表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒の僧侶  作者: ヨシダール


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/89

第十五話 村長、口を開く

「……はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」


リョーマの絶叫が、コジーロ家の居間に木霊する。


「……あんた……なんで……!? 昨日、確かに……!」」


その瞳には、驚愕と混乱、そして──ほんの少し、涙のにじみ。


「実は色々ありまして、この通り生きております。ご心配おかけして申し訳ございません、リョーマ君」


にっこりと微笑みながら頭を下げるクリスに、リョーマの混乱は加速するばかり。


「な、何が起きたらあれで死なずに済むんだよ……!えっ、じゃあ、あの化け物は!?」


「もういないわ」

アリシアが優しく微笑む。


「あなたが気を失っている間に、やっつけといたわよ。……心配だったよね。ごめんね、リョーマ君」


その表情は、本当に申し訳なさそうで──けれど、どこか母性的でもあった。


「……じゃあ、誰も……死んでないの?」


アリシアはぱぁっと満開の笑顔で頷いた。


「うん! みんな生きてる!」


「……そっか……よかったぁ……」


リョーマの目に溜まっていた涙が、ついにぽろりとこぼれ落ちた。


「またすぐ泣きやがって」


ムサシがぼそりと呟く。


「なんでさっさと教えてくれなかったんだよ!?」


リョーマがムサシに食ってかかる。


「なんでって、お前起きた瞬間、木刀持って走ったじゃねぇか。いつ話せってんだよ」


「ここで茶飲んでる今とかで良かっただろ!?」


「……大事な話をしてたんだよ」


「何の話だよっ!?」


「ガキのお前には、まだ早い」


「なんだよ……クソッ……! いつまでも子供扱いしやがって!!」


悔しさと怒りを抱えて、リョーマは踵を返し、そのまま部屋を飛び出そうとする──が。


ふと、居間の入り口で立ち止まり、クリスの方へ向き直ると、すっと膝をついた。


「昨日は助けてくれて……本当にありがとうございました!!」


頭を深く下げ、礼を述べたリョーマは、立ち上がってそのまま奥の部屋へと走り去っていった。


「……あなたよりよっぽど大人よ、あの子」


アリシアがジト目でムサシを見やる。パンティの色を暴露されたことへの復讐が始まろうとしている。


「……あぁ!?」


ムサシが眉を釣り上げた、そのとき──


それまで仏像のように沈黙を貫いていた村長コジーロが、静かに口を開いた。


「──私があの魔王の一角の弱点を知っていたのは、昔、魔王たちと散々戦ったからじゃ」


場の空気が、音を立てて変わった。


ムサシとアリシアが言い合っていた場が、一瞬にして凍りつく。


「……どういうことだ、親父?」


「言った通りじゃ」


「村長さん……あなた、昔、魔王と戦ったことがあるの……?」


「……ああ、そうじゃ。わしは、勇者デイビッドのパーティの剣士じゃったからな」


──その言葉を聞いた瞬間。


三人の背中を、寒気が走った。


空気が、変わる。


時間が、止まる。


「……え……?」


ぽつりと呟くクリス。

父・モーゼフが訪ねるようにと言った村長が、かつての勇者の仲間だったとは──

頭が、ついていかない。


そんな彼に、コジーロがふと目を向け、静かに問う。


「お前さん、モーゼフの息子じゃろう?」


「……はい」


その返答を聞いたコジーロは、どこか懐かしさと寂しさを含んだ笑みを浮かべた。


「──あいつとは、色々あってな。大魔王を封印して以来、一度も会っとらん。……今後、会うつもりもないがな」


その言葉が胸に突き刺さる。


クリスは、ようやく理解し始めた。

自分の父が、アリシアの父・勇者デイビッドと、共に戦った仲間だったという事実を。

そして、この村長もまた、伝説の一員だったことを。


しかし——

なぜ父が自分にそのことを隠していたのかは、わからなかった。


「ちょっと待ってください……ということは、村長は私の父の仲間で、モーゼフ様とも仲間で、ということは……モーゼフ様と私の父も仲間で……!」


アリシアもまた、混乱を隠せなかった。


「……頭が……ついていかない……!」


ムサシも、驚いてはいた。

だが──


「そうだったのか……親父が伝説の剣士だったとはなぁ。驚いたぜ」


「黙っていて悪かったな、ムサシ」


「いや、別に気にしねぇよ。親父が何者だろうが、親父は親父だ。関係ねぇ」


コジーロはふっと微笑み、ぽつりと答えた。


「……そうだな」


しんと静まり返るちゃぶ台の間に──

慎重に言葉を選ぶように、クリスが声を発した。


「……すみません。今、ようやく頭を整理しつつあるのですが……」


「父は、コジーロ様なら、この旅の力になってくれるはずと言っていました。……それは、どういうことなのでしょうか?」


コジーロは静かに目を閉じ、そして──

さらなる真実を語ろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ