忘れたい
短編だよ~
カツンカツンと音が聞こえた。何の音だ。目覚まし時計が壊れたのか。俺はまだ眠い目を擦りながら、体を起こす。
「どこだここ」
思わず声に出してしまった、が無理もない。だって真っ暗闇なのだから。
「夢」
夢だと信じたいが、そうにもいかない。なぜならここまでリアルな夢を見たことが無いからだ。床と思われる物の感触、ほっぺをつねった時の痛み、うん。明らかに夢じゃない。
「お~い。誰かいるか~」
少し大きな声で言ってみるも、反応はない。
「 で、ここどこだよ」
俺ながら、冷静なのはちょっと怖い。
「誘拐 いや、ねぇな。金無しだし」
誘拐じゃなきゃ何だ。新手のドッキリか。俺は芸能人じゃねぇぞ、極一般のただの社会人だぞ。
「おっお~い。誰か、誰かいますか~」
あれ、あっあれ、夢だよな。急に怖くなってきたぞ。
「なぁドッキリだろ。リアクションは撮れたよな~もう、出して」
怖い、怖い、怖い、何だよこれ、分かんねぇよ。誰か、助けてくれよ。
「誰か、誰か、助けて」
「うあ、夢か。クソみてぇな夢見たな。あ~そっか、俺、酒飲んだんだ」
俺ごと何やけど、YouTubeで配信してみた。楽しかった。