どうしようもない時代
「科学の進展というものは、まったく恐ろしいものだ。自ら消滅してゆくところが多いな…」
ある科学の発達した、コンピューターに囲まれるような惑星で二人の異星人が話をしている。
「まったくだ。この間も、地球という星がおそろしいことになっていた」
「おれたちは、安心な方だ。未来も、崩すわけにはいくまい」
「ああ」
地球。異星人たちの話題の時代。世はありがちなパターンである、コンピューターに任せる世の中になっていた。人々は尽きることのない豊富な資源を宇宙内で発見し、機械に任せっきりの生活を送っていた。優雅な人生。人々は知恵さえも失っていった。それに伴い子供は産まれなくなり、人々は永遠の命を手に入れた。日々は刻々と過ぎて行くが、人はそれにすら気付かない。
人が働かなくなってから、コンピューターは無駄を無くしていった。いらないものは次々と排除してゆく。その傍ら、人々を養う。そしてついに人々をいらない、無駄な存在だと判断したのだ。
「どうしようもない時代だな。いつそうなってもおかしくはない」
「ひどいな」
「それが現状だろう」
異星人たちは宇宙船に乗ってどんどん暗黒の世界へと飛び出してゆく星の人々を見ていた。彼らは自分達の得になる新しい発見をしようとしていた。つまり、いつ自分達のとって一番の利益である永遠の、尽きることないエネルギーを発見してもおかしくは……。