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黒の僧侶  作者: ヨシダール


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第八十八話 一刀両断

勇者一行は洞窟をさらに進み、足元にはマグマの亀裂が走り始めていた。


普通なら熱気に耐えられない環境だが、バーバラの氷魔法と風魔法を組み合わせた冷風魔法のおかげで、一行は快適に進んでいた。


「バーバラ、本当に助かるわ! 流石に魔法なしではこの熱さは厳しかったと思うわ」


「いえいえ〜!」


「だけどよ、そんな魔法流しっぱなしで大丈夫なのかよ?」


「全然大丈夫です!」

(ムサシさん、心配してくれるなんて優しい……)


「バーバラさん、本当にありがとうございます。くれぐれもご無理はなさら——」


クリスが口にしかけた時、足元の岩場が崩れた。


「っ!?」

クリスが落下する。


「おい!!」

ムサシが手を伸ばすが、間に合わない。


「クリス!!!」

アリシアが絶叫する。


(間に合って!)

「ウカ・ビーナ!!」

バーバラが浮遊魔法を唱える。


すると——

黒髪の男が浮かび上がってきた。

バーバラの魔法ではなく、自力で。

視界にアリシアの敵がいないことを確認すると、白髪に戻る。


「あれ、私の魔法じゃなかったみたいね……でも、まあ良かった!」


「なんだお前、アリシアのピンチだけじゃなく、自分のピンチでも覚醒するのか?……まあ、もう何でも良いけどよ」


(あぁ……下から私のパンツが見えたのね……)


「皆さん、すみません。以後気をつけます」

とクリスは小声で反省しつつ、

(今日は二度目の覚醒か……ということは、二度もアリシア様のパンティを……なのに、”この僕”は、一度も見れていない………いや、待て。何を考えている……?これはまずい状況だ! 主よ、我が煩悩を打ち払いたまえ!)

と、葛藤に震える。


一行は進み、溶岩が流れる細道を抜けると、赤黒い光に包まれた広場へ出た。


「最深部みたいね」

アリシアが呟く。


「あぁ。なんもいねぇのか?」

ムサシが辺りを見回す。


「いえ、おそらく強敵が……」

クリスが緊張した面持ちで答える。


バーバラは冷風魔法を維持しながら、心の中で

(なんか出たら、下の溶岩冷却しよう)

と作戦を練る。


——その時、地鳴りが響いた。


ゴゴゴゴゴッ……!


溶岩の中から巨大な竜が姿を現した。


「ギャオ〜〜〜!!!」


「きたわね!」

アリシアが剣を構える。


「へっ」

ムサシが笑い、二刀を抜く。


「ハヨ・ナリム!!」

クリスが全体速度を上げる。


「出た出た」

バーバラは竜が溶岩から完全に出たのを見て、


「ヒエ・テローガ!!」


即座に氷魔法を放つ。

溶岩が冷え固まり、熱気が収まった。


「さっすがバーバラ!」


「えっへん!」


竜が火炎ブレスを吐く。


ブオオオオオオォ!!


「ブレ・スケーア!!」

クリスの光壁がこれを防ぐ。


「さっすがクリス!」


「ありがとうございます!」

(少しは道中の失態を取り戻せただろうか!)


「おらよ!!」

ムサシが斬撃を飛ばし、竜の翼を切り裂くが、傷は再生する。


「クリス!バーバラ!」

アリシアが叫び、剣を掲げる。


「モド・ラナク!」

クリスがアリシアの剣に光を灯す。

「オール!」

バーバラが、その光を拡げる。


四人の身体が、光を帯びる。


「更にバフをかけますよ〜!ツヨ・ナーレ!!」

バーバラの強化魔法がアリシアとムサシに掛かる。


——仕込み、完了。


「ギャオーー!!」

竜の鉤爪が襲いかかる。


「ヒノキチ!」

アリシアの盾がこれを防ぐ。


「ムサシ!やっちゃって!!」


「おうよ!!」


ムサシは一本を鞘に戻し、"村政宗"を両手で握りしめ、大きくジャンプする。

竜の頭の高さに達ると——


「うらあぁ!!!」


愛刀を縦一文字に振り下ろした。


——スパンッ!!!


竜の身体はまるで紙のように裂け、左右に崩れ落ち、やがて光となって消えた。


「キャ〜〜〜!!!ムサシさん、かっこよすぎです〜〜〜!!!」


「お、おう!まあな!」


「……ははは」

(火力ではもう勝てないわ、この脳筋剣士様には)


「本当に……強い。このパーティは」


「ホントね……私たち二人で始まったあの時からしたら、信じられないわね……」


アリシアが微笑みながらクリスに寄り添う。


「はい……アリシア様」


──その時。

突然、広場の中央に光の円錐が現れた。


中から宝箱が出現する。


「お、なんか出たぞ」


「アリシアちゃん!宝箱ー!」


「え!?ホントだ!!やったー!!」

アリシアは大喜びし、キラキラした笑顔でクリスに呼びかける。


「クリス!行きましょう!」


クリスはその笑顔を見て、尊いものを目にするように、静かに、優しく答えた。


「はい。アリシア様」


四人は宝箱の前に立つ。


「開けるわよ?」


アリシアの声に、三人はそれぞれ頷いた。


──パカッ。


宝箱の蓋が開く。


中には──


禿げた小柄のオヤジが、スヤスヤと心地よさそうに眠っていた。

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