第50話 感謝と謝罪を意を込めて、ただいまを
「……くっ≪天咎≫‼」
「≪リラード・クロス≫‼」
ガリヤード、リラードは最高火力を放った。
〚そんなもんが、神に通用すると思ったかあ⁉〛
2人が放ったスキルは、いとも簡単に払われた。
「…クソ…‼」
「聖王‼聖王‼」
〚…すま…ない……〛
〚…最後のお別れは済ませたか?〛
「は?…最後…?」
〚戻るぞ、聖王。1つにな〛
すると…聖王は魔王の中に引きずり込まれた。
「聖王‼」
〚はあああああ……があ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙‼〛
叫びと共に、魔王は炎の柱に包まれた。そして…そこから出てきたのは、人間サイズになった魔王だった。
〚はははははは‼いいねぇ…やっぱこの体が馴染むなあ‼契約で聖王と少し繋げておいてよかったぜ〛
「体が…小さく…?」
〚おっと、弱くなったなんて思ってないよな?そうだなぁ……これで、どうだ?〛
魔王がゆっくり右手を開き、手の中の何かを壊すように握った。すると
「ッ⁉」
「しまっ⁉」
天界の地面が壊れ、天国地獄の人たちは落ち始めた。
〚よかったな‼天界の下は下界だ‼下界に落ちたら生き返れるぜ‼まあ…そのまま落ちて死ぬだろうけどな‼でもな、もう天界に地面は無いぜ?これからは落ちて死ぬの繰り返しだあ‼はははははははは‼〛
「くっ…こんな…‼」
「ここまで来たのに…‼」
「……お兄ちゃん…ごめん………」
「≪真眼≫」
黒い隊服が現れ、落ちていく人たちの速度を落とし、安全に地面に降りさせた。
「…え?」
「大きいな…2歳年上だしな。あの時先に死んだのも納得だ」
「…お兄ちゃん…?」
「年上にお兄ちゃんって言われるのは変な感じするけど………ただいま、ルル」
俺はルルを抱え、ゆっくり地面に降り、ルルを下ろした。
「決着、付けてきたよ」
「ッ‼…おかえり」
「ああ…ありがとう」
「レオ!」
「レオ…」
「…良いとこ取りに来たかい?」
「いいタイミングで来やがって!」
「タイミング見計らってたな?」
「…よかった…」
「…言葉が出ないな…」
「英雄隊…」
「終わったんだな…」
「…たく、振り回されてばっかだ…」
「ジン…ジャック…」
「…後で新曲聞いてよ?」
「メドレーで送ろう」
「キル…ボルス…」
俺は深呼吸をした。
「…罪とか言ってたけど…皆は許したって言った。なら俺は自分を許さないと、似たような境遇の人たちが生きていけなくなる。それに…もう、心配させたくないしな」
「うん‼」
「さてと…そろそろ」
「レオ!」
「ん?…ッ………」
レイ、エジレス、クスアードだった。
「………どうした?」
「聖王から聞いた。…あの時、あそこまで追い込まれてたとは知らなかった…今考えると、悪かったのは俺らだ…ごめん。だけど…」
「今更なのは分かってる…それでも‼」
「あの時の関係に‼戻らせてくれ‼」
「ッ‼………あいよ‼レイ、エジレス、クスアード‼少しは力貸せよ⁉」
「ッ!ああ‼」
「俺らの力は知ってるだろ⁉」
「舐めんじゃねえ‼」
「…さてと、行くか」
俺は布都御魂を帯に刺した。
〚お前ごときが俺に勝てると思ってんのか?〛
「勝てる。俺だけじゃなくて、皆となら」
〚…は?〛
俺は息を吸った。
「皆‼契約だ‼皆のスキルや契約の力を全て、俺に渡してくれ‼終わったらその強さは消える…でも、俺らなら力が無くても生きれる‼だよな⁉」
「…ああ…」
「そうだな…!」
「当たり前だ‼」
「やってやらあ‼」
「「使え‼俺らの力‼俺らの想い‼」」
「…布都御魂。皆の想いを俺に伝えてくれ」
すると、契約成立、想いを伝える神器である布都御魂の力により、俺の力と真眼がとてつもなく上昇した。
「…≪真眼・皆≫‼」
俺はスキル≪真眼・皆≫(しんがん・かい)を発動した。俺だけじゃない、皆の想いも力に変えるスキルだ。
〚こ、こいつ…チッ神の力を舐め〛
「聖王‼最後の大仕事頼んだ‼」
〚何を言って…ッ⁉体が…動かない…‼〛
【俺と一緒に…消えろ‼】
〚ッ‼お前え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙‼〛
「…ルル」
「?」
「今から回りくどい言い方をする」
「…」
「…月は綺麗だな」
「…え?」
「よっ!」
俺は魔王へ飛んだ。
〚待て‼そんな力使って、無事じゃ済むまないぞ‼それに、俺が消えたら世界が消えるぞ‼世界と契約とスキルが消えるぞ‼お前らも消えるんだぞ‼〛
「ケセラセラ。なんとかなる‼」
〚ふざけるなあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙‼〛
魔王が、攻撃範囲に入った。
「…じゃあな」
〚クソ‼クソオ゙‼…クソオ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙‼‼〛
俺は、最後の力を放った。
「≪幾星霜の祈り≫」
〚ぐはっ‼〛
魔王に攻撃が当たり…消えた。
俺は地面に降りた。
「ヤマタノオロチ。神に近い存在なら、この神器があればいいか?」
俺は布都御魂をヤマタノオロチに渡した。
〚…元はそれだけでは足りなかったのだが…ヴィラバドラと夜叉を戻せたのでな。大丈夫だ〛
「…よかった。じゃあ、これから世界を頼む」
〚…ああ〛
ヤマタノオロチ、ヴィラバドラ、夜叉は天界へ戻った。
「…レオ…何で世界が消えてないんだ?」
「ああ。なんか神に近い種族の龍族と巨人族と鬼族がいて、そこの長と全ての神器があれば…スキルと契約は消えるけど、世界はそのままにできるって」
「…そこまで考えてたんだ…」
「お兄ちゃん‼」
「…ルル」
「…あの言葉の意味、分かったよ」
「…言ってみて」
「…月は綺麗だな。普通なら月『が』綺麗だなになるけど…『は』って言った。それって………私が月だから?ほら、私スキルで月光使ってたから…月の光を出すのが私ってことで……私が月なのかなって…」
「………ごめんな。こうでも回りくどくしないと恥ずかしくて告白できないんだ」
「ッ‼…」
「…また…この手を取ってくれるか?」
「…うん…‼」
その時
「?…力が抜けていく…」
俺の力は消え、隊服の色が白くなった。だが…髪色は変わらなかった。いや、リラード、ジン、ルルの髪色が黒くなった。
「ッ⁉何で…」
「…たぶんだけど、英雄っていう力も消えたのかも」
「なるほど…」
「今力が消えたっぽいね。真眼………うん、スキルも使えない」
その時
「ッ⁉あ、あれ…おかしいな…」
俺は涙が出始めた。
「別に悲しんでないのに……な……何で………う…うぅ……」
拭いても拭いても、出てくる。段々…勢いを増して
「…えい」
ルルは俺を抱きしめ頭を撫でた。
「ッ⁉」
「…これまで辛かったね……でも、これからは私たちがついてる。レオが死んでも寂しい思いはさせないよ」
「う…ゔあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ん!!」
俺は泣き始めた。これまでの辛さを吐き出すように
「ふふ、よしよし…」
1年後 家
「…よし、できたぞ!」
「ほんと?じゃあ早速出そう!」
「ああ!」
俺らは外に出た。
外
「クルス王国に行くよ!早く早く!」
「ちょ…そんなに急がなくても…はぁ…はぁ…俺体力無いんだから…」
「英雄様でしょ?あの時みたいに速く!」
「もう英雄様じゃないって…無茶言わないでくれ、あの時に強さが全部消えてからあんまり体動かして無いんだから……キッツ…」
強さが消えたあの時、俺は力を使った反動で皆より弱くなった。今はあの超人的なことどころか、一般人より少し下の身体能力になった。まぁ…それだけで済んだのは真眼・皆が無意識に自分を護ったのか…最後の最後で聖王が助けてくれたのかは、分からないけどな。
「…ん?あ、ジン!ジャック!ケレデマ!」
「おお、レオ!」
「なんか、随分と…」
「うっきうきしてるけど、何かあった?」
「小説!完成したから今持って行ってる!」
「おお!」
「1年の戦いが終わったか」
「じゃあ見せてもらおうかな」
3人は俺らに続いた。あの時、地獄の人たちも生き返った。でも、もう今は凄く良い人ばっかになった。天国の人と地獄の人は互いに仲良く暮らしている。魔人も獣人も一緒だ。
クルス王国
「…あ、レオ!」
「はぁ…はぁ…おお!リラード!小説!…はぁ…完成した!」
「うおおお!じゃあ今持って行ってるのか!」
「8か月くらいでよくやったな」
「かっこよく描いたか⁉」
「かっこよく描いてないわけないな」
「…少し恥ずかしいね」
「付いて行けばすぐ見れますか?」
「眠い…ま、今回は覚まさないとな」
「皆見たいか?じゃあ…英雄隊!俺に続け!」
「「了解!」」
その時
「お~い、俺らに会いたかったんだろ~?俺らも会いたっかからな~」
「レイ!エジレス!クスアード!」
「話は聞かせてもらった」
「俺らも行くからな?」
「はっはっはっは!じゃあ、行くぞ野郎ども!」
更に英雄隊と親友組が増え、俺含めて15人になった。
クルス城
「星の2人!ガラード!ルアード!はぁ…はぁ……来たぞ!…はぁ……キッツ…」
「あ、レオ!」
「今日はどうした?」
「言わなくても分かってる!…来たってことは…?」
「ああ……完成した」
「おおおおお!」
今はキル、ガラード、ルアードが世界を統治してる。何で世界かって?ああ、国っていう境界線が消えたからな。
「んで…何でここにここに持って来させたんだ…?すっげえ疲れたんだけど……疲れた……」
「何でって…1番に小説見たかっただけだが?」
「えぇ…」
「リラードが言ったんだ。これくらいなら許すってな」
「リラード…?」
「…てへ☆」
「…まあええか。んじゃ、見るか?俺らの歴史」
「おや、レオとルルの恋物語じゃないのかい?」
「ッ⁉………恥ずかしいからそういうのやめてくれ…少しはそれも描いてるから…」
「他の子に目移りしたからとかじゃないのかい?最近セラ、ミオ、ユナ、ノアって子たちのグループが有名だけど」
「…逆に聞くけど、目移りできる程の勇気が今の俺にあると思う?おかげでずっと一途だ」
「いいね。その言葉が聞きたかっただけだけど」
「…やられた…」
「おい、早く見ようぜ?もう待ちきれねえよ」
「はは、そうだな」
「よし…じゃあ皆!とくとご覧あれ!紆余曲折を経て皆幸せになる…夢物語を!」
俺は夢物語の1ページ目を開いた。
ここまで読んでくれた方々へ
ここまで読んでくれてありがとうございます。これで、人生最初で最後の小説は終わりです。本当に…本当に、ありがとうございます。これで人生悔いは無くなりました。それでは、さようなら
夢見隊より