私が片腕を失った時。
私は幸せな人生を終えた・・・えっ?転生?前世の記憶を持ったまま、好きなように生きろ?こんな爺さんを転生させてどうしたいの?女神様。
から抜粋したショートストーリー。
加筆修正をしてます。
お楽しみください。
私の名前は、レイ・レリクラン。
元カーリアン帝国軍人だ。
だが、今は片腕を失った欠損者だ。
今は田舎で妹と二人暮らしをしている。
申し訳ないがありがたい事に、欠損した私を思い妹は一緒に居てくれている。
ただ、いつまでもという訳にはいかないだろう。
姉である私が言うのもなんだが、妹は綺麗な顔をしている。
それに、人当たりも良く、社交性があり、頭も良い。
そんな女を世の男は放っておいてくれない。
実際、今までも何人かの男の人から誘われているが全てを断っている。
『だって、頼りなさそうなの。』私が断る理由を聞くと、決まって妹は私にそう言っているが、違うと思っている。
私に気を遣っているのだ。
両親は妹が産まれて直ぐに死んでしまいそこから長女である私が一生懸命働き妹を育てた経緯があり、その事で余計に気を遣わせてしまっているのだろうと私は思っている。
8歳も離れている妹だから今年でもう直ぐ18歳。
本当に良い人がいつ現れてもおかしくはないのだから。
良い人かぁ~。
本当にいつ現れるかなんて、誰も想像できない。
だから、いつでも『私の事は気にしなくていいよ。』と伝えている。
と。まぁこうして妹に頼りながら生きる事になった私は軍人であったので欠損するというのは想像しやすいと思う。
しかし、その欠損の仕方は特殊ではないだろうか?
その時の事は今でも目を瞑れば思い出す。
『何だ?この光景は?』
私が思ったあのお方を目の前にした時の最初の事だ。
今でもあの時の光景は忘れる事が出来ない・・・。
◇◇◇◆◇◇◇
『レリクラン。例の作戦の協力の指揮をお前に任せる。死体を運んでくれ。』
ジルベルト隊長から指示を受けて私は20名ほどの部下を引き連れ隊を離れた。
ビラッキオ隊への協力は数百の死体を用意し、変装させて渡すというものだ。
我々ジルベルト隊も参加する予定の作戦があったのだが、『アリア様』を発見したという情報が本国カーリアン帝国に入ったのだ。
本国カーリアン帝国は即座に判断した。
元々私の所属していたジルベルト隊は『カーリアン帝国潜入撹乱第三部隊』という正式名称がある。
今は傭兵団装い、他国の情報を手にし、撹乱するという任務がある。
その任務を一時放棄し、別命を受けたのだ。つまり、『アリア様』の捜索である。
このロードスト大陸ではなくイグナシオ大陸にあるミスル王国を捜索する事となったのだ。
その為に、移動する準備を早急におこなう必要が出た為に、そのような協力となった。
順調にジルベルト隊長の指示をこなして、後は引き渡しという段階に至り、ビラッキオ隊を待っている時に急報が入った。
「レリクラン様!」
「どうした?そんなに慌てて?」
「はい!ジルベルト隊が狙われました!!」
「何?!どうしてそんな事に・・・。」
思い当たる節は有る。死体を用意するのに、我々は村一つ壊滅させたのだ。
あの時は楽しそうにしている隊員が多くいた。
その時の事をジェスター王国に知られてしまったという事だろう。
しかし、ここで疑問が残る。
この国ジェスター王国には情報部みたいな組織あるにはあるが、かなり質が低い。
そんな低い組織に悟られるようなヘマをしたつもりがないのだ。そうなると、その線は消える。では一体何故なのだ?
「ザバルティ・マカロッサという名の者が首謀者の用です。我々の存在を正確に認識している節が有ります!」
「いったい、そのザバルティ・マカロッサとは何者なのだ?」
「そんな事より合流をお願いします!」
「何?ジルベルト隊長が居るのに私が行く必要がないだろう?」
「いいえ。奴らは、奴は化け物です。手に負えないと思われます。よって合流並びに、逃亡をする。というのが隊長の考えです!」
あの、不遜な隊長が?逃げを選択した?それこそあり得ない!
「とにかく合流してください!このままでは隊長が危ない!我々は全滅してしまいます。どうかレリクラン様のお力を!」
「わかった。ゾーイ!皆を直ぐに集めよ。直ぐに本隊に合流する。」
「はっ!で死体はどうしますか?」
「捨て置け。魔法で腐らなくしてある。それにもうすぐビラッキオ隊の者も来るだろう。」
「はっ!」
私の部下のゾーイは敬礼して直ぐに部下たちを集めに回る。
「では、レリクラン様。私は先に戻ります。」
「わかった。気をつける様に!」
「はっ!」
私は使者として来たビースに回復魔法をかけ、体力回復薬を渡してやった。
ビースは直ぐにその場を離れた。その様子を見た私は間違いなく、ジルベルト隊長以下カーリアン帝国所属潜入撹乱第三部隊の危機である事を実感させられた。
◇◇◇◆◇◇◇
それから、私たちは直ぐにジルベルト隊長と合流するべく行動した。とにかく急ぐ事。それを追求した動きだったと思う。
ジルベルト隊が宿営地にしていた場所にたどり着いたのはそう時間はかかっていなかったと思う。その場所に私がたどり着いて見た光景は精神を壊された私の仲間達の姿だった。
「おい!ブレイン!」
私に従っていた一人が、ブレインと呼ばれた者を前にして声をかけている。
「へへへへへへへ。」
ただ、へへへと笑うだけだった。
「悪魔がやってきた・・・。」
「天使の微笑はを・・・。」
「けっけっけ。」
等、口走ったり笑ったり、突然動き出したり、普通ではなくなっていた。
「これは一体?あり得ない?!」
全くの外傷が見えない。壊れた人間を見た事はあるが、外傷が全くない者は見た事がない。しかも一緒に戦ってきた仲間がそのような状況になっているのだ。
更に、魔法を受けた様子もない事から、単純に幻惑されているわけじゃない。ただ純粋に精神が壊れているのだ。
普通の人間がそういう状態になるというのは考えられる。
しかし、少なくとも私達はあの厳しい訓練をクリアして選ばれた者達だ。
他国に潜入する以上、並みの訓練では無かった。
それこそ拷問を耐える訓練など、精神的な訓練も施された。
更に、武における訓練や暗殺等、非常時にも耐えうる様にと訓練させられたのだ。
「先を急ごう。」
私の胸は必要以上に高鳴っている。
たぶんここに居る者たちはもう使い物にならない。
いやそもそも人間としてすら生きてはいけまい。
一体、私たちは何と戦う事になってしまったのだ?
「何人か残しますか?」
「いや。今はこの者たちに構う暇は無い。ジルベルト隊長と合流してから考えよう。それに残念だが、たぶん彼らはもう人間として生きていく事は出来ないだろう。」
「そうですか・・・。」
ゾーイは私と同じ気持ちなのではないか?
もしかすると私たちは、起こしてはいけない者を起こしてしまったのではないだろうか?
使者に来たビースが言った『化け物』という言葉が今の私の頭を支配している。
はたして、私たちが到着しても何か出来る事は有るのだろうか?
ただ、嬲り殺されるかのように、失わされるだけなのではないだろうか?
「準備が出来ました。」
ゾーイは何とか私に従っている者たちを再度集めて声をかけてきた。
はたして、この先にジルベルト隊長と共にいるであろう者は何者なのか?
そして私たちの未来に明日があるのだろうか?
「うむ。周辺に十分に注意して進め!」
私が言えたのはこの一言だった。
あのような状況を作り出した者がいると考えられる現状で、私たちに出来る事は限られている。
私は幻術系魔法と回復系魔法を得意としている。
この二つを駆使して沢山の任務を達成してきた。
そんな私は精神に作用する恐ろしさを嫌というほど知っているつもりだ。
捕まえた他国のスパイを拷問する時や、犯罪者の拷問をする時は特に重宝された。
私ですら、短時間で精神を壊すのは中々難しい。
存外に人間の精神は強い
少しぐらいの傷では壊れない。
肉体の方が壊すのは簡単だと思っている。
切る。焼く。潰す。方法はいくらでもあり、魔法を使えば更に簡単なのだ。
たしかに、幻術系魔法は精神に異常を起こすのにはとても役に立つ。
幻覚・幻視・幻聴等、人間の持つ五感全てに影響を及ぼせる。
しかし、狂わす事が出来るのも魔法に対する力量が問われる。
かける側とかけられる側との間にある実力差が大きい程に強くなるし、かけられる側の知識や精神抵抗力によっても効果は変わる。
では今回はというと、精神を壊された者たちは全員が壊されている。
ただの一人も狂わされているのではない、壊されているのだ。
しかも、魔法の痕跡が見えなかった。つまり魔法は使われていない。
では、どうやって全員の精神を壊せるのか?
物が壊れる瞬間と同じで、大きな負荷をかければ壊せるのだ。
ではどうやって大きな負荷をかけるのか?魔法も使わずに?そして、大勢の人数に外傷も負わさずに。一体どうやって?
別の考え方をすれば、魔法を使ったという証拠を残していないという事も考えられる。
それはつまり、相当の力量をもった者であるとも考えられるのだ。
前者であっても後者であってもどちらにしても、絶望的な相手である。
更に私は警戒と自分の未来に不安しかないのだ。
そんな事を考えて移動していたのだが、それも終わりが近づいてきたようだ。
多数の気配を感じる。
「何か来る!気をつけろ!!」
「ふふふ。」
私の言葉に反応するかのように、目の前に女が現れて返事を返す代わりに笑う。
それを見たゾーイが女に攻撃を仕掛けるが、それを『ふわり』と躱す。
まるで花びらが舞うかのような動きだ。
そして攻撃したはずのゾーイは糸が切れた人形のようにその場に倒れこむ。
「ちっ、魔法か。」
「いいえ。魔法ではないわ。ただの蹴りよ?」
蹴りの一発で意識を刈り取る事が出来るわけがない。そんな動きは見ていない。
「蹴りで意識が刈り取れるか!」
「では試してみる?」
ぐっと両足に力を込める。
いつでも飛び掛かれる準備をするが、その様子を見ても女は余裕そうな顔。
「貴女は、今の状況が見えているの?貴女にはもうまともな仲間は居ないわよ?」
そう女に言われて私の周りに気を張り調べるが、誰の意識も感じられなかった。
顔を動かして見たい衝動にかられたが、目を逸らしてしまう事を躊躇う自分が居る。
それは危険だと直感が伝えてくる。
「流石に、人間の皮を被った魔物ね。ゴブリンやオークの行動に劣る行為が出来るモノたちね。仲間意識なんてないのでしょうね?」
「ふん。貴様に何がわかる?」
「私にはわからないわ?」
目の前に居る者が、あいつ等の精神を壊した者なのだろうか?
目の前に居る者の実力は計り知れない以上、そう考えて動くべきだろうな。
「レリクランさん。そんなに警戒しなくても殺しはしないわ。貴方はザバルティ様に届けるわ。」
私の名前を知っている時点で警戒しないわけがないだろう?と心の中でつぶやいたが、残念ながら相手の方が格上だ。
「良いだろう。ではそこへ連れて行け。」
「ふふふ。良いわ、ついていらっしゃい。」
女は後ろへ振り返るとスッと奥へと進んでいった。
私は覚悟を決めた。私はここで死ぬのだろう。
しかし、ザバルティという男の元へと連れて行ってくれると言うのだ。
迷う必要は無い。どの道ここに残っても死は免れそうにないのだから。
◇◇◇◆◇◇◇
私は女が進む道について行く。
早くもなく遅くもない。
だけれどもゆっくりしているわけではない、そんな速度で歩く女について行く。
逸る気持ちを抑えながら、懸命に走る。
どれ位の時間が経っただろうか?ふっと視界が広がる空き地のような場所に出た。
「なっ?」
なんだ?この光景は?
ジルベルト隊長は一人の男の子?少年?青年?の足元に横たわっている。
「私は、ザバルティ・マカロッサだ。君の隊の隊長を貴女にお返ししよう。」
ザバルティと名乗った男の背に一瞬、白い羽が10羽見えた気がした。月光に照らされたその男の容姿は端麗にして神々しい。
「はっ!」
私は膝をつき、礼をとった。いや勝手に体が動いていたのだ。
「貴女達がこの地で犯した罪は大きい。子供は世界の宝だ。小さな子供には責任は無い。それを導く大人に責任があってもだ。戦争であっても、自己利益の追求であっても、その被害者に子供はなるべきじゃない。私はそう思う。所以、今回の事は許す事が出来ない。その責を取ってもらう。」
やはりか。
あの件が問題だったのだ。
よりにもよって天使にあの所業を知られてしまうとは。
「君たちにはこの世界の弱者になってもらう事にした。隊長は腰の骨を失い座ることすら出来ないだろう。そして貴女の仲間の多くは奴隷となってこの世界のどこかで生きる事になるか、精神が壊れ廃人として今後生きていく事になる。死が来るまで君達は一生をかけて償う事になる。残念だが、自殺は出来ないよ。そういう契約になっていると考えたらいい。」
私は何を言われても返す言葉が出なかった。
「ただ、君は一人そんな中にあって心を痛めていたね?だから、君の罪は仲間を抑える事が出来なかった事だ。君にも責をとってもらうよ。」
その言葉は残酷そのものだが、私は静かにそして受け入れる事を認めた。
「わかりました。」
「彼が死ぬまで面倒を見る事が君の罰だ。」
「いえ。この腕を差し出します。」
「・・・。」
「私は止める事が出来ませんでした。私も隊長達と同じです。」
私は正直に素直に罰を受け入れたいと思った。
目の前の存在はこの世界の秩序を守る存在なのだと感じたからかもしれない。
何の罪もない子供に対しておこなった数々の行為を清算する時が来たのだと感じたからかもしれない。
少なくとも、私は『神の存在』に対する答えを頂いた気がしたのだ。
『神は居る』そう確信した。
だから素直に罪に対する償いをしたいと考えたのだろう。
罪に対する償いが出来るのであればなのだが。
「『罪を憎んで人を憎まず。』私の好きな言葉です。そこまでの境地には中々立つ事は出来ませんが、貴女が『罪に対する罰』を分かり易い形に残したいという気持ちは伝わりました。ですが、想像を絶する痛みと不便を強いられる事になるのは間違いありません。それでも良いのですか?」
私は考える時間も持たずに、すぐに頷いた。
「もちろんです。宜しくお願いします。」
「わかりました。では準備はよろしいですか?」
気がつくと、私の中にあった今までの残忍な行為の数々に侵された心は無くなっていた。
とても落ち着きのある静かな海の前に居るようなそんな気分だ。
満たされている心は静かな波紋が広がるのみ。
不思議とそんな事を思っていた。
「はい。お願いします。」
私の眼には振り下ろされた刃の剣筋は見えなかった。
気づいたらただ目の前に私の左腕であった物が切り落されている。
そしてそれを認識した時点から想像を絶する痛みが私の左腕があった所から始まった。
「・・・ぐっがっ!」
迸る血は真っ赤だった。
「止血します。」
ザバルティ様は止血を施してくれた。そして痛みだけは残してくれた。
「痛みもまた、貴女の懺悔の証拠でしょう。だから残しておきますね。普通の怪我の時と同じように痛みも無くなっていくでしょう。」
「ありがとうございます。」
その言葉を言うので精一杯だった私は当然のように気を失った。
◇◇◇◆◇◇◇
私は夢を見ていたようだ。
遠い昔の出来事の様な気がするがつい1年前の事だ。
もう10年は経ったような気がする。
幾度となく大変な目にあった。
欠損者の仕事なんてたかが知れている。
想像以上に厳しいモノだった。
だが、私は一度として恨む気持ちは起こらなかった。
ジルベルト隊長はそうではなかったようだが、隊長の場合は覚悟がないままになってしまったのでそれも仕方がないように思う。
私は言いつけ通りにジルベルト隊長を祖国のカーリアン帝国まで連れて帰った。
ジルベルト隊長は時の権力者であるカーリアン帝により、責を問われ処刑されてしまった。
ある意味ではジルベルト隊長にとっての救済になったのではないだろうか?
あの状態のまま生かされる事の方が彼にとってはつらい事だったであろうし、死ぬ事で解放されたのは間違いない。
ただ、それはザバルティ様が望む結果では無いと私は分かっていたので、何度も止めたが力及ばず、ジルベルト隊長には死が与えられたのだ。
もしかすると、カーリアン帝の情けだったのかもしれない。
ジルベルト隊長はジルベルト隊の全責任を取り処刑されたのだから。
「姉さん。今日は幾分か良い顔をしているわね?」
「そうだろうか?」
今の私は、妹と一緒に住んでいる。その妹に言われて私は夢を見た事を妹に話した。
「あの神様のような存在の方の話をする時の姉さんは本当に聖人になったかのような顔になるわよね?」
「そうかな?そんな自覚は無いのだけど?」
「絶対そうよ。でもその聖人の様な顔の中に乙女が登場するのよね。なんでかしらね?」
私は自分の顔が真っ赤になるのがわかった。
そう私は会ったその日の事が今でも忘れられないのだ。
あの神々しく壮麗な顔を思い出すだけで、私の胸はときめく。
叶わない夢だとわかっているのにどうしても諦めきれないのだ。
それをわかっていて妹は私を揶揄う。
「それに、腕が無くなったというのに鍛錬や勉強を欠かさないですもんね?ふふふ。」
「うるさい!」
私をからかう妹を怒った目で睨みつける。
「おぉ、こわ!それより姉さんに手紙が来ているわよ?」
「手紙?誰からだろう?」
「さぁ?でもドラゴンの紋様が使われていたわ。はい。」
手渡された手紙をあて先にレイ・レリクラン様とあるだけだ。私の本名だ。
確かに裏にはドラゴンの紋様が描かれている。
私は不思議な気持ちのままに手紙を開けた。
そこには一通の手紙が入っていた。
私は手紙を取り出した。
その時、白い羽が一緒に飛び出してきた。
私はその羽に目を奪われた。
その羽は!!
「ね、姉さん!腕が?!手が?!」
「腕?手?はぁ?」
妹が急に慌てだした。
そしてワナワナと震えながら私の失ったハズの左腕を指さしている。
「どうしたの?」
「見て!自分の左腕を!左手を!」
そう言われ、私は自分の左腕があった所を見る。
「えっ?」
私は驚きのあまり固まってしまった。そう、そこには私の左腕が、左手が、傷一つ無く、そこに存在していたのだ。
「まさか?!」
私は入っていた一通の手紙を見て目が熱くなり、一滴の涙が頬を伝って降りていくのを止める事は出来なかった。
「フィリア。私はこの村を出るわ。そして私が本気でお慕いする方にお仕えするわ。」
私は妹のフィリア・レリクランにそう告げた。
ただ、妹は涙を貯めた優しい目で私を見ているだけだった。
私は、レイ・レリクラン。
元カーリアン帝国軍人だ。
今は、憧れの方の元へ向かうただの一人の女だ。