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黒の僧侶  作者: 吉田何某


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第九十四話 恋と友情

橋の上でキスを続けるムサシとバーバラ。


「………そろそろ、行かないとだよね………アリシアちゃん、心配だし」

「そうだな……」


「じゃあ、もう一回だけ……」


二人は、再び深い口づけを交わす。


(……あぁっ……もう、ダメ………)


長いキスを終え、二人は名残惜しそうに宿屋へ向かった。



宿屋に入ると、ロビーの待合席にアリシアとクリスが座っていた。


「アリシアちゃん!大丈夫なの!?」

バーバラが駆け寄る。


「うん……」

と、アリシアは立ち上がるやいなや、


「ごめんなさい!!」

と、バーバラとムサシに頭を下げた。


「……どうしたってんだ?」

ムサシが困惑しながら尋ねる。


「実は……体調悪くなったっていうのは嘘で……本当は……クリスに嫌われちゃったんじゃないかって、ずっとモヤモヤしてて……その、なんて言えばいいのかな……」

珍しく端切れの悪いアリシア。


「………」

バーバラは察した。


「らしくねぇな。ハッキリ言えよ」

ムサシが促す。


「……本当に、勇者として、パーティのリーダーとして……失格だと思うんだけど……私…………

クリスのことが好きなの!」


バーバラとムサシは目を見開いた。


クリスも覚悟を決めて立ち上がる。


「僕も、同じです。アリシア様のことが、好きだ。大魔王を倒す旅をする聖職者の在り方としては………不適切だと思います。しかし、この気持ちはもう……どうすることもできない……!」


「…………」

ムサシとバーバラは、興奮を抑えながら、最後まで黙って聞く。


「ですので……これからも旅を共にするお二人には、隠すのではなく、やはりきちんと伝えるべきだと思い……アリシア様と、ここでお待ちしておりました」


「……そういう、わけなの……」

アリシアは顔を赤くして言った。


しばしの沈黙。


そして——


バーバラとムサシは目を合わせ、笑った。


二人の意外な反応に困惑するアリシアとクリス。


「俺たちもだ」


「………え?」

呆気に取られるアリシア。


「さっき、バーバラに告白した。んで、オッケーもらった」


バーバラは顔を真っ赤にしながら、幸せそうに微笑む。


「………な、なんと!!」

クリスが叫ぶ。


「もう、本当に……一生分の幸せもらっちゃいました……」バーバラが頬を染める。


「ふざけんな。もっと幸せにしてやるよ」

ムサシが堂々と言う。


バーバラは上目遣いでムサシを見ながら、


「じゃあ……毎日チューしてね」


と、愛らしく言った。


「お、おう!あたりめぇだ!」

ムサシは顔を真っ赤にして答えた。


アリシアの顔は一気に晴れ、


「あっはは!!もう……本当に最高ね、あなた達って!おめでとう!!やった〜〜!!」


と、大喜びした。


クリスはその場に膝をつき、手を組み、目を閉じた。


(主よ……全てに……感謝致します)


「アリシアちゃんとクリスくんも、おめでとう!!あ、そうだ、お好み焼き、二人の分も包んでもらったの!良かったら部屋で食べて!」

バーバラが笑顔で手渡した。


アリシアはバーバラに抱きつき、

「バーバラ……本当に、大好き!!一生友達よ!!」

と涙を滲ませた。


「こっちのセリフ。私他に友達いないんだから、絶対見捨てないでよね!」

バーバラも涙を浮かべる。


ムサシは頬を釣り上げながらクリスに拳を差し出した。

クリスは微笑し、その拳に自分の拳を当てた。


こうして——

勇者一行は、二組の若いカップルという新たなる側面を得て、宿屋の一室へと向かっていった。

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