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◇小山にて一筆啓上仕り候◇
小さな山の頂にて謳う
木々たちがざわめく中
枝葉を踏みしめながら
もと居た場所を見下ろす
俯瞰した町は霞がかり
模型のように小さく見える
大きな鷹になった気がした
流れる木漏れ日が森を照らしている
ホオジロたちが鳴くから
一筆啓上仕り候
「春が来て嬉しいです」
名もなき巨岩を撫でて
耳を澄ませば生命の息吹が聴こえる
人とは隔たった神聖な場所
見上げれば眩しい日の光が
私の目を焦がす
小さな山の頂にて森と命に向け謳う
喜びの春の唄を
お読みくださりありがとうございます!
※一筆啓上仕り候……「簡単に申し上げます」の意。
ホオジロの鳴き声から。