兄と妹 【月夜譚No.181】
双子の兄妹とはいえ、それほど容姿が似ているわけではない。性格も正反対とまではいかないがそれなりに違うし、好みや興味を引く対象も区々である。
しかし周囲からしてみれば〝双子〟といったら大抵のことが似ていると思いがちなようで、双子であることを話すと驚かれることが多い。別にそう思うのなら勝手に思っていてくれて構わないが、双子なのに違うことが多いと変だと言われる筋合いはない。
「ねえ、お兄ちゃん。ちょっと待ってよ」
追いかけてくる妹を半ば無視して、スタスタと歩き続ける。
正直、頭にきていた。相手が妹にとって大切な友人なのは解っている。だが、言って良いことと悪いことはある。それが誰であろうと、誰かを傷つけるようなことを平気で言うような人間は許容できない。
妹は優しい。けれど、兄である自分は優しくはないのだ。双子だから大差はないが、どちらかというと妹の方が年上のような気がする時がある。妹の言動に助けられてきたことも何度もあった。
彼は溜め息を吐き、立ち止まる。そして、遥か後方で半分泣きそうになっている妹が追いつくのを待った。