頂きにあったのは希望ではなく虚しさでした。
「もうお前の時代も終わりだなガンマ」
「何言ってんだよLEXたったの60人だろ?前の世界大会でボコボコにされたの覚えてねーのかよ」
一色 司はプロゲーマーである。
プレイヤー名「ガンマ」彼はプロゲーミングチーム「リベリオン」のエースであり公式大会3年間無敗の本物の最強であった。今第5回ニューワールドオンライン 世界大会の真っ只中
「だからこそだろうが、60人だぞ!お前らリベリオンを抑えるために集まったのは9つのクランだ少人数精鋭を掲げるお前らには物量で押し切るのが基本だろ?」
「まぁ、そりゃそーだわな。」
ガンマを中央に置き周りを60人ものプレイヤーが取り囲む。
「だけどな、いつ俺が独りだと言った?」
「は?」
ガンマの後方から無数の光の矢が飛んでくる。
「チッ、ルーキーかよ!防御陣形!!」
周りを取り囲んでいたプレイヤー達が一斉にLEXの後ろに陣を構えた。大盾を手に持つ鈍重な鎧を着た戦士が10人ほど前に出てきて光の矢から身を守った。
「ガンマはどこに!」
土煙が舞ったことによりガンマのことを見失ってしまう。
「クソ!」
ブワッ!
土煙の中から道を切り裂くような風が吹き大盾の陣形がほんの少し崩れた。
「っ!お前、どうやって、」
「簡単だよ、一瞬の綻びで戦闘は終わるんだよ」
ガンマは閃光の如く速度で大盾の間をすり抜けLEXの目の前に左足を踏み込んだままの低空姿勢で自身の右手に持つ短剣をLEXの首に刺しこんだ。
「オーダーを出していたリーダーを失っちまったら統率は乱れる。副官をとっとと決めないとそのまんま終わりだよ〜?」
そこからは時間がかからなかった。60人のプレイヤー。それも予選を切り抜けた選りすぐりのプロゲーマー達。それでも届かない次元にガンマはいた。
「ふぅー、」
キラキラとしたエフェクトと共に最後のプレイヤーをキルし腰に刺してある2つのさやにクロスにして双剣をしまう。
「ルーキー?そっちはどう?」
チーム内で使える通信機能を使い相方に連絡する
「問題なし!拠点も守りきったしポイントもほかの拠点から取りまくった。あと1時間、GGかな?」
「そっか、また勝ったか」
「だね〜」
その言葉通り最後のあがきで突撃してきたプレイヤーを処理し戦況は変わらずに1時間経ち、
ピコン
「ふぅ、ルーキー?」
「なーにー?」
「終わったな」
「ね」
NWCS
の終了を意味するリザルトが目の前に出現する。最新型VRチェアが開き会場の光が選手たちを照らす。とてつもない熱狂、選手たちを称える歓声が心に染みる。その視線のほとんどがガンマ達リベリオンの面々に注がれる。
「ガンマ」
横から声を掛けられる。その声はいつも通りで緊張の糸が解れるような気分になった。
「なんだよ、ルーキー」
「今回も、クソ楽しかったな」
「はっ、だな!」
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表彰式やインタビュー、諸々が全て終え飛行機に乗り家に着いていた。
「はぁ、疲れたぁ〜、」
ベットのにダイブし天井を眺めながら今日の振り返りを始める。