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黒の僧侶  作者: ヨシダール


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50/89

第五十話 黒の真相

(さっきの捲れ方……絶対見えてたわ……)


アリシアは、自分の中で浮かび上がる疑念と向き合っていた。


クリスの髪が黒くなったあの瞬間。

彼が見ていたのは、確かに──


(だけど……覚えてないのよね……なら、罪ではないはず!)


そう結論づけると、アリシアはにっこりと微笑みながらクリスに声をかけた。


「変わったことは、何もなかったわ!本当に謎ね……。それより、そろそろ私たちも加勢しましょう!バーバラの魔力、そろそろ限界じゃないかしら!」


「え?あ……はい! 行きましょう!」


どこか違和感を覚えながらも、クリスはすぐに頷いた。


二人は走り出す。

鬼たちのもとへ。



丘の中腹では、脳筋の鬼と狂愛の鬼が、変わらず元気に暴れていた。


「ムサシさーん!次は氷と火でやってみますー!?」


「おうよ!」


バーバラが杖を振る。


「ヒエ・テーロ!」


左手の刀が氷の魔力を帯びる。


「モエ・テーロ!」


右手の刀が炎に包まれる。


ムサシはご満悦で叫んだ。


「いくぜ!二刀流──溶解斬!!」


ズバァァァアアッ!!


氷の斬撃と炎の斬撃が、巨大な猿型の魔物を左右から切り裂いた。


「ぎゃ〜!!」


魔物の左腕は凍てついて飛び、右腕は炎に焼かれて飛んだ。

わけではなかった。

魔力を帯びても、そもそもの斬撃の威力が強すぎるため、無属性斬撃で斬ったのと何も変わらなかった。


ちなみにバーバラは、とっくに気づいていた。

愛しのムサシが楽しそうだったから、黙って一緒に楽しんでいるだけであった。


──その時。


「バーバラ!スカートの中に虫が!!」


「え!?ウソ!?イヤだっ!!」


バーバラは悲鳴を上げて、スカートをパタパタさせる。

それにより、白とピンクの縞々パンツがチラチラと……

いや、もはやチラチラどころではなく、しっかりと。


アリシアは、すかさず横目でクリスを見る。


──クリスは、しっかりと見ていた。

その証拠に、顔が真っ赤に染まっていた。


だが──


髪は、白いままだった。


(……どういうこと!?違うの!?もうわかんない!!)


アリシアが心の中で叫んだ次の瞬間、地面から突き出た石に躓き──


「きゃっ!!」


勢いよく前のめりに転倒した。


「アリシアちゃん!丸見え!」


パタパタを終えたバーバラの叫びが響く。


その時だった。


黒髪のクリスが、無言でアリシアに近づき、

腰の方に捲れたスカートを整える。


そして、魔物の方へ手を掲げ──


「──ケシ・トーベ」


黒い閃光が疾走した。


ズバァァン!!


魔物は、悲鳴を上げる間もなく跡形もなく消え去った。


「なんだ!?」


ムサシが刀を構えながら振り返る。

そこにいたのは──ちょうど、黒髪から白髪に戻りつつあるクリスだった。


呆然とするバーバラ。

言葉を失うムサシ。


そして──


(………………。

パンツじゃなくて………………。

 “私のパンツ”ってこと……………!?)


アリシアだけが、ひとりその"真相"に辿り着いたのであった。

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