か弱き命に導かれて其の八
「強いやつはいなかった、だが!俺達の目的はあの空!ここで強いやつに会えなくても空にはつえー奴がいる!.....って言うか居て欲しい!!」
断言から願望へとグレードダウンした。この願いは点に浮かぶ大地に届いたのだろか。
めちゃくちゃ余裕!!!..........んぇ?
【リスポーンしますか?】
YES NO
遡ること1時間前ガンマとオセロは隠しエリア── 女神の花園【蟲】にある岩山に挑戦していた。あとほんの少し進めば目的地であるカジキマグロ型の崖に着くというところ。ここに来る道中、正直モンスターはそれほど強くなかった。ビートルイーターよりも遥かに弱いビートルイーター擬きが居たくらいだった。
「お?新モブ!」
今度こそ強いモンスターか?!と思ったらガンマの目の前に現れたのは体長90cmくらいのゴーレムだった。ゴツゴツとした岩がいく層にも重なっていて強靭な防御力を持ち.......
ボテ···ボテ···
癒しモンスター???と思ってしまうほどに歩き方が可愛い。でも明らかに攻撃意思がある。フレーバーテキストには───スモールストーンゴーレムと記されていた.......長いからススゴと呼ぼう。ススゴは山道に転がっている大きめの石を何とか拾い上げガンマに向かって力いっぱい投擲した。その石は美しい放物線を描きススゴ自身の目の前に落ちた。
「??????????」
「ゴォンゴォンゴォン!!!」
「え?」
「クォォォォォォォ!!」
「んぇゑ?!」
重厚感がほんの少しだけ加わった声変わりが来ていない子供のように高い叫び声。目の色が赤色に変色し泣き続けるススゴ。その声からは何かに助けを求めているようにも聞こえた。
「よし!無視しよう!なんか嫌な予感するし......!」
あくまでも目的は女神像だ。強いモンスターと戦うのも楽しみの1つレベル上げの為の選択肢の1つなのだが、戦わないという選択肢も時には必要だ。ただ?
ゴゴゴゴゴゴ
そもそも選択肢がなく強制イベントだったら話は別だ。
────巨岩の重化身
────英霊の重化身
────鉱石の重化身
「戦わないという選択肢を選ばせない選択肢、なるほど、これは厄介だな。」
────────────
────巨岩の重化身
造形の感じからしてスモールストーンゴーレムの進化系統、岩の塊が連なり幾重にも重なった体長10mほどのゴーレム。
────英霊の重化身
苔むした岩と木の根のようなものが連なって出来たゴーレム。体の大部分は苔岩だが所々が木製なため弱点になりうるだろう。
────鉱石の重化身
全身が岩や鉱物で出来たゴーレムこの中で最も頑丈そうな見た目をしている。体表には採掘可能そうな鉱石が多く見える為そこが狙い目かもしれない。
「全員防御型のモンスター、メイス使いとしてはこっちの方がやりやすいな!今こそ見せてもらおうか、メイスの防御貫通力とやらをな!」
────────
ブーブー
スマホがバイブレーションによって時計回りに少しづつ動き始める。
「こんな時間に誰だよ」
午前7時
一般的な朝ごはんの時間だと思うが、こいつにとってはちょうど就寝時刻だった。昼夜逆転は数年前相棒と遊び始めてから始まったことだ。その相棒は最近別ゲーにお熱なようで割と暇だった。
彼の名前はルーキー・にぃつ。本名時枝 幽希 プロゲーマーである。
「久々に連絡よこしたと思ったら、なんだ?」
トッププロクラン不色王の団長であり世界最強の弓使いだ。彼は幼馴染のガンマに振り回されまくって気が付いたらトップクランのトップに立たされた可哀想な男だ。
「えっと?なになに?」
──お前もセレスティアル始めろ今すぐ
「何言ってんだこいつ、」
この文言セレスティアルモードを理解していないやつのセリフだ。10人単位での攻略が推奨、というかほぼ強制になっているそのゲームを「今すぐ始めろ」と言っているということは一人でここまで来いと言っているのと同義。前衛不在の中超絶難易度チュートリアルをやる気は起きない。
「はぁ、始めねぇとどうせうるせーしな、こいつ」
幽希は気だるげながらも既読が付かないことを承知の上で連絡を返した。
──もう1人連れていく
────────────
ピコン
「あ?」
アンゴラウサギ 三毛猫 ミミズクとパソコンの前で戯れている動物狂。家は動物を飼うために新築の一軒家を田舎に建てた。彼はモフモフの為に世界の最前線で戦い続ける。彼の名前はKanade 本名 奏 火月プロゲーマーである。不色王の前衛プレイヤーにして世界屈指の援護プレイヤーである。
「俺のモフモフを妨げるか...........くだらねー内容だったら顔面にヤマアラシを投げつけてやる」
実際はヤマアラシが可哀想なのでそんなことはしない。
「あ〜っと?誰からだ?」
アンゴラウサギの雲田さんと三毛猫の三栗さんを膝の上で遊ばせておいて連絡を確認する。
「団長?珍し、」
──あいつの命令 これやるぞ
一言に加えて団長ことにぃつからギフトが送られてきた。そのギフトはインフィコード・オンラインというVRゲームだった。名前しか知らないゲーム、プロゲーマーは儲かるという噂を聞いて始めた生活だ他のゲームなど微塵も知らない普通は躊躇するだろう。〝この一言さえなければ〟
──あいつの命令
「御意」
今の生活があるのは〝あいつ〟こと奏の王であるガンマのおかげだ。人生の手助けをしてくれた人間に従うのは奏にとって至極当たり前のことだった。
「お前ら主は今日から従者として生きる。大人しくできるな?」
動物達に奏は自分のことを奏ではなく〝主〟として覚えさせている。つまりこの文言の翻訳は「お前ら俺はしばらく忙しくなるから構ってやれない、ごめんな」こうだ。300%懐いている奏家の動物達にはこの文言で意味が伝わる。
「お前らは皆のまとめ役だ、気張れよ」
アンゴラウサギの雲田さん
三毛猫の三栗さん
ミミズクの羽丘さん
この3匹は奏が初めて飼った子達だ。特に仲がいい。
「飯をやりを忘れることはねぇ、安心しろ。」
「クークー」
「安心しろ雲田さん。報酬は最高級に良質な高繊維質の食い物とタンパク質だ、楽しみに待っておけ」
納得いったのだろう満足気に足から飛び降り自分の管轄へと帰って行った。
「お前らにも報酬は用意する。頼んだぜ?」
「ミャ〜」
「······」コク
2匹とも自分の管轄へと帰って行った。
「飯はさっき与えた、王の命令とくれば話は早えぇ、やってやろうじゃねーか。インフィコード・オンライン」
プルルルルル
「今からやりましょう。俺らを呼ぶってことはそれなりにデケェことをするってことだろ?」
ワンコールで出てくれるのがこの人のいいところだ。
「行動力........わかったよ、とっとと追いつくぞ?」
「御意」
にぃつ+Kanadeが追いつくのが先かガンマが完全攻略をするのが先か、トッププロ2人のガンマに追いつくための最速攻略が幕を開ける。
「爆速で片付けて俺は空島に行く!!数分で叩き潰してやんよ!デカ石三兄弟!!」
ガンマは目下の障害ゴーレム三兄弟を攻略することができるのか。




