第7話 過去の友達。今は
「でな?あいつが…チーターが落っこチーターって言ってさ」
「はっはっはっはっはっはっは‼寒すぎるだろそれ‼」
「だろ⁉それで…」
俺は4人で話している。
「あ〜マジ面白い。……?」
突然、3人に何かが出てきた。
「…」
いつの間にか、凄く疲れていた俺は、助けてくれると思って3人のその何かに触れた。だけど
「…あ、あれ?…みん…な…?」
いつの間にか、3人は俺の側からいなくなっていた。
「みんな…ごめん、俺が悪かった…だから戻ってき」
そして…いつの間にか、何で3人が俺の側から離れていったのか忘れてしまった。
「…ッ…」
いつの間にか、俺の胸には穴が空いていて、気づいた頃には着ていた髪と隊服は黒く染まっていた。
「…じゃあな」
そして、髪と隊服が白い俺が俺から分離…いや、髪と隊服が黒い俺が分離して、動かなくなったもう1人の俺を置いて、俺は歩み出した。
「ッ‼」
「お、おはようさん。ずいぶんうなされてたけど、大丈夫かい?」
「……東部外壁か。大丈夫。面白い悪夢だった」
「変なこと言うね」
「それ以外に何とも言えなかったんだ。仕方があるまい。ところで、どんくらい寝てた?」
「丸1日だよ」
「どうりでスッキリしてるわけだ」
「良かったね。…あと、英雄隊から伝言…無茶しすぎるな」
「無茶はしてない」
「限界が来て倒れるのは十分無茶してるよ」
「…」
「誰かを護りたいって気持ちはあたしも分かるけど、あんまり無理するんじゃないよ?」
「…すまん」
「まあ、何かあったらあたしらを頼りな。頼ることも優しさだからさ」
「…そうか」
「……たまには信頼できる人に甘えたらどうだい」
「死んでもやるかってんだ」
「どうしてだい?」
「恥ずかしいし社会的に死ぬし恥ずかしいからに決まってるだろ。俺はそれを頼める程の勇気は無い」
「?…ああ。撫でられたいとか抱きしめられたいとかじゃなくても…そうだね…言い方を変えるなら、頼るでもいいけどね」
「ああなるほど。いや、そういう意味なら十分頼ってるだろ」
「頼れてないから言ってるんだよ」
「…ほら、四天王戦で倒れるのを予測してその後を頼んだりしてるし」
「そうなる前に頼ってたら何も言わないけどね」
「…」
「とりあえず今日は休校だし、ゆっくり休みな」
「…分かった。あ、そうだ。皆いる?お礼を言いに行こうかなって」
「いるよ」
「よし、じゃあ行ってくる」
「おや、あたしには言わないで行くのかい?」
「あれ?言って…なかった…」
「忘れられてて悲しいねえ」
「あああええああいやすまん!昨日?違う!一昨日は助かった!ありがとう!」
「焦りすぎだよ」
「…そりゃ焦るわ、本当に悲しんでたらやばいし」
「そういうとこだよ」
「どういうとこ?」
「あたしらとか友達とかの言葉は冗談が多いんだから、もう少し軽く受け取れってことさ」
「…」
「じゃないとこっちも軽く冗談なんて言えやしないよ。…まあ、あたしのはレオの反応が見たくてやってるんだけど」
「いやそっちが本音じゃん。…まあ、そうだな…分かった。覚えとく。じゃあ俺、皆にお礼言いに行ってくる」
「あたしも一緒に行くよ、あいつらの反応が気になるからね」
俺らは訓練場に向かった。
訓練場
そこには戦ってるのが2人、横になってるのが1人、その人に自分を鍛えてくれって言ってるのが1人いた。
「お、やっぱ皆ここにいるよな。おーい!」
すると、皆こっちに気付き、俺のところに駆け寄ってきた。
「レオ?レオかー!起きたんだな!心配したぞ!」
「え?…この早さで…?いや、前からか…おはよう。どこか痛まないか?」
「レオ⁉…たく、1人で撃退なんて…とりあえず、今日はお祝いしましょうか」
「ん?おおう、今日はゆっくり休めよ、俺くらいな」
「あなたは休みすぎです!何ですか1日の平均睡眠時間12時間って!」
「お前は俺のお母さんか」
「あっはっはっは‼相変わらずモテモテだねえ。けど、そんな一気に話しかけるんじゃないよ」
「アザレア、大丈夫。ザンザ、心配かけてすまん。ラー、痛みはもう無い。ルート、良いな!お店予約する?それともここ?ソラ、そうだな…お祝いの後にゆっくり休む。皆、一昨日はほんと助かった、ありがとう」
「ああ…うん、予約とかはこっちでやっとく」
「まあ、助かったって…なあ?」
「迎えに行って運んだだけなんだけどな」
「助けたのには変わんないし、別にいいだろ」
「まあそうなんですけどね?なんかこう、実感が湧かないんですよ」
「あたしもだよ。で?ルート、お祝いするんだろ?いつ、どこでやるのかい?」
「そうですね…思い出もありますしここで、食べ物が来たらすぐにやりましょうか」
その時、ここに1人入って来た。
「おお、なんか賑やかだな」
「ガリヤードさん!レオが起きたんで今からお祝いの準備です」
「何⁉もう起きたのか!?」
「あ、ガリヤード、一昨日は助かった」
「ああ、次はもっと頼るんだぞ…で、お祝いの準備だろ?俺も手伝おう」
「そうこなくっちゃ!よおし、早速準備だ!やるぞ!皆!」
「おう!張り切るぞ!」
「レオの為ですしね」
「ま、ゆっくりやるか」
「よし、じゃあ俺も!」
「これはレオのお祝いなんだよ?準備はあたしらでやる、レオは休んでな」
「いや、皆と一緒にやるのも楽しいんだぞ。アドレナリンどっばどばで疲れなんか吹き飛ぶ」
「そうかい…レオらしいね。じゃ、頑張ろうか」
「おう」
そうして、お祝いの準備が始まった。途中ルートが注文する食べ物の量の桁を間違えたり、ソラが寝たり、ラーが気合い入りすぎて飾り付け引きちぎったり、ザンザが準備が楽しすぎてどっかのガキ大将みたいに大声で歌ってうるさかったり、アザレアがツッコミすぎて疲れたり、ガリヤードがギックリ腰になったり、俺がまだ意外と疲れが溜まってて倒れたりしたけど…なんとか準備ができた。
「はあ…はあ…な、なんとか準備完了したぞ…」
「ま、まさかここまで疲れるとは…」
「ソラさんなんて…もう寝てますからね…」
「あんたたち…失敗しすぎだよ…」
「まさか…ギックリ腰に…なるなんてな…」
「レオも倒れちまったし、もう夜だ…お祝いは…明日に…しようぜ…」
「「「「「賛成」」」」」
そうして、皆はぐっすり眠った。そして
翌日 変わり果てた会議室
「ぐっすり寝て気分爽快‼疲れが取れて元気溌剌‼レオもしっかり起死回生‼」
「死にそうだったわけじゃないけどな」
「死んでないほうがおかしいんだ」
「今日はレオが生きてて良かったからという理由でお祝いするんだが正直どうでも良くないけどどうでもいいからとりあえず俺はただ馬鹿騒ぎたいだけだ‼」
「急に早口になったと思ったら結局それかよ!」
「まあいいじゃないですか」
「ま、ザンザがザンザしてるだけだしね」
「何?ザンザしてるって」
「ザンザしてるはザンザしてるって動詞だよ、学校でしっかり学びな」
「アザレア?アザレアはボケにならんといて」
「なんで大阪弁?」
「この世界大阪とか無いぞ」
「おっと、そうだったね」
「そこお゙お゙お゙お゙お゙‼!アザレアだけレオと話すんじゃねえ‼ずるいぞ‼とりあえず早く乾杯するんだよ‼話はそれからだ‼」
「いや乾杯の後じゃなくてもいいだろ」
「たしかに…」
「おお急に素に戻んな」
「固定概念にあんま縛られんなよ~」
「あなたは一般常識をおぼえてください。前は頭痛いって言ってましたけど、あれただの寝すぎですからね?」
「それも固定観念、固定観念~」
「違います‼」
「ひや゙あ゙ぁ゙ぁ゙うまひい゙い゙ぃぃ」
「ザンザももう飲んでんじゃねえか!」
「ああもうめちゃくちゃだよ」
「まあ、乾杯はするか」
「そうだな、じゃあ皆!飲み物を持てい!この俺の輝かしい戦績…いや、そんなんどうでもいい‼今日はとにかく楽しむぞ‼歌え!踊れ‼自分の力を活かして馬鹿騒げ‼自分の力を活かせないなら死んでゆけ!!」
「結局そっちかい!」
「まあ楽しければいいじゃないか」
「だね、とりあえず…」
「「「「「「「かんぱ~い!」」」」」」」
その後はとにかく楽しんだ。俺が質問攻めにあったり、酒の力でガリヤードが凄い誇張して当時の出来事を話したり、ザンザとラーが肩組んで歌ったり、アザレアがいつもより甘やかしてきたり(逃げたけど)、ソラが疲れて寝たり、ルートが布団かけてたり、ビンゴ大会して何人か絶叫したりした…結婚式かな?少なくとも、今日は思い出に残る1日になった。
「気付けば…もう夜か…」
「おお、そうだなってレオ、どうした?すっごい疲れた顔してるぞ」
「いやぁ、楽しみすぎてもう…す、少し…眠い……」
「それを人は少しとは言わない」
「はは…そっ……か」
俺は倒れた。
「あ、死んだ」
「あれ?レオは寝たのかい。まあこの馬鹿騒ぎなら仕方がないね…主役が寝たし、そろそろお開きにしようか」
「そうだな、じゃあレオは頼んだ」
「分かった、そっちは頼むよ」
「分かった」
こうして、11時間に及ぶ馬鹿騒ぎが終わった。