音速のカブトムシと速射されるカブトムシ
クランハウスを飛び出したガンマが向かった先はベータが教えてくれた経験値効率がいいと噂の隠しエリアだった。方向的にはクロスコードから更に奥に進んだ場所だ。距離的にはさほど遠くもないが、かなり入り組んだ道を進まなければならず見つけるのは困難だろう。
「お?如何にもってのが出てきたな?ベータの地図だとこの位置を指してるからまず間違いないな。」
そこにあったのは大きめの噴水であった。山を大きく削ったのだろう。山肌には大きな女神の象が掘られていた。
「別にエリア名があるってわけじゃねーのか。隠しエリアつっても何処かに飛ばされるとかじゃねーのな」
当たりを練り歩きながら近辺の調査を始めた。この段階では1ミリたりとも経験値なんか入っていないが、ベータが言うんだから間違いないと隅々まで調べあげた、が。
「なんもねーじゃねぇか!」
何一つ手がかりは出なかった。捜索範囲を広げたり高いところから見下ろしたりもしたが、何一つ出てこなかった。
「くっそ、マインリザード狩りをした方が良かったのか?でも庵が教えてくれたんだから間違いないと思うんだけど.......」
思考を凝らして考えてみるが、選択肢として残り一つを絞り出すので精一杯だった。
「試してみるか、」
ガンマが気になったのはやっぱり噴水だった。触っても何も起きなかったし座ってみても何も起きない。攻撃してみてもただの水、ただ一つだけやっていない行動がある。
「よし!男たるもの水には飛び込まざるおえねーだろ!行ったれ!!」
噴水に飛び込むかのように入水すると、体がどんどんと沈んでいった。外から見た時は水深が脹脛くらいまでしか無かったが、中に入ってみるとわかる。足先からだんだんと空気に触れていると。
「この感覚.....当たりみてーだな」
体が完全に沈みこの世界から体が消滅してしまったかのようにエフェクトもなしに姿が見え無くなってしまった。足先からだんだんと空気に触れていくのがわかる。スルスルと別の世界に引き込まれているようだ。
「水の中だが呼吸もできる。足先から徐々に空気に触れていく感じからして、今は別の世界に滑り落ちてるって感じか?つまりこの先が!」
頭まで完全に通り抜け目の前には肥沃な大地が拡がっていた。
「き、きたぁぁぁぁ!!」
隠しエリア── 女神の花園【蟲】
「ここが隠しエリア、かなり広いみてーだな。空とかを見て見ればわかるが、結界みてーのが張ってある。てことは、あれより先にはいけねーってことだな?上等だ、5日間で探索しきってやるよ!」
召喚された位置的にはマップの端っこのようだ。丘の上でこの世界の全貌を眺めることが出来るかなり景色のいいところだ。後ろには機関用の四角柱の装置が刺さっていた。
「大きな湖に森、そして草原。蟲ってことはインセクト系統のモンスターが出んのか?何にしても、かなり楽しめそうだな」
全貌を把握した直後に待ちきれんとばかりに丘から飛び降り草原に着地した。上から見た時と何ら変わりなくモンスターも居ないただの草原だ。
「まずはのんびりと行くか!時にはチルも大切だしな!」
攻略はお休みとか言っていたが、そんな言葉目の前に広がるワクワクに掻き消されてしまっていた。数分歩いても何も出てこなかったが、遂に初経験値を見つけた。
「お、やっとお出ましか?装備を新調した俺に敵などいない!」
ズガン!!!!!!
何かが右頬を掠めたが、音も風圧も遅れてやってきた。ビビりつつもなにかに突撃して豪快な音を立てた場所をゆっくりと振り向き確認してみる。そこに居たのは昆虫だった。
「か、かかか、カブトムシ.........???」
激突したのは太めの木だった様だ。当たった部分は粉砕し木が中腹から折られてしまった。
「嘘だろ?!!あの小ささであの火力はやばいだろ!」
カブトムシは既にツーフライト目を準備しているようだった。こんなのカブトムシじゃなくて最小型の戦闘機だ。羽を羽ばたき始めガンマに一直線上に突っ込んできた。
「さっきはビビったが俺に二度は通じねーよ!」
新調してもらった盾でジャストを決め戦闘機の攻撃を無効化した。隙を晒したところにメイスを叩き込み一撃で撃沈させた。
「ふぅ、と、とんでもねーカブトムシだったな、名前すら確認する暇なかったわ。えっと、── ライトニングビートルの角、ってことはあいつライトニングビートルって言うのか、確かに雷みてーに早かったな。」
それに二度目で対応できる方もどうかと思うが、そこはトッププロの力というもの。一撃で沈めてみせた。
「こいつも良い素材だろ!軽量の武器を作るかもしれねーし、こいつも保存だな。にしても、最序盤でこの調子か〜。先が思いやられるな......」
これで最弱。かなり難易度が高そうな隠しエリアに少し気を引き閉めると同時にワクワクが込み上げてきてしまう。
「今のだけでも1割くらい経験値増えたし、確かにかなり美味しいな!.......この先のモンスターによってはそんなこと言えねーけど。」
その言葉は言霊となりガンマを襲った。
「うわぁぁぉあぉぉぉ?!!!」
確かに経験値は美味しい、ただ。
「せめて2匹とかだろうが!!!!」
ライトニングビートルがマシンガンのように突撃してきた。原因は明らか、あいつだ。
「上等じゃねぇか!全部はっ倒して経験値にしてやるよ!!」
─── ビートルイーター
(アリクイのような見た目をしたモンスター。捕食したライトニングビートルを口からマシンガンの如く速度で発射する)
「うぉら!!」
飛んでくるライトニングビートルは優に二十匹をを超えているまさにマシンガン。ガンマは可能な限り叩き落としているがあまりにも数が多く退所に苦戦しているもよう。
「切りがねーな、だったら!」
引き気味で飛んでくるビートルを叩き落とすのではなく直接本体を叩く判断をし、真正面から切り伏せる為に特攻を始めた。
「これでも食らっとけ!スキル【投擲】!」
メイスを力いっぱいにビートルイーターに投げつけた。その挙動は槍と言って過言じゃ無い程に直線的に進んでいきそのままライトニングビートルもろともビートルイーターの頭に直撃した。
「どーだ!この何のためにあったか分からない投擲スキル!使ってみれば案外使えんじゃねー!.....武器が手元から無くなるのは終わってるけど......」
ビートルイーターは粒子状になり消え去った。
「今の戦闘で2レベも上がったぞ!ライトニングビートルがやっぱりうめーんだな!.....ん?」
後ろを振り返るとビートルイーターが放ったライトニングビートルがUターンするようにガンマに向かって突っ込んできた。
「ぬわぁ!くっそ、少しは休憩させろや!!!」
怒りのままにメイス叩きおろしてライトニングビートルを複数体同時に叩き潰した。
「経験値効率は確かにいい、よぉし!この調子でレベル上げだ!」
残り6日




