてんだよ、」
それもそのはず。このユグドラシアの森はここ南大陸のにあるほぼ全ての街や国からアクセスできるほどに広大な土地である。ここは最南端だが北に近づくほどにモンスターの強さも上がるそうだ。
「ま、まぁ全体で見たら大したこのない距離だが今の俺にとってはかなり深くまで来たと思っていいだろう。ていうかあのクローウルフとか言うやつ奥まで行ってったがそんなに強いやつなのか?....もしかしてレアエネミーだったか?!」
一人森の中で嘆くガンマに休む暇などなく、追いかけて走り回ったせいで見つかり、大きな声に吊られてでてきたモンスターが近くに多く潜んでいる。
「まぁ、手間が省けたって思えばいいか」
武器を取りだし構えた。
森や草むらからは様々な種類のモンスターが襲いかかってきた。先陣を切って高く飛び上から斬りかかってきたのモンスターを交わしそのままメイスを振り下ろす。
「切込を務めたことは褒めてやるけどよ、そいつは安易ってやつだぜ?」
【グリーンゴブリン】
(緑色の肌に尖った耳をしており布の腰装備に巻き石の打製斧を握っている。)
「なっ!」
グリーンゴブリンは斧を空振りったがすぐさま体制を立て直しガンマの振るうメイスを弾いてみせた。ガンマも弾かれた後すぐに体制を戻しグリーンゴブリンに向き直る。
「そういや、普通のモンスターじゃないんだったな、仕方ない」
周りからは他のモンスターも迫ってきている中グリーンゴブリンに時間をかけている時間もない。
「ふぅー、」
目を瞑りゆっくりと自分に溶け込んでいく。
「よし、」
今度はグリーンゴブリンに向かってガンマから走っていく。AGIに下方補正がかかっているとは思えないほどの瞬歩でグリーンゴブリンの間合いまで詰める。グリーンゴブリンは危険を察し斧を振るおうとするがそれを小盾で押し込み制圧をする。そのままメイスでグリーンゴブリンの脳天に振り下ろした時に他のグリーンゴブリンもやってきた。
「可哀想だな、こいつ。仲間もいんのに1人で戦わされてよ」
向かってくるグリーンゴブリンに身体を向け迎撃を始める。それを見た他のモンスター達もガンマに向かって襲いかかる。
「これだよこれ!これがしたくてゲームやってんだ!」
グリーンゴブリンが纏めて、しかし統率の取れた連携を交わえながら様々な方向から襲ってくるがそれを先程とは違って弾く隙すら与えず1匹づつ仕留めていく。
『 戦闘してて分かったことがある。チュートリアルの際に顎や頭に当ててもスタンが入らなかったヤツらは恐らくスケルトンだったんだ。脳がないから顎や頭に攻撃を加えたところで火力が違うだけで何ら変わらない。つまり、』
「分かってはいたけど、スタンは万能じゃないな」
残りのグリーンゴブリンの顎に正確に最大火力でメイスを叩き込む。グリーンゴブリンは静止したかのように空中にいたグリーンゴブリンは重力に身を任せ地面に落ちた。スタン中のグリーンゴブリンを一振で始末し他のモンスターの対処を始める。
「次」
【キラーラビット】
(好戦的性格の兎のモンスター、群れで狩りを行う習性があり数による制圧力が売りのモンスターでもある。)
【エクスバード】
(空中を飛ぶ鳥のモンスター、エクスバードの糞は落ちたのと同時に爆発をする。また、嘴によるつつき攻撃もつつきと同時に爆発する。)
【ミリルスネーク】
(鱗が硬く刀剣などの刃物に強い体制を誇り攻撃を通さなく魔法に対して高い抵抗を持っている。ミリルスネークはよくキラーラビットなどの動物系小型モンスターを好んで食す)
「ぞろぞろ出て来んのな、絶対あの鳥のせいだろ....」
先程からエクスバードが三鳥飛び回りながら爆発する糞を落としている。そのため周囲のモンスターもよってきてしまった。
「や、やべぇ....めっちゃ腹立つなあいつ、糞が爆発するまではいいんだよ?いいんだけどさ、どんだけ出せば気が済むわけ??しかも届かねーし、」
そう現状エクスバードに対しては何も対抗手段がないのだ。
「どーしよ、」
そんなことを考えているとミリルスネークがエクスバードの爆撃を華麗に避けながら周囲を囲んでくる。それに目をやっている隙にキラーラビットが複数匹同時に襲いかかってきた、がそれを盾とメイスでいなしながら攻撃を加えていく。
『んー、なんか違和感があるんだよな、キラーラビットの動きは理解できる、でもミリルスネークが何をしたいのかよくわかんね、攻めてくる訳でもないしこいつらと共闘してる訳でもない、何がしたいんだ?こいつ.....あのクソドリもだぞ、とっとと降りてこいや、叩き潰してやるからよ.........』
ふつふつと湧き上がってくるあのクソドリへの殺意が漏れ出ていたのかキラーラビットが少し動きを鈍らせた。
『一旦整理すっか、このキラーラビットの対処は何も考えなくても余裕でできる、クソドリには悔しいけどなんも出来ない、キラーラビットを投げつけてもいいけど絶対意味が無い。問題はミリルスネークの方、こっちを見つめてるだけで何もやってこないからよく分かんないし、何かほかの目的があるとか?俺が弱ったら“食う”とか....あっ』
「なるほどな?理解理解」
ミリルスネークの謎が解けたのかさっきよりも一段とキレのました動きでキラーラビットを叩き落とす。何度も向かいかかってくるキラーラビットに今度は回し蹴りをお見舞いする。キラーラビットはある方向へ向かって蹴り飛ばされる。
「お前は“こいつが欲しかったんだろ?”貰ってけよミリルスネーク!」
シャー!と音を立てながら口を開け蹴り飛ばされてきたキラーラビットをミリルスネークがひと噛みで絶命させ捕食した。
「はっ!大正解だったな!」
『あいつがトドメを刺しても経験値が入るのは嬉しい誤算だったな、このゲームは恐らくアシストとしても経験値が得られるっぽいな、*ラスヒ*じゃないってのは喧嘩にならなくて俺はかなり好きだな。』
*ラスヒ
(ラストヒットの略称でVRゲームでは通年騒がれているラストヒット問題やラストアタック問題。最後に敵にトドメを刺したプレイヤーに全ての経験値とアイテムが渡るシステムでありそれは数多のプレイヤーから反感を買った。)
『昔必死に探したモンスターをラストヒットだけ取られてムカついてそいつのクラン潰しに行ったしな.....ほんとーに良くないと思う、けど流石にムカついたから潰した。』
「ふぅ、キラーラビットは大したこと無かったな」
キラーラビットは行動パターンが変わることがなくただの作業とかしていた為片手間で始末されていた。
「......んでよ、んで〜あいつ、どーすんの??????」
目先には戦闘中も戦闘外も永遠に糞を落とし続けているクソドリを見上げながらあるひとつの結論に出た。
「すぅー、逃げるか」
まさかの敗走。プロとして生きてきたこの数年間負けたことなどなかったが、不敗に誇りがあったわけではなく単純に負けなかっただけの話であってプライドの一欠片もない。キャリア史上初の黒星まさかの糞を撒き散らす鳥であった......
Win エクスバード
数多の爆発に戦闘音、よってきたモンスターの中には敗走した狼の影が複数...




