第三話 事件解決
短めです。
すいません。三話の題名書き忘れてました……。土下座中…土下座中……
あと、時々雑な文になってたり、語彙力が絶滅してたりするのは許してください……
「よォ、さッきぶりじャねェか」
リーチェが応援を呼んだ、というので、待ってみればやってきたのはケテル だった。
少し不機嫌そうな表情で、自分のこめかみをグリグリしている。げんなりしているような感じだった。きっと振り回され続けて、気付けば『憤怒』になっていたのだろう、と渚は推測を立てた。
「にしても、複数だァ? テメェ一体ェ何を見りャンなこと言えンだよ」
疲れているようだが、威厳を保たなければならないのか、怒っているような口調になっている。というか、まじで怒っている気がする、と渚は慎重に行動し、言葉を選ぶ。
「ナギサ、貴方は喋らなくていいわよ。こいつとは私が話をつけるから」
リーチェが喋ろうとした渚の前に手を出し、喋らせんとばかりにそういった。
どうやら、話がこじれるのを防ぎたいらしい。
「そンで、オレを呼んだわけを聞こォじャねェか」
「ふふ、相変わらずね。まあいいわ。貴方には、この街で他に事件が起こらないか、見張ってて欲しいの。起きたら呼んでちょうだい。すぐに行くわ」
そういって、リーチェはケテルに通信機らしい何かを渡す。
それが何かは渚にはわからなかったが、話の内容的に連絡を取るものかな、と予想した。
ちなみに、渚の予想は外れている。
通信機、というのはあって入るが、これはあくまで、所有者同士で合図を送り合う、というだけの、完全なおもちゃだ。
「チッ、テメェ、オレの書類、一時間で三枚な」
「ええ、いいでしょう」
§
「、それにしても、ナギサ、貴方なんでそんなに視覚魔術が常用できるのかしら……。普通、五秒ももたないのだけど……」
渚はリーチェに教えてもらった、痕跡を辿るための魔術、視覚魔術を完璧に使いこなしていた。
普通は五秒ごとにかけ直さなければならないはずなのに、渚は一回で五分も保っていた。
「? そうなのか?」
「はあ、これだから自覚のない人は……」
リーチェは疲れたようにため息を吐き、片手の袖に中から一つチョコレートを取り出し、包装を丁寧にといて、口に放り込んだ。
舐めて溶かすタイプらしく、顎が動いていない。
「それより、痕跡はどんな感じなの?」
「ええと、結構新しくなってきてる。この辺りじゃない?」
と。
ピピピ、ピピピ、という音がリーチェの右袖の中から響いた。
「あら、ケテルの方で引っ掛かったみたいよ。転移魔法かしら? 上手ね……」
リーチェが否応言わせずにナギサの手を掴み取り、転移魔術を行使する。
瞬きをした瞬間、渚の目の前にはケテルがいた。腕を組んで、右手の人差し指を左腕の二の腕にトントンとしている。
「よォ、案外簡単に見つけちッたぞ」
「さすがね。ストーカーの才能、あるんじゃない?」
「殴り飛ばすぞ……」
「それ、殴る前に言って欲しかったわ」
ケテルに殴られたリーチェは、殴られたところをさすりながら、ナギサに向き直り、
「ナギサ、貴方にあいつを倒して拘束してもらうわ。高速はこっちでするから、あいつを消耗させてちょうだい。下手に拘束すると、レジストされちゃうから……」
「あ? テメェ何言ってン……‼︎⁉︎」
何かを口走ろうとしたケテルのスネをリーチェが本気で蹴り飛ばす。
不意の一撃だったのか、すねを抱えて蹲るケテル。というか、出血している。
「さ、いってらっしゃい。無理そうだったら、私たちがやるから」
そう言ってリーチェは、渚に一振りの剣を渡し、その背中を押した。
§
背中を押された渚は、戸惑いつつも、いつも通り。
壊される前に壊して、弄ぶ。
殺さないなんて、なんて当たり前な条件を課してくるんだろうか、と渚はリーチェの言葉に疑問を抱いていた。
「あはは」
いつにない高揚感。
いつぶりだろうか……。確か、向こうでは一周間以上も殺していなかったな……。
『【陰からの刺客】が効果を発揮します。相手に気づかれなくなりました。攻撃をした場合、解かれますが、真正面からの攻撃も不意打ちにカウントされます』
そんな声が自分の脳内に響き、そして次の瞬間には、もう男の胸部に剣を刺していた。
刺した瞬間の、ズプリ、という感触に愉悦を感じながら剣を手から離し、そのまま男を右手で殴る。グシャッ、と。男は彼に気づくこともなく、地面に倒れ伏した。
「…………、戦闘慣れしているようですね」
「え? いや、人と戦うのなんてこれが初めてだよ?」
「多分、他生物との戦いで自然と身に付いたのね」
「おい、テメェ本当ォに人間か? 悪魔とかじャねェよな……。こうもあッさりと殺すとか、テメェ、人間に仲間意識とか持ッてねェだろ?」
「? 何言ってるんだ?」
渚がそういうと、ケテルは、ああそうか、みたいな顔をした。
が……
「そんなもの、ないに決まってる」
ケテルがまた手を顔に当て、天を仰ぐ。
癖になり始めてるが、本人はあまり気にしていないらしい。どこでもやるようになってきた。
「おい、やッぱテメェにコイツは御せねェだろ」
「何を言ってるのかしら? どんな暴れ馬だって、ちゃんと教育すれば、でしょ?」
「チッ、これだから魔女は……」
ケテルは魔女が苦手だ。
頭が無駄に良く、それでいて膨大な魔力量があるため、追い詰めてもすぐさま転移魔術で逃げられる。ケテルではどうしても魔女よりも転移魔術の効果範囲が狭くなってしまう。
『魔女狩り』と呼ばれた魔神がいたが、彼は魔力総量が馬鹿みたいに高かったがゆえに、転移魔術で追いつく、という偉業をなして狩ってきたそうだ。
「とりあえず、甘雨によろしく伝えておいてね。私は、人間を調査してくるから」
「チッ、まァいい。ちッたァ大目に見てやるよ」
そういい、本当に急に、リーチェは渚の手を取り、転移した。
次回からは冒険者活動をする予定みたいです。
リーチェとケテルは一番頑張って作ったと思っています。
二日しか経ってませんが、すでにPVが100いきそうです。ありがとうございます!