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夢物語  作者: 夢見隊
代償
15/51

第14話 逃げた先で歩み出す

「あ、あの…」

「ああごめんごめん!今治すね」

「い、いや…大丈夫…です。め、迷惑は……かけちゃ…だ…駄目だから……」

女の子は怯えてるようだった。

(≪虚の宴≫)

「いや、俺が好きでやってるだけだから気にしないで」

「え…」

俺は《真眼・劣》で女の子の怪我を治し、ついでに汚れも取った。

「…これでよし!どうかな?」

「…あ、ありがとうございます…」

「…これから、どこ行くの?」

「…好きな…所…」

「方角的にクルス王国かな?どうしてあそこに?」

「…前…助けてくれた…人に…」

(…リラードか……)

「…どうやって会うつもり?」

「…」

「…その人は…帰ってこないよ」

「ッ!そん…な………」

「《真眼》」

(…そうか…)

「…帰りたくない?」

「え?」

「…ちょっと汚いけど…俺の家に来る?」

「え!?いや、そんな…」

「…大丈夫、俺たちは君を殴ったり雑に扱ったりしない」

「で、でも…」

「このお兄ちゃんに任せとけ!家事全般ならできるし、衣食住もしっかりあるぞ!」

「い、いやでも」

(…あの時みたいだな…)

「う~ん…あ、迷惑だと思ってる?家に花が咲くし、そんなこと本当に無いから安心して」

「な…何で…」

「友達が増えることが迷惑なわけないし、むしろ大歓迎だからな」

「……何で…」

「そりゃあ目の前に困ってる人がいるからに決まってるじゃん」

「い、いや…」

「ああ……キル、翻訳頼む」

「俺?う~ん…たぶん信憑性かな?」

「ああそういうこと?う~ん…友達増えるからとか?足りない?」

「流石にそれだけだと信用しづらいかな」

「ええっと…人助けして俺優しい!っていう自己満足したいのもあるかな」

「うわ~判断難し…分からないからもうちょっと」

「………一目惚れって言えばいい?」

「え⁉ああ…ええっと…頑張ったな?」

「ああもう!言いたくなかった!!告白なんかしたくなかった!!恥ずかしい!!これで振られたらお前を殴る!!」

「俺⁉」

「…ああ…これで理由は大丈夫かな?」

「う、うん…」

「どうかな?もし受け入れてくれたら、俺は好きな女性を幸せにできる、君は俺を使って充実した生活を送れる。もちろん無理やりはしない、決めるのは君だ。どうする?」

「………じゃあ…いいです」

「ぅおらあ゙!!」

「いったあ⁉俺に非は無いだろ!!」

「うるせえ!もう1発殴らせ」

「あ、いや、受け入れるって意味で…」

「え?あ…」

「…ぅおらあ゙!!」

「いってえ!俺に非がある!!」

「あ、ええっと…」

「あ、ごめんごめん…じゃあこれからよろしくね。絶対に幸せにするから」

「う、うん…」

(…まだ孤独が抜けてないな…)

「…」

俺は抱きしめて頭を撫でた。

「ッ⁉」

「…どう?安心する?俺は好きだな、この暖かさ」

「あ、あの…」

「君はもう1人じゃない」

「ッ!」

「これまで辛かったな…俺も1人だった頃があるからよく分かる。でも、これからは俺がついてる。君が死んでも寂しい思いはさせない」

「う…ゔあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ん!!」

女の子は泣き出した。

「おおよしよし…」

女の子を落ち着かせた後、俺らは俺の家に向かった。


レオの家

「着いた!ここが俺の家だ!ボロくて悪いな、遠慮なく入って」

「お、お邪魔します」

「いらっしゃい!さてと…どうしよ」

「…あ、あの」

その時!……女の子のお腹が咆哮を放った。

「おお、咆哮大だ」

「食べ物ある?無いなら持って来るけど」

「あるけど…あいつらにこの事言うついでに持ってきて。食材尽きそう」

「分かった。じゃあ行って来る」

「行ってら~」

キルは王国に向かった。

「よ~し!作るぞー!1番何が好き?」

「……分かり…ません…」

「ほおう?おまかせコースか…いいね!やってやる!」

(身長的に…7歳くらいか?よし、ならば無難に…あれだな)

俺はご飯を作り始めた。


10分後

「…よし、完成!おかわりもあるからたくさん食べて!」

「…これは?」

「パルマカレーと揚げパン。美味しいから、騙されたと思って食べてみて」

「………」

「どう?」

「…美味しい…です…」

涙を流しながら、凄い勢いで食べていた。

「…ご飯は逃げないし、ゆっくり食べていいからね」


20分後

「…美味しかった…です」

「よかった」

「…あ、あの…」

「どした?」

「代償は…仕事は、無いんですか?」

「え!?いいの?」

「…それは…はい…」

「じゃあ…5秒間失礼する」

「?」

俺は………少女のほっぺを触るという大罪を5秒間『も』犯した。

「…すまん、ありがとう」

「な、何してた…んですか?」

「合法犯罪だよ。いつかきっと分かる」

「ええっと……これだけでいいんですか?」

「今ので君を一生幸せにしようと思えるくらいには大満足だし、いいや」

「え…でも…」

「うむ。じゃあ休んでて。それが仕事」

「え?」

「君はこれまですごく頑張ったんだから、次は俺らが頑張らないとな!それに、休むのもちゃんとした仕事だよ?」

「…ありがとう…ございます」

「ああ堅っ苦しい!敬語はいらぬう!ため口で喋りなさいな!」

「え?え?…ええっと、じゃあ…ありがとう……あの、名前は何て言うんで……言うの?」

「ああそういえば言ってなかったな。…俺はレオ・アルラード!レオとか、兄さんとか…まあ好きなように呼んでくれたらいいよ」

「わ、分かった。えっと…レオお兄ちゃん」

「ぐはっ!」

「レオお兄ちゃん⁉」

(い、いや、最初見た時から可愛いとは思ってたけど…無理だって!かわい゙い゙!元から女性の耐性は無いんだよ!…ん?じゃあアザレアさんは何なんだって?ああ、美人だけど子供同士じゃないからけっこう大丈夫。16歳くらいから下は無理)

「ごめんけど、できればレオお兄ちゃん以外で…」

「じゃ、じゃあ…お兄ちゃん」

「うぐっ…あ、ありがとう」

(…レオお兄ちゃん…か……あいつ、元気かな…)

「う、うん、大丈夫」

「……あのさ」

「?」

「…君、名前が無い?」

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